これまでにもあった女の暗殺者を主役に据えた映画ですが、これまでのものとはかなり違った物でした。
【あらすじ】
暗殺者のエヴァは請け負ったフランスでの仕事で相手を殺す前に、何故自分が殺されるか知っているかどうかを聞きますが、
そのことを尾行してきた正体不明の女が盗聴しています。
その後彼女は故郷に戻り、病気で入院した母親に会いますが、自分の仕事についてははっきりと答えません。
そして上司のデューク(ジョン・マルコビッチ)から次の仕事を命じられ、サウジで実行しますが、
その途中で警備の軍人たちが駆けつけたので、戦闘のすえ、何とか脱出します。
組織の上層部はエヴァが相手を殺す前に、殺される理由を聞くことを問題視していたので、
そのことでエヴァを抹殺するために罠に嵌めたのではないかと彼女は考えるのでした。
【感想】
エヴァはもともとは優秀な学生だったにも関わらず、その後、薬物絡みの事故を起こしたので、
米軍に入り、退役後に暗殺者になるというのは実際に在りそうな感じでした。
暗殺者の仕事を続けながら、依存症患者の自助グループに通っているところなどは、多くの退役軍人が
依存症を抱えながら暮らしている米国社会を反映した内容だと思います。
また、先のメキシコの選挙に関する報道で、麻薬カルテルが米国やメキシコの特殊部隊出身者を雇っていることが
報じられていたので、そのことはエヴァのことと重なる内容でした。
これまでの女暗殺者を描いた映画の多くは、主人公を超人的に描いていますが、この映画では主人公を様々な問題や
弱さを抱えた人物として描いているところが、これまでの物とは違う点だと思います。
米国では戦争から帰還した兵士の多くが様々な問題を抱えていて、ホームレスになっている人も多い
という現状が影響しているのでしょう。
その点が一番これまでの同様の映画との違いでしょう。
映画『AVA/エヴァ』予告編