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山梨に住むユタカのブログ。地元ヴァンフォーレを応援してこのブログもなんと19年目を迎えました。ACL効果でJ1昇格だ!

清水エスパルス戦を振り返る【J2第27節】

2024-08-20 | Weblog
8月17日にアウェーで行われた明治安田J2リーグ第27節清水エスパルス戦ですが、試合結果は0対3でヴァンフォーレは敗れてしまいました。


☆先発変更は2人
約3週間の中断期間明けから連勝中と復調してきたヴァンフォーレ。相手は現在首位に立っている好調清水ということで厳しい戦いになることは想定できていましたが、こちらも調子の良さをピッチ上で発揮できれば白熱した好ゲームになりそうな雰囲気が漂っていました。3連勝を狙うヴァンフォーレは前節の藤枝戦から先発を2人変更。足の違和感で試合のメンバーから外れたエドゥアルド マンシャ選手に代わり大卒ルーキーの井上選手が出場。井上選手は今シーズン2度目の先発抜擢ということで、普段は中央の位置に入って守備のバランスを見ながら見極める ‘静’ のディフェンスをすることが多いのですが、今回は3バック左側のCBにポジションを取り精力的に動く ‘動’ のディフェンスを行っていましたね。そして佐藤選手に代わりヘナト アウグスト選手の起用は相手が清水だからという関係性もあると思います。ヘナト選手は今シーズンヴァンフォーレに加入する前は5シーズン清水に在籍していましたが、その在籍後半は長期離脱するケガを何度も負ってしまい長いリハビリ生活を強いられていました。ほとんど出られない状態でひっそりとクラブを退団しヴァンフォーレに加入した経緯があったので、敵チームといえども長く在籍していたチームに対して復活したヘナトアウグストここにありというインパクトのある活躍をしたいと本人は思っていたはずです。清水戦に賭ける意気込みは誰よりも強いと思うので、大塚監督はその想いを尊重し彼を先発に抜擢したと思いますね。連勝中の安定したメンバーを中心としてさらにこの2人を加えた良い化学反応が起こることを期待されていました。

☆右サイドを崩されて失点
試合のスコアが動いたのは前半32分のことでした。攻勢を仕掛ける清水は右サイドからバイタルエリアを経由してショートパスで右から左へ移動させていくと大外にいた山原選手がクロスボールを供給。そのボールにゴール前で待っていたのはカルリーニョス・ジュニオ選手でした。細かく見てみるとクロスに合わせるためニアに入ってきた北川選手に林田選手が釣られて動いた影響でその裏に一瞬スペースが生まれます。そこのスポットに走り込んだカルリーニョス・ジュニオ選手にボレーで押し込まれたかたちとなりました。ヴァンフォーレとしたら林田選手と井上選手のポジションの間をちょうど狙われたので組織的な対処方法は難しかったと思います。普通はシンプルにワンタッチでクロスボールを入れてきたら背の高い選手が跳ね返せる確率が高いのですが、この日のヴァンフォーレの3バックは178cm・175cm・172cmと3人とも上背のあるタイプではなかったので、その点でも清水にハイボールの攻撃で狙われていた感じがしました。この試合は結果的に3失点しますが、個人的にはこの先制点の影響がヴァンフォーレに重くのしかかっていたと思います。

☆積極的な守備からのショートカウンター
前半1失点はしたものの、ヴァンフォーレの戦いぶりは決して悪いものではありませんでした。それは大塚監督が推し進める一体化した守備からの速い攻撃ができていたから。前に積極的に奪いに行くディフェンススタイルで特にヘナト選手がいるボランチの位置でボールの回収ができており、そこから攻守の素早い切り替えによるショートカウンターで数多くのチャンスは作り出せていました。前半5分の鳥海選手が右サイドを抜け出しての左足シュートや、ゴールライン寸前でクリアされますが早いリスタートからウタカ選手が抜け出し飛び出してきた相手GKの頭上を抜くループシュート&アダイウトン選手の強引な突破からゴールバー直撃の惜しいシュートなど、あと少しでゴールネットを揺らせそうなシーンが多々あったのは忘れてはいけません。何度もあった決定機を一つでも決めていれば試合展開も大きく変わったものになっていただけに、そこで自分たちを苦しめる試合になってしまったと思います。試合トータルの数を見るとヴァンフォーレの10本に対して清水は21本と差が開きましたが、前半のシュート数で見るとともに7本ずつと互角の展開だったことが分かると思います。1点ビハインドの状況でハーフタイムに入りましたが、前半のような戦いを後半も引き続きできたら追いつくことは可能と個人的には捉えていましたね。

☆アダイウトン選手退場処分
ゲームプランを大きく狂わすような場面が後半開始直後に訪れます。後半開始1分、後方からのロングフィードを後半から入ってきたマクーラ選手がヘディングで落とすと、そこに走り込んだアダイウトン選手がワントラップして前方に抜け出します。トラップは少し大きくなりましたが、懸命にボールに触ろうとするアダイウトン選手の伸ばした足と飛び出してきた清水GK権田選手の頭が接触。大事には至りませんでしたが危険なプレーと判断され、アダイウトン選手はレッドカードによる一発退場処分を受けてしまいます。後半早々に退場者を出したことで残り45分間+アディショナルタイムを1人少ない10人での戦いをしなければいけなくなったこと、そしてハーフタイムに後半開始に合わせて中山選手に代わり木村選手&ウタカ選手に代わりマクーラ選手と2枚の交代枠を使用していたため、10人で辛抱強く戦える最適なメンバー構成がすぐに組めなかったこともゲームプランが崩れる要因になっていたことは間違いないと思います。

☆戦う気持ちを削がれた清水の2点目
10人になってからのヴァンフォーレは、5人で最終ラインを形成しながら3枚の中盤とトップにマクーラ選手を置き戦う5-3-1のフォーメーションで安定感を取り戻そうと試みます。しかし守備に人数が集まり重心が後ろ側に重くなったこととマクーラ選手をターゲットにした単発のカウンター攻撃は相手守備陣のディフェンスの的が絞りやすくしかもフォローも少ないので、マクーラ選手はなかなか効果的なポストプレーがこなせずにもがく時間が続きます。クリアボールを相手に回収されては再び守勢にまわる攻守が切り替えられない状態が目立ち始め、清水に押し込まれる展開が目に見えて増えていきます。ヴァンフォーレはなんとか10人で立ち直ろうと試行錯誤しているなかで、戦う気持ちを削ぐような2点目を後半12分にルーカス・ブラガ選手に決められてしまいます。やはり1人少ない状態で右から左へ守備陣が大きく揺さぶられたら個々のマークの確認もほぼできなくなります。最終的にはGK渋谷選手が触ってこぼれたボールを押し込まれたかたちとなりましたが、やってくるハイボールを力強く跳ね返せないとこういう事態が起こるというのは覚悟しなければいけませんね。接戦に持ち込みたかったヴァンフォーレにとって痛すぎる追加点となりました。

☆3点目は仕方ない
2点のリードを奪われ後がなくなったヴァンフォーレ。後半15分に村上選手に代わり武富選手&後半21分には足を攣ったヘナト アウグスト選手に代わり今津選手を投入。最後の交代枠で内藤選手をピッチに送り込みますが、清水に傾いていた試合のペースを最後まで引き寄せることができず。後半45分には清水の新加入FWヤクブ選手に決められて決定的な3点目を奪われると万事休す。3点目はヴァンフォーレが終盤の時間帯でリスクをかけて1点を奪うために攻撃的になっており、展開的に裏を取られるのはある程度目を瞑らなければいけない状況でした。攻めに行った結果取られた失点だったので3点目は致し方ないと思います。

☆敗因は?
この試合ヴァンフォーレが敗れてしまった要因として、コーチ陣や選手たちが試合の流れを変えるポイントを掴めなかったことを挙げたいと思います。ヴァンフォーレは前半を中心にウタカ選手やアダイウトン選手のシュートでゴールまであと一歩のところまで迫れていました。戦い方もヘナト選手を軸にして組織的な前へのプレスによって前目の位置でボールを奪えており、決して3点差がつくような試合展開ではありませんでした。しかしコーチ陣が後半開始に合わせてハーフタイムに2枚の交代枠を使って戦術の道筋を変えており、それが全く表現できないまま10人になったのはやはり痛すぎましたね。新加入マクーラ選手が10人での戦いで必要な前線のタスクを急に45分間こなさなければいけなくなったのも計算外。後半1分に10人になったときにすでに2人交代して新たな計画プランを立てたことが裏目になったこと、その混乱に乗じて追加点を決めた清水のしたたかさ、そして攻めざるを得ない状況でその裏のリスクを狙われたことなど、この敗戦は攻守の試合の流れを捉えられなかったチーム全体の責任だと思います。

そして3バックに競り合いが強いタイプの選手が出ていなかったことも響きましたね。1点目や2点目などきちんと長身選手がポジショニングを取っていたなら跳ね返せたと思うので、井上選手も頑張っていましたが、184cmの今津選手を先発起用していたらそのピンチが防げた可能性が高いと個人的には思います。もちろんそれは結果論。彼らだけでも競り合いは大丈夫と思わせるような工夫されたディフェンスを今後披露してほしいですね。


…この敗戦によりヴァンフォーレの今シーズンの成績は、8勝8分け11敗の勝ち点32は前節と変わらず。順位も14位をキープできています。J3降格圏となる18位栃木との勝ち点差は ‘7’ 、J1昇格プレーオフに参加できる6位山口との勝ち点差は ‘12’ となっています。もちろん下との勝ち点差は今よりももっと広げられるように、そして現実的には厳しい状況にはなっていますがJ1昇格プレーオフの出場権を獲得する可能性は0%ではないので、数%でも残されている限りはしたたかに狙って最終的にその座に滑り込めるように努力し続けてほしいと思います。



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