事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「エイリアン2」Aliens (1986 FOX)

2010-01-04 | 洋画

Aliens02 前回の特集はこちら

「アバター」の原点として再見。っていうかレーザーディスクまで買っていたのでこれまで何回観たかわからない。もちろん観るたびに発見はあるわけで、今回はキャメロンのキャラづくりに感心。

リプリーが前作のラストから漂流してしまうことで“娘を喪ってしまった(しかも老衰で)母親”となり、また入植者の娘であるニュートを守るために最後にエイリアンクイーンとの母親同士の闘いに臨む……図式的だけれど娯楽映画として高レベルな設定はおみごと。リプリーの娘に子どもがいなかった設定は、そっちを追求すると収拾つかなかったからだと思います(笑)。

それ以上に今回うなったのは、リプリーの庇護者たちのキャラ。海兵隊+アンドロイドが総掛かりで彼女を守るドラマになっているわけだけれど、もっとも戦闘経験が豊富で頼りになる鬼軍曹エイポーンをさっさと死なせておき、あとを継いだのが「ターミネーター」でもおなじみマイケル・ビーン演ずるヒックス。彼を単純なヒーローにせず、惑星への降下の際にすぐに気を失ってしまう描写を挿入したり、ラストでは動けなくしておいてリプリーVSクイーンの一騎打ちに参加できないようにするなど、芸が細かい。

また、ビショップがアンドロイドであることでリプリーの怒りを誘うわけだけど(前作ではひどい目にあってるから)、判明するきっかけは、隊員ハドソンの手に自分の手を重ね、指先にナイフを速射して見せ(あれ、何の映画の引用だったか忘れてしまいました)、しかも失敗してしまう!から。

傷ついたのはハドソンではなく、ビショップ本人の指であり、白い血が流れることがきっかけだったのだ。つまりこれは、観客にアンドロイドが完璧な存在ではないということと、しかしこのタイプのアンドロイドは、自らを傷つけながらも(そしてプライドがありつつ)人間を守るというルールを示しているのだ。二重三重に意味を付与しているので、脚本としては満点なシーンなのでは?

また、重機&銃器に対する思い入れもたいしたものだ。登場する(残りの銃弾数が表示される)武器はキャメロンがデザインする念の入りようだし、いったい何度鉄板をバーナーで焼き切る場面があったことか。

「悪夢にうなされるほどの思い」をしたエイリアンの惑星に、なぜリプリーがふたたび出征(まさしく)するのかの工夫が、「もう悪夢にうなされたくないから」は納得できる。ま、リプリーの髪形はもうちょっとなんとかなんのかったのかとはつくづく。

それ以上に、入植して20年もたっているのに、なぜリプリーの報告があってすぐにエイリアンと入植者が遭遇するのか、は忘れてました。まあ、“カンパニー(会社)”の利益追求が目に余るために社員の良心が反逆する、ってのは(あまりに短絡的だとは思うけど)「アバター」で再び語る価値のある話だとキャメロンはふんだのだろう。封切り当初よりも興行成績が不気味にのびている「アバター」なので、その選択は正しかったのかも。

ただね、これだけは言っておこう。「タイタニック」の余勢をかって「アバター」がヒットしているのはいいが、「エイリアン2」に関しては興行的に問題もあった。確か秋の公開だったんだけど、正月に封切っていればもっともっとはるかに稼げたのに、とは当時の評判。わたしもそう思いました。あのときの正月映画ってなんだったっけなあ……

コメント
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