TVおじさん

世相の鏡であるテレビから学び、時として批判も。メディア表現にも触れる。まだ元気、散策の想い出も綴りたい。

順序を誤り? “豹変”

2012-06-05 | メディア

 

 脱原発・再稼動反対を掲げて議論を続けてきた関西広域連合、

6月1日の朝日は「再稼動 関西の豹変」と見出しをつけて報じた。

リード部分では「橋下大阪市長ら関西の首長が」としているが、

記事の中身はほぼ橋下氏の言動と態度で埋め尽くされていた。

まず「うわべばっかり言っていてもしょうがない。事実上の容認ですよ」という発言を紹介し、

「態度を豹変させた背景には、夏の電力需給への不安がある」と解説している。

さらに、「手立てもないまま夏を迎えてしまう」、

嘉田滋賀県知事の「『夏を乗り切れない』という

悲痛な声も斟酌」などの言動を並べている。

 確かに“豹変”と指弾されても仕方がないが、

県・市など地方自治体の役割という視点から考えると

議論の順序を間違えたためといえる。

関西広域連合が手をつけるべきことは、

まず“今夏の電力不足を乗り切ることができるのか”

“市民生活・企業活動にどのような影響が出るのか”といった

視点から入るべきだったはずだ。

ともあれカッコよく“脱原発”を掲げたために

訳の分からぬ“限定的”といったことばも出てきた。

橋下氏の“うわべばっかり”という発言は実に分かりやすいが、

長たる者が集まって、順序を考えずポイントのずれた議論に

無駄に時間を費やしてしまった。

 

順序を間違っていなければ、今頃関西広域連合として

“脱原発”の指針作りにむけての議論に踏み込めていただろう。

「首長は家計を守る主婦のようなものだ」といった人物がいたが、

首長たるものあまり偉そうに政治家ぶるよりは、

地域を第一に据え謹厳実直に職責をまっとうしてほしい。

 

「社会の公器」といわれる新聞ならこうした点をきちんと指摘すべきだろう。

人気のある橋下市長ばかりを浮き彫りにしたため

余計に焦点がぼけてしまった。

このような記事の組み立てに私は賛同できない。

 

文句のついでにもう一点、

5月31日付1面の「原発減らす道筋示せ」という編集委員の解説記事。

「政府は原発をいつまでにどのくらい減らすのか、

かわりにどう電力を賄うのか、道筋を示すべきだ」としつつ、

「原発2機が稼動しても、何も解決しない」と結んでいる。

はっきり言って意味不明。

稼働によってこの夏の電力不足が

大幅に改善されることは間違いない。

私としてはこの記事の中に埋没した

「このまま多くの原発を再稼動してはならない」という主張を軸に

展開してほしかった。

 



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