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★ 2015.08.27  < 天津倉庫爆発 幹部処罰幕引き後 実務改革のフォロー報道は誰が? > 

2015-08-27 14:37:39 | トーク・ネットTalk Net
 ★ 天津市幹部ら11人を立件 爆発事故、早期幕引き図る http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM27H1M_X20C15A8EAF000/
・ 例によって、というべきだろう。   立件されたのは
  天津市の交通運輸委員会や安全生産監督管理局の幹部のほか、事故が起きた天津港を統括する国有企業「天津港集団」の鄭慶躍総裁ら。
  倉庫を経営していた地元企業「瑞海国際物流」が基準を上回る量の危険物を保管していたにもかかわらず、安全管理を怠ったことが違反行為に問われた。
・ 今回の爆発事故の責任を巡り、瑞海国際物流の董事長ら12人が違法に危険物を所持していたなどとして既に拘束された。企業などの安全問題を所管する
  国家安全生産監督管理総局の楊棟梁局長(閣僚級)も「重大な規律違反と違法行為の疑い」で摘発している。
中国の場合、トップが立件されるというのは刑事罰を科されるのであろう。だが、およそモノに携わる実務業界に居た人ならわかるとおり、安全管理や防災管理が改善され事故撲滅体制が機能するには、トップではなく現場の管理監督者及び従業員まで含むシステム構築及び徹底的な教育の実行が伴わないと駄目であり、幾らトップの首を挿げ替えても事故リスクは変わらない。 その辺りが真に今の中国が抱える問題であり、無論それは天津に限らない。
  私は現役コンサル時代、数回クライアントの経営する日系現地工場を訪問し現場を見たが、日本人並の緻密さが行き届いているとは残念ながら言えず、出向者の一番の悩みであった。 もう10年になるが、この事故を見ると実態はどうやら変わっていないらしい。
 読者には<釈迦に説法>だが、上に述べたシステム構築とはITシステムのことではなく、工程管理/品質管理と連動した業務手順の標準化、そしてそれらの遵守が人事考課と連動することが前提であり、それなくしてITシステム導入もへったくれもない。 幾ら<わが社はISOxxxxを取得しました!> と恰好だけ繕っても事故は防げない。 日本と違い、自力で<川上から川下まで>産業開発した歴史の無い中国で、品質管理と同様に安全管理が上辺だけを真似る仕儀に陥ったのは理解できるが、真に根深い問題は、当の中国人自身に謙虚な姿勢が見られないことだ。

 そもそも、コンピュータにしてもISOシステムにせよ、2元論思考の得意な欧米人の編み出したもの。仕事をするのにマニュアルを先に創る習性ひとつとっても解るように、彼等はシステマティックな思考体系で「安全」「防災」を捉えている。 此の点、日本人は遺憾ながら彼らに未だ及ばないが、持ち前の几帳面さ+緻密さで或る程度はカヴァーしてきたのが実情だ。  
 では、中国人に同じことが今すぐできるか? 中国産業界の実情を知らない機関/個人投資家が知りたいのはこれであり、逆に日本の実業界に居る人々が「まだまだ・・」とほくそ笑む点がここだ。   申し訳ないが、私の答えは「ノー」である。 
 私は日本の業界新聞/メディア等に、トップ交代劇ではなく、この実務レベルでの改善/改革を今後もしつこくフォローしてもらいたいと願っている。
コメント
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