森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

ま・い・に・ち

2009-02-03 15:50:50 | 詩、小説
あの時僕が誓った「愛している。」と言う想いに偽りはなかったんだ。
僕は本当に一生君だけを愛すると思っていたんだよ。
だって、この想いがいつか日常の「おはよう」と「おやすみ」となんら変わらないものになっていくなんて思ってもみなかったから。

でも、君も気が付いていたんでしょう。
果てしない愛の想いほど、苦痛なものはないって。
人はその苦痛の重荷を下ろして、日常の生活に飲み込まれることが平安な幸せなんだって。

だけど、それなのに君は思い出したように、その重荷を下ろしてしまった僕を時々責めるんだ。

あなたは退屈。
あなたは平凡。
あなたは愚か。


もちろんそんな言葉は、君の心の中で語られていて決して声にはなっていないのだけれど、わかっているんだよ。
だけど僕が気が付いていないとでも思っているのかい。
君はそんな言葉を、心の中で繰り返すことによって、本当はじっと僕を見つめ、僕を縛り続けようとしているんだよ。
僕が一人で、大空に糸が切れたカイトのように飛んでいかないように。


もしも僕が自由に大空に飛んでいってしまったら、
君の言葉は行き場を失って、
同じように重荷を下ろしてしまった自分に向けて、その言葉を言う羽目になってしまう。


私は退屈。
私は平凡。
私は愚か。


あの時僕が誓った「愛している。」と言う想いに偽りはなかったんだ。
僕は本当に一生君だけを愛すると思っていたんだよ。
だから僕は、君の心の言葉を聞きながらここにいるんだ。


そして僕は今日も君に言う。
「おはよう。」
「おやすみ。」

「愛しているよ」の変わりに今日も言う。
「おはよう。」
「おやすみ。」


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