たまには読書感想文などを書きます。
四畳半神話大系 (角川文庫) | |
森見 登美彦 | |
角川書店 |
この本、凄いですよ。何が凄いって、これを読み始めたのが確か2月の終わりだったか3月の初め、そしてようやく今日読み終わったのです。
約四ヶ月。偉いぞ、私。良くぞ挫折せず読み終えた!
凄いのは、そっちか・・・テヘッ
だけどこの本、面白いですよ。最後まで読むとご褒美にそれが分かるのです。
ここ数年の私は、本を読むのは電車の中でと言う習慣を持ってしまったものなのですが、しかしながらその電車の中でも近頃は考え事をしながら目をつむる(要するに寝てる)、または携帯で「お出掛けなう。」などと遊ぶ事を覚えてしまった故に。ますます読書時間が減り、加えてあの震災で3月は完全に引きこもり、かくして読み始めたばかりの本は、長い間閉じられたままになっていました。でも、お出掛け復活してから、10ページ20ページと読み進め、お話は佳境へ・・・・
いやいや、佳境へ行く前にワタクシ思ってしまいました。この本を読み進めていいものなのか。
この物語の主人公である「私」同様に、この本に時間を費やせば費やすほど、無為な時間の蓄積をしてしまうのではないか。「私」が貴重な大学生活を無駄に過ごしてきたと嘆くが如く、なんてバカな本に時間を無駄に取られてしまったのかと嘆く事になるのではないかと。
ところがですね。
この物語は4つの物語から成り立っているのですが、徐々に面白くなってくるのですよ。
「ハハーン・・」と、そのからくりが分かってくると、俄然読むスピードも上がると言うものです。
「私」、小津、明石さん、樋口師匠、城ヶ崎先輩、羽貫さん、そして香織さん。
橋の下から這い上がってくる無数の蛾の大群、占い婆の言う「コロッセオ」、もちくま、そして「80日間世界1周」の本。亀の子たわしにカステラ。同じ登場人物、同じキィワードで別の物語が繰り広げられるのですが、それがまったく違うようで大差ない、または大差ないようでまったく違うと言うような物語で、思わず引き込まれます。
「面白かった」だけでも良いのですが、やはり大人なので、それなりの感想をそれらしく書くとですね、・・・
あの時違う選択をしていたら、違う素晴らしい未来が待っていたのに違いない。誰もが一度や二度はそう思った事があったはず。私もこの夫でなかったらと何度思った事か・・・・コホン・・・・
まあ、それはともかく、どんな選択をその時にしていようが、自分が自分である限り、実は大差のない人生を送っただろうと言うのが、この本の主題かな。
それから、「私」の視点から見れば、妖怪にしか見えないような見た目、人の不幸で飯が三倍は食えるというしょうもないような青年である小津。だけれど、彼は学生時代を謳歌して、時には人の中心に立ち、ちゃっかしと彼女までいるよう。ひとつの視点なんか当てにはならないと思う。理知的な美女の明石さんは、常に小津をしょうもないと思いながらも友人だし、「私」も最後にはその大切なある言葉を言う。
どこかにいる公明正大なまだ見ぬ友人を夢想するより、傍にいる妖怪のような青年を又見つめなおして、そこに違ったものを見つけ出すと言う事も、友人探しの近道なのかもしれないなどと思ったり・・・・
と、語尾をぼやかすのが大人流・・・とか言っちゃったりして。
ところで、これはアニメにもなっていて、結構面白いらしいですよ。うん、たぶん面白い。アニメの小津君は、ラッタ君曰く、本当に宇宙人のようですって(これ、ラッタ君に借りた、彼のおススメ本だったのです。)。もしも実写だったら、濱田岳君かな、ヤッパシ彼は。
あっ、そうだ。濱田君で思い出した。良かった~。今日からですよ、「ピースボート」0時18分からですよ。
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