まりっぺのお気楽読書

読書感想文と家系図のブログ。
ゆる~い気持ちでお読み下さい。

『ブライヅヘッド ふたたび』前半面白かったのになぁ…

2011-02-02 02:03:32 | イギリス・アイルランドの作家
BRIDESHEAD REVISITED 
1945年 イーヴリン・ウォー

読み進めていくうちに面白くなってくる小説はけっこうありますが
面白くなくなってくる…というのはあんまり経験ないですね。
最初から最後まで面白くないものはあるけどね

貴族や上流家族の零落を描いた物語は大好物です!
でも、短篇で読んだイーヴリン・ウォーの作品の印象と、訳が(苦手な)吉田健一氏、
というのがひっかかり、ずーっと手を出さずにおりました。

ところが、せっかく持ってるし、ってことで読んだら殊の外面白かったんです。

大げさに飾り立てられたような文章が内容に良く合っていて
若干常軌を逸したような登場人物たちは読んでいて楽しく
何より、一家の没落と終焉をこの人たちにどう演じさせるんだろうと考えると
思ったより読むペースが上がってました。

第二次世界大戦中、39歳のチャールス・ライダー中尉が新たに到着した任務地が
若い頃よく知っていたブライヅヘッドという屋敷だったことから回想が始まります。

長い話しなのでかいつまんで書きますね。

チャールスはオックスフォード大学で、マーチメーン侯爵の息子セバスチアンに
魅せられてしまって、彼やその友人たちと親しくなっていきます。

セバスチアンは貴族の次男らしく、優雅で気ままで怠惰な生活を送っているのですが
家族との間に大きな問題を抱えているようでした。
セバスチアンと始終一緒にいるようになったチャールスは
その家族たちとも付き合うようになっていきます。

他人を惹き付けずにはおかない、強くカトリックを信仰する母マーチメーン夫人、
妻子を捨てて女性とイタリアで暮らし続ける父マーチメーン候、
愛人らしからぬ威厳と落ち着きを備えた婦人ケアラ、
自分の世界以外に興味がない兄ブライヅヘッド伯、
美しく冷笑家に見える妹ジュリア、母譲りの信仰を持つ末妹コーデリア。

セバスチアンは次第に酒に溺れ、チャールスとも仲違いします。
マーチメーン候家の財産も世間で言われるほど潤沢ではなく、危機に瀕しています。

これから一家が落ちぶれていく様が描かれていくのかっ! とわくわくしていたのに
後半チャールスの恋愛話みたいになっちゃってちょっとがっかりしました。
セバスチアンは鳴りを潜めちゃって、どうなったかわからないし
マーチメーンの家は相変わらず贅沢三昧だし…
なんか主旨が変わっていっていませんかね? って感じでした。

最後はマーチメーン候が独り舞台的に活躍し、ある意味ではこの一家がエンディングを
むかえたような状態になるわけですけれども、私が期待していたのは少し違いました。

39歳のチャールスが佇む屋敷は軍が借り上げ、各部屋を司令室や食堂にしてしまいました。
美しかった庭や噴水も見る影がありません。
でもそれは没落とはちょっと違う気がするのよね…
できたら壊滅してほしいとまで思っていたわけですが、やはり英国ではあり得ないか?

実は先日、トーマス・マンの『ブッデンブローク家の人びと』
同じような期待感を持って購入したんですが…どうしよう、中途半端に終わったら。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 韓流もいいけどポアロもね! | トップ | イングランド王ジョン王女 ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

イギリス・アイルランドの作家」カテゴリの最新記事