TVおじさん

世相の鏡であるテレビから学び、時として批判も。メディア表現にも触れる。まだ元気、散策の想い出も綴りたい。

醤油の里の“近代建築”

2013-02-22 | 近代化遺産

油煙に燻されたような真っ黒の瓦と白壁、

淡口醤油発祥の地として知られる龍野の町のあちこちに

醤油蔵が残っています。

“播磨の小京都”と呼ばれるこの町の風情が気に入ったこともあり、

は桜の季節など折にふれ足を運んでいます。

 

この町でやや異質な雰囲気を醸しているのが、「うすくち龍野醤油資料館」とその「別館」です。

資料館の名の通り、往年の醤油作りの流れがひと目で分かる展示や、

貴重な資料が集められていますが、建物はいずれもルネッサンス風の近代建築です。

醤油醸造が産業として近代化に踏み出した時期と符合するようにも思えます。

資料館はヒガシマル醤油の本社として、また別館は龍野醤油協同組合の本館として使われていたそうです。

資料館を訪ねて嬉しくなるのが入館料です。

 

大人・子どもいずれも10円、しかも別館(日曜日のみ開館)も可。

多くの人たちに見てもらいたいという意図が伝わってきます。

そして別館2階には、温泉地の有馬で生まれた日本画の山下摩起画伯の作品が常設展示されています。

平成元年、神戸市立博物館で、橋本関雪・村上華岳・東山魁夷らと並ぶ

“神戸ゆかりの巨匠”として紹介された人物で、今年没後40年の記念展も開かれました。

私は取材という形で別館の陳列に少し関わりましたが、

ヒガシマルの文化芸術を大切にする姿勢に感服しました。

“近代化遺産”の継承には、少なからず当事者のこだわりが必要である思い知らされました。