信州諏訪発気まぐれ親父のブログ

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泥棒役者

2018-01-30 11:11:15 | 映画

今年初の「邦画」となりました・・が、昨年公開の作品ですが、多少遅れて期間限定で公開されたので観に行きました では

泥棒だった過去を隠し、恋人と幸せに暮らす溶接工員の大貫はじめ(丸山隆平)は、かつての泥棒仲間・則夫に脅され渋々盗み

を手伝うことに。絵本作家の豪邸に忍び込むも次々と人に見つかり、出会った人から豪邸の主人、絵本作家、編集者と勘違いされ

てしまう。泥棒であることを隠すため、はじめは各人物に成り切ってその場をしのごうとするのですが・・・

元が舞台だからか、ほとんどが作家の家でのシーンになりますし、基本的には終始コミカルな調子で進んでいきます。

登場人物が個性的でみんな少しずつクセがあり、ユーモラスで思わずクスリと笑ってしまう場面がてんこ盛りなのですが最近の

下品な笑いは皆無なのがとても気持ちが良かったです。泥棒に入るというストーリー上「バレるか!?」と緊迫する場面は何度も

訪れるのですが、前後のコミカルさと特徴・性格の柔らかさに加え、毎回すぐに疑いから逸れるため、安心して観られます。が

テンポがいい分、逆に「今回はバレる!?」という期待感が何度も味わえて飽きも来ませんでした。また、序盤は完全にコメディ

ですが、最後まで面白おかしいだけ、な訳ではありませんでした。ひょんなことで屋敷に集まった元泥棒、絵本作家、編集者に

セールスマン・・・全員心優しく思いやりがあり、程よくおバカ?でいい人たちなのですが、実はそれぞれ大きな後悔を持っており

主人公が泥棒という正体を偽るために嘘に嘘を重ねる中で、本音で交わした言葉が、周りの人との触れ合いの中でおのおの、今迄の

つまずいた記憶に向き合う力になっていきます。

やっぱりこの監督、笑いを挟まないと気が済まないのでしょうか?シリアスな中にも逐一クスリとしてしまう場面があります

矛盾やツッコミどころ満載なところも含めて何度も笑ってしまいました。そして高畑充希さんの言葉にも感動。

個人的に最後には童話のキャラのメッセージに勇気づけられ、そっと背中を押してくれる暖かさを感じる映画でした。

まさか、エンドロールで涙ぐんでしまうなんて思いもよりませんでした。バットエンドでもなければ、なにか特別に感動させる

終わり方でもないです。作中で少しずつ胸に溜まった、優しくててじんわり温かく、幸せな気持ちが自然と涙になるような、

不思議な感覚の作品でした      ☆☆☆