大福 りす の 隠れ家

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僕と僕の母様 第153回

2011年08月22日 17時34分49秒 | 小説
『僕と僕の母様』  目次

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僕と僕の母様 第153回



「・・・今知った。 ・・・って、本当にいたの?」 疑いの目で見てみた。

「なんだよー その目は いたに決まってるじゃないか だからこの会話を 言ってるんじゃないか」

「誰かに聞いたとか?」 本当か?

「お前のことは 面接の時から三年間 きっちり覚えてるよ。 入学式の時も しっかりと見たよ」 薬指に光る指輪を キラキラさせて 僕を何度も指差した。

「へー、そうなんだ」 この若造は 見かけによらず っていうところが あるみたいだ。

きっと 僕だけではないだろう。 生徒一人一人を 自分の目で 見ているのだろう。 ちょっと見直した。

その後も 順平やランボーと 他の先生だったら 知らないこと、知っていても 気にも止めないから 忘れていることを チャイムが鳴っても それを無視するかのように 延々と喋っていたのだ。

そして そのまま時間が過ぎ とうとう完全下校の時間に なってしまった。



若造がキラキラさせていた その指輪

電子回路 最後の授業の日のことだ。

何人かが 教卓にいる 先生の周りを取り囲んで 話をしていた。 すると 急に大きな声で

「あ、先生結婚したの?」 左手の薬指に 指輪をしているのを見て 一人の奴がそう言った。

「俺知ってる。 音楽の先生だろ」 え、音楽って?

「音楽って あの女の先生だよな。 そう言えば 最近見ないよな」 え、あのブラバンの時の 先生のこと? 

「うそー、いつしたのさ」 そうだよいつだよ。

「うるさいなー ほっとけよ」 照れてる。 そういえば 女の先生を いつからか 見なくなっていたが そう言うことだったのか。 

へぇーそうなんだ。 あのブラバンの女の先生と 結婚したんだ。 あの先生とは よく話をしたが そんなことは 聞いた事がなかった。 まぁ、生徒にそんな話を するわけも無いが。

そしてついでに言うと その会話には 続きがあって


「まあ、まあ そんなに照れることは ないじゃん。 それよか 僕等生徒 みんな可愛かったでしょ」 順平が言った。

「ああ、本当にお前達は 可愛かったよ。・・・アイツ以外はな」 僕と目があった!

「何でですかー?」 何でだよ!

「お前は本当にな・・・腹立つ」 蹴ってやろうか。

そうなんだ。 蹴ってやろうか・・・。 

他の先生に そんなことを言われると 蹴ってやろうかなんて思えない どちらかといえば 落ち込んだり、何が原因なんだろうと 考え込んだりしてしまうのに この若造には 蹴ってやろうかで 済んでしまうのだ。 何なんだろうか。



家に帰って 補習授業で 若造と話したことを 母様に話したのだが 母様は他のお母さんと やはり感性が違うのか 予想してない返事をしてきた。

「ふーん、嬉しいわね」 それが第一声?

「なんで?」 わけが分からない。

「それって言うのは 先生が陵也のことを キチンと覚えていてくれてる って事じゃない。 良いにしても 悪いにしても 自分の名前と自分の顔を 覚えて貰うっていうのは 嬉しい事よ。 陵也は今までの学生生活の中で そんなことなかったでしょ? 今、中学の時の 担任の先生に逢っても 陵也のことは 覚えてないはずよ」 ああ、そういうこと。

「まあ、そう言われれば そうだな」 確かに こっちが覚えていても 相手に覚えて貰っていないというのは 寂しいことだ。

「やっぱり若造って いい先生じゃない。 こんな影の薄い陵也を 覚えてくれてるなんてね」 それが親の言うこと?

「そこまで言わなくても・・・」 どうせ僕の事なんて 誰も覚えてないよ。



二日後、見事僕とランボーは 追認テストで合格した。 順平は落ちた。

システム的には ギリギリ卒業式まで 何度か追認を してくれるらしいが 卒業式までには 何とか間に合ってほしいものだ。
 





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