森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

「北斎とジャポニズム」に行ってきました。

2018-01-22 00:04:55 | お出掛け日記

10月から「国立西洋美術館」で開催されていた「北斎とジャポニズム」展も今月、1月28日で終わりです。

終了間際ですが、1月18日に行ってくることが出来ました。

 

北斎の浮世絵に西洋画家たちが如何に影響を受けたのか、その対比展示に期待値もあがりワクワクしました。ところがいざ鑑賞してみると、そんな対比など関係なく、もう北斎の版画にノックアウトされた私。

 

「あれぇ、浮世絵って初めて見たわけでもないし、北斎だって知ってるよなあ。」と思いました。

でももしかしたら、じかに見たのって初めてだったのかも知れません。

 

北斎の絵の細かさに、シニアグラスをしっかりかけて至近距離15センチぐらいの所からじぃっと引き込まれるように見ていましたら、感動がふつふつと沸いてきました。

ふと横を見ると学芸員の方がいらして、思わず

「これは版画ですよね。」と確認してしまいました。

「そうなんですよ~ !」

「凄いですね。凄すぎます。」

「そうなんです、そうなんです。」

「ああ、ごめんなさい。思わず話しかけちゃったりして。でも誰かにこの感動した気持ちを言いたくなっちゃって。」

「いいのですよ。まったく同じ気持ちでここに毎日立っていますから。」

 ほんのわずかな触れ合い。でも私は同じ気持ちを共鳴し合う事が出来て、本当に嬉しかったです。

絵ですよと言われたら、ここまでの感動はなかったと思います。

細部にわたった細やかな絵。だけど版画はそれを彫る人がいて、そして摺って色を付ける人たちがいたのですよね。だけど名前が残っているのは北斎だけ。それでもこの作品に携わった人たちは皆誇りをもって、それに携わっていたと思うのです。

ー きっとのちの世にも残っていく作品に違いない。それに今俺はかかわっているんだな。ー

なーんてことを思っていたか真実は分からない事ですが、私にはそう思えてならないのです。

この時代の版画は人々の暮らしの中に入り込んでいたと思うのです。

歌舞伎絵はプロマイドのように、ユーモラスな絵は漫画のように、そして風景画を見ては旅へのあこがれを募らせていたとか。

人々の暮らしの中に入り込んでいた時代には、作品を完成させる人たちの想いには、皆それぞれの誇りがあったと思います。だけどやっぱり元である下絵の段階で、その想いは変わっていくと言う事はあったように思います。

「触れる」と言う事で、人の感性は磨かれると思うのです。彫り師も摺り師も素晴らしい下絵に触れる事によって、触発し合って行ったに違いありません。

北斎の絵は凄い。そしてさらに名も知らない人たちの想いが一枚の作品から伝わって来て、さらなる感動を私に感じさせたのだと思います。

「このような作品をこんな至近距離で見せてくださってありがとう。」と、私はその学芸員の方に言ってしまいました。

 

もちろんこれは「北斎展」ではありません。

 

私たちは最初、たとえ海外の作品と北斎の作品と同じ構図の物があっても、それはたまたまであってこじ付けなんじゃないのかと笑いあっていました。

だけど北斎の作品が海外に紹介されると、その時代の画家の人たちはやはりかなり影響されたと思いました。それはその習作が残っているところからそう思ったのでしたが、時代がイキイキとした動きのある絵画を求めていた所に、日本の浮世絵が紹介されると、その動き・構図・細やかさなどの斬新さに心惹かれたのは当然と言えるでしょう。

それは日本の浮世絵の方が素晴らしくてと言う意味ではないと思います。

「触れる」と言う事によって、人々は影響され合うのです、いい意味で。

 

展示の最後に「アンケート」を書くところがあったのですが、それは書いた方が良いですよ。なぜなら絵葉書を一枚頂けるのです(笑)

私はそのアンケートの最後に

「西洋の画家も日本の絵師もお互いに影響され合ったと思います。そしてこの絵画展に来た私も、彼らの絵に何らかの影響をぜひ受けたいものだと思いました。」と書き込みました。

それは本当の事で、そして多分知らず知らずのうちに、その影響は受けていたのではないかと思いました。主に写真などを撮る構図などで。

 

ああ、そうそう。

これは繰り返して言いますが「北斎展」と言うわけではないのですよ。

だけどこんな風に北斎に惹かれたならば、今まで全く興味のなかった「すみだ北斎美術館」に行こうかなという気持ちになりました。そんな良いところがあったのですよ。

 

北斎の話ばかり書きてしまいましたが、展示されていた絵画は皆好きなものばかりでした。

また数枚絵葉書を買ってきましたので、載せておきます。

 

  ピエール・ボナール「洗濯屋の少女」

 クロード・モネ「陽を浴びるポプラ並木」

 クロード・モネ「アンティーブ岬」

 ポール・セザンヌ「サント=ヴィクトワール山とシャトー・ノワール」←アンケートに答えて頂いた葉書です。

フライヤー

 

 

北斎の絵葉書も買ってきました。

 

 絵葉書を5枚買うと、もらえるオマケ。


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2 コメント

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北斎とジャポニスム (dezire)
2018-01-23 18:01:35
こんにちは、
私も「北斎とジャポニスム」展を見ましたので、詳しく丁寧なご感想を読ませていただき、被の美樹展を再体験させていただきました。ドガの踊り子の絵画、ロートレックのポスターが『北斎漫画』のに描かれている人物の形やしぐさを作品に活用していることは、初めて知りました。ゴーガンの『三匹の子犬のいる静物』は気に入りました。 ゴーガンが湖南ほほえましい作品を描いているのを知り、ゴーガンにもこんなやさしい面があることを知り少しうれしくなりました。西洋の名作と北斎の作品を並べて展示することで、北斎の影響は、印象派の画家等への影響が分りやすく展示されていて分りやすいかったです。

私も『北斎と印象』派などを見て、北斎の浮世絵の関係について考察してみました。また、北斎は西洋で格段に評価が高いのは、広重など他の浮世絵師とどこが違うのか? その比類なき凄い才能と魅力を追求してみました。ざっとでも読んでいただけると嬉しいです。ご感想・ご意見などをブログにコメントいただけると大変感謝します。

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dezire様 (kiriy)
2018-01-24 01:14:47
訪問及びコメントをありがとうございました。

早速、dezireさんのブログも訪問させていただきましたが、とても軽く読み飛ばすようなものではなかったので、またゆっくり訪問させてください。

「北斎とジャポニズム」は見ごたえがありましたね。
作品数も多く、企画としても面白く分かりやすかったです。
またこれからもよろしくお願い致します。
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