一月万冊 清水有高×平田悠貴
この海兵隊員は、大学卒業間近にカブールで亡くなりました。
彼女の妹が代わりに卒業式に参列しました。
2021年8月26日、カブールのハミド・カルザイ国際空港のアビー・ゲートの外で自爆テロが発生し、
死亡した13人の米軍兵士のうちジョハニー・ロサリオ・ピカルド軍曹がいました。
彼女は25歳でした。
ジョハニー・ロサリオ・ピカルド軍曹はオンラインで取っていた学位を取得できませんでしたが、
ミズーリ大学コロンビア校は土曜日の卒業式で彼女を称えることにしたと、地元のニュースステーションKOMU 8が報じました。
KOMU 8によると、ジョハニー・ロサリオ・ピカルド軍曹の妹のロージー・ピカルドさんが卒業式に参列し、
ミズーリ大学のデビッド・ラッセル学長から名誉学位が授与されたとのことです。
「我が国の軍隊で現役で働くことは、簡単なことではありません。」と、ラッセル学長は述べています。
「また、大学の授業をフルタイムで受けることも容易ではありません。
しかし、ジョハニー・ロサリオ・ピカルド軍曹はその両方をうまくやり遂げたのです。」
「ジョハニー・ロサリオ・ピカルド軍曹は国と地域のために尽くしていました。私たちは彼女の死を深く悲しみ、
今日、この学位を授与することを光栄に思います。」 と話しました。
また、KOMU 8が報じたところによると、ジョハニー・ロサリオ・ピカルド・スカラーシップという奨学金の創設も発表されました。
この奨学金は、コロンビア校の将来の軍関係者の学生のために、Veterans United Foundationからの
寄付金によって設立されたものとのことです。
ジョハニー・ロサリオさんは、大学に通う理由について書いたエッセイの中で、「母に誇りに思ってもらいたい。」と記しています。
KOMU 8によると、ジョハニー・ロサリオ・ピカルドさんは「学位を取得したときに母に誇りに思ってもらえるように、
そして大学に通うことでもっと多くの扉が開かれ、私の価値が上がるからです。」と書いていたとのことです。
ワシントンポスト紙によると、マサチューセッツ州ローレンスで育ったジョハニー・ロサリオ・ピカルドさんは、
数学、科学、技術に優れ、生徒会やジュニアROTCに熱心に参加していたとのことです。
ジョハニー・ロサリオ・ピカルドさんの母親で、スペイン語しか話せないコロサ・ピカルドさんは、
通訳を通してKOMU 8にこう語りました。
「彼女は一生懸命働き、厳格で献身的でした。彼女は、自分と家族のために、より良い人生を送りたかったのです。」
コロサ・ピカルドさんは、娘がその勤勉さを認められ、記憶されることは嬉しいことであると付け加えました。
コロンビア校の戦略的コミュニケーション担当シニアディレクターであるサム・フルーリー氏は、KOMU 8に対し、
「彼女の家族をキャンパスに招き、彼女を称え、彼女の犠牲と彼らの犠牲、
そして彼女の精神を知ることができ、大変光栄に思っています。」と述べています。
主に大学に設置された教育課程で、60年代くらいまでは義務化されていた大学もありましたが、
反戦運動などの影響で任意になったとのことです。
自分の専攻する学部などに所属しながら参加するコースです。
現在の米軍士官の約40%がROTC出身。特に陸軍に多く、陸軍の士官の55%がROTC出身だそうです。
卒業後の数年間は、軍務(現役・予備役、または州兵)につく義務がありますが、
在学中は学費の全額か一部を支給され、更に奨学金何百ドルかを受け取れるとのことです。
米国では結構、競争率の高いコースのようです。米国では大学の学費がとても高いことも
関係しているのでしょう。
元国務長官の故・コリン・パウエルさんもこの制度出身とのことで、色々有名な方が
在籍したようです。
韓国にもあり、毎年約3000名の士官を輩出しているそうです。
ウクライナで亡くなった方が通っていたJROTCというのは、その高校版なのでしょう。
取り上げている産経の記事がありました。’14年のものなので、かなり以前の記事です。
他にも紹介している日本語ブログが有りました。
アメリカ陸軍士官候補生課程とは? | アメリカ陸軍士官への道 - 楽天ブログ
関係と居場所の生成
著者の以前に書かれた「自閉症の現象学」が良かったので本書も読んでみました。
大阪・西成で困難な状況で暮らす子供たちやその親族と関わり、
関係と居場所を作ってゆくことについて書かれた一冊です。
心理系の物ですと、特定の治療者が深く特定のクライアントと関わり、
面接室の中で関係を深めていくことが描かれますが、本書では様々な職種の方が連携して、
広い範囲で長い期間にわたり関係を持ち続け、支援することについて描かれています。
主に5人の支援関係者を取り上げたものですが、様々な職種の方が
継続して在る施設を中心に、様々な形で子供やその親族に長期にわたり継続して関わることが、
いかに子供への虐待などの対応に必要かが解る内容です。
困難な状況で暮らす子供の多くは、家庭が居場所として機能しておらず、
本人やその周囲の親族も、誰かが支援してくれるという発想や知識も無いため、
日常的な様々な場所で支援者が活動し、「SOSのケイパビリティ」を育ててゆくことから
始めることが必要というのは、支援活動を特定の場所で長く続けているから
解ることなのでしょう。
最近、メディアで話題になった「トーヨコキッズ」達も、家の近くに気軽に立ち寄れる施設と
支援者が居れば、あのように東京の中心部までわざわざ行く必要もなかったのだろうと思いました。
現代の母親を尾野真千子が好演の一作
前作「生きちゃった」が良かった石井裕也監督の映画ですが、
こちらは母親とその子供を中心に描いた映画です。
[あらすじ]
夫を交通事故で亡くした良子(尾野真千子)は、加害者側の不誠実な対応のため、賠償金を受け取らず、
息子と二人で暮らしています。
公営住宅で家賃は低く抑えられていますが、それでも生きていくため様々な仕事をして
なんとか暮らしているのでした。
色々と思うことがあっても、話せるのは職場の同僚のケイ(片山 友希)くらいなのでした。
[感想]
良子役の尾野真千子さんは難しい役柄をしっかり幅広い演技で演じていて、
同僚のケイ役を片山 友希さんが控えめにうまく演じていました。
最優秀新人賞を取っただけの事はあると思いました。
特に最初に二人で居酒屋に行った際に、良子が喋りながら体が揺れてくるあたりは、
限界まで怒りや悔しさを抑えていることが伝わってくるシーンでした。
様々なところに張り巡らされた社会のルールが、いかにその中で生きる人を
しばって生きにくくしているのかが解る映画でもあります。
最近は日本企業の様々な商品やサービスが、海外で存在感がなくなり、売れなくなってきている
と言われますが、国内が様々なルールでがんじがらめなので、そこに生きる人の
活力を奪っていることもそうなった原因なのではないかと思いました。
お金を使うシーンの度に、何に幾らかかったかが表示されるのも、
いつもお金の事を気にしなければならない主人公の状況をうまく表していたと思います。