ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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さよなら未涼亜希

2014-08-19 07:00:00 | 宝塚コラム

 まさかこんな形で退団しようとは・・・・思いませんでした。

 

 花組の微妙な立ち位置

宝塚には下級生だけを好きになるファンがいます。

新人公演を卒業したらもう終わり。次の下級生をみつけていく・・・そして

せっせと手紙を送ったり差し入れしたりする。

私が未涼亜希の名前を聞いたのは、そんなファン達と付き合っていた頃でした。

その頃は私、あまり花組を見てなくて、かろうじて愛音羽麗くらいまでは知っていたのですが

たまたま「まっつのファンです」という人がいて、「まっつって誰?」とオペラグラスを

向けた程度でした

 

未涼が入団した1999年からの花組というのは、愛華みれを筆頭に

上級生がひしめいていた時代です。

二番手の匠ひびき、伊織直加、春野寿美礼、瀬奈じゅん、水夏希

若手有望株が沢山いました。

だから下級生がなかなか上に上がれない状態であったと記憶しています。

新専科制度で組替えや外部出演が相次ぎ、下級生といえども明日はどうなるか

わからない気分だったのではないかと。

私が未涼を意識し始めたのは2004年の「NAKED CITY」でした。

未涼は小柄で細くて、声も小さいような印象があったのですが、意外と演技力が

ある事に驚きました。

落ち着いた大人の役が似合う。

そうはいっても、声が細くて男役としてイマイチだよなあと思ったのは確か。

彩吹真央ファンだった私は、定期的に花組を見るようになりましたが、いつも

愛音羽麗の次という立ち位置で、いつもいつも微妙な立ち位置だったと記憶しています。

 

 花組の要に

そんな未涼亜希が実力をいかんなく発揮出来た作品として

太王四神記」のヒョンゴがあると思います。

ヒョンゴはコムル村の村長で玄武の守り主。

物語のナレーションを担当していました。

最初から最後まで冷静な役回りでしたが、未涼の滑舌のよさと落ち着いた声は

客席に安心感を与えました。

ある意味、ここが分岐点で、未涼は自分なりのタカラジェンヌの道を見つけ始めたのかなと

思いました

その後「虞美人」の張良役は未涼のよさを存分にいかしたものでした。

影の主役っぽくさえあったと思います。

 そうやって花組の重要な要としてやっていくのかなと思った頃、突如の組替え。

 

 何かが狂い始めた雪組時代

音月桂のトップ就任と同時に雪組に組替えになった未涼亜希。

これで彼女の立ち位置は決まったようなものでした。

要するに、「3番手以上二番手未満」という事です

こういう立ち位置ってけっこうきついものではないかと・・・・・・

いっそ専科扱いの方が楽でしょうか。

それでも宙組の緒月遠麻のように、無くてはならない男役として君臨することも

可能ですが、雪組の場合、早霧せいなの2番手は確定中の確定

早霧の欠点は「歌」ですけど、そこを未涼が全面的にフォローする・・・というわけでも

なかった。なぜならトップの音月が歌える人だったから。

ロミオとジュリエット」のベンヴォーリオや「黒い瞳」「ロックオン」などでは

音月と息のあった同期ぶりを発揮していたものですが、トップスター自体が器用な人

ですから未涼の自己アピールは空回りしていったような気がします。

3番手以上2番手未満」の生きるよすがは、全て同期トップがどれほど頼りに

してくれるかにかかっているのですが、未涼にはそれがありませんでした。

役も静かに小さくなっていったような気がします。

でも「ドン・カルロス」のフェリペ二世は素晴らしかったと思うのですが。

てっきり音月と一緒に退団するものだと思っていたら、残ってくれて

さらにバウ作品「ブラック・ジャック」で主演してくれたので、嬉しかった反面

「これはもしかして最後の花道?」と思ったりして

個人的には、音月のあまりに短いトップ時代の後、もとは一緒だった壮一帆の

時代を支えるべき重要な男役になって欲しいという願いもありました。

しかし、そんな時に夢乃聖夏の組替え

夢乃の存在感は圧倒的でした。

ベルサイユのばら」のジェローデル、「シャル・ウイ・ダンス?」のおどけた役等

とにかく自己アピールが素晴らしかった。

怪我の休演も重なって、あっという間に未涼の居場所が奪われていったのかも。

本当は早霧せいなトップ就任まで残る筈だったと聞いています。

それが唐突の退団発表。

もしかしたら未涼は自分が支えるというより支えられたかったのかもしれません。

重責に体と心がついていかなかったんだろうなと。

それは理解できるけれど、やっぱり才能がある人なだけに惜しみます。

 

 まっつへ

今は多分、1か月先の事で心が一杯で、回りの事も、自分がしてきた事も

何もかも目に入らない状態なんだろうと思います。

前田慶次」を二度見ましたが、あなたはどこかしらけていて、組子達の視線、

そしてファンの視線をまともに受ける事を拒否していたようですね。

あなたから受けるオーラは「ほっといてほしい」

こればっかりだった

ベルサイユのばら」の頃にはまだあったスター性がこうも見事に消え果るとは。

あなたをこんな風にした人の事、許せないです。

あなたはお母さんが元ジェンヌで、多分、小さい頃から「いつかはタカラジェンヌ」という

レールを敷かれていたのではありませんか。

宝塚という特殊な世界もあなたにとってはなじみのあるものだったに違いありません。

あまりになじみがある場所だったから、そこの本当の厳しさや落とし穴を感じる事が

出来なかった

世間知らずのまま、ある時自分の限界を知る。

その時の孤独と恐怖はどんなものだったでしょうか。

壮一帆のように自分を180度切り替えて、突き抜けるような明るさを持つ事が

あなたには出来なかった。

ただただ過去を思い、今を悲しみ、未来を憂える・・・そんな人だったのだろうかと。

私が舞台で感じていた落ち着きや骨太さは実は必死にまとっていた鎧だったのでしょう。

鎧をまとい続ける体力と気力がなかったんですね。

 

芸術の世界とは厳しいもの。特に宝塚は。

1+1が2にならない理不尽さ。努力だけではどうにもならない処遇。

いつしか迷宮に陥り、自分を見失っていく人が多い。

立ち止まって考える時間すらなかったんだろうと。

だけど、同情は出来ません。

まっつが「未涼亜希」として存在出来たのは、何といってもあなたを愛する

ファン達のおかげでしょう。

なけなしのお金を貯めてあなたの為にファンクラブに入り、チケットを買い

出待ちや入り待ちをしてくれ、真摯に舞台を見てお手紙をくれるファン達の。

彼らは無償の愛を捧げているのです。

ファンクラブの幹部の方々だって、どれ程の時間をあなたに割いてきたか。

その手間といったら半端なものではありません。

私は常々、ファンクラブの幹部に成程有能な女性ならきっと大企業でも

グローバルに活躍できるのではないかと思っています

それくらい、ファンクラブの運営というのは大変なことなんです。

一般のファンだって、あなたの為にグッズを買い、チケットを買い、お茶会に来てくれる。

雨が降っても雪が降っても「一目会いたい」一心で劇場の前に立ってくれる。

こんなに愛されているのに、まだ愛が足りなかった、私は愛されていなかったと

感じたのですか?

そりゃあ、ファンはあなたに期待します。もっと役付きがよくなってくれたらいいな、

組の中で出世してくれたら嬉しい。トップスターになって欲しいと。

その期待が重かったという事でしょうか。

耳に優しい事だけを言ってくれる人をあなたは選んだという事でしょうか。

大劇場のさよならの時、あなたは

今さら自分の生き方を変えようとは思いません」と言い切りました。

そりゃ勝手だけど、せめて「支えてくれてありがとう」くらいは言うべきだった。

ファンが心配するあまり、沢山のお手紙を上げたり声を上げたり・・・したかもしれない。

だけどそれを断ち切るような真似をしてはいけないでしょう。

ヅカファンのありがたみを知るのは10年後だったとして、その時、あなたは

2014年の今、大きなものを失った事に気づくでしょうね。

幸せになって欲しいとは言いません。

少しも幸せそうでない事が気の毒なだけです。

それでも今が幸せなのだと思い込もうとしているなら・・・それは違うと伝えたい。

舞台人にとって、「舞台」こそが命です。

誰でも立てる場所ではないからこそ、そこに立つ人間には「覚悟」が必要だし

精一杯努めなくてはならない。

その舞台から去って行かざるをえない行為が「愛」なのか。

相手の立場や心を少しも思いやらない事が「愛」なのか。

もう一度考えて欲しい。


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7 コメント

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Unknown (シチリアパン)
2014-08-19 13:10:09
未涼亜希に何があったのか、どういう心境なのか、私などにはわかりませんが
本当のサヨナラになる東京宝塚劇場千秋楽では、支えてくれた人々への感謝の言葉と共に
爽やかに去って欲しいと思います。そうしなければ、彼女自身の宝塚人生を否定することに
なってしまいませんか?

歌が上手くて滑舌のよい芝居のできる人ですものね、惜しいです。
いっそ専科がよかったのかなぁ? でも専科へ行った樹里ちゃんが、自分のいる組がないのは
寂しいみたいなことを言ってましたよね。

個人的には、歌の下手な人がトップである組の公演は行きませんでした。
上手くないダンスから目をそらすことはできても、ひどい歌声は耳栓でもしない限り
聞こえてきます。スター制度の宝塚ですからトップが歌う場面は多いですものね。



私の場合 (スザンナ)
2014-08-19 17:10:20
ラ・エスペランツアでしたっけ?
春野さんがダンサーで水君と霧矢君も出た正塚作品。
新人公演の主演もしたハズだけど
本公演の最後の方に、医者で出て
「おかあさん、聴診器聞こえないから静かにして!」
「薬が必要なのは お母さんの方みたいね~~」と
他の人が言ったら笑えない?せりふが
未涼さんが言うと何故かオカシイ
その辺りからチラチラ注目してました。
勿論ネイキッドシティも・・・
心中。恋の大和路の熱唱を聴いた時、これは覚悟を決めたのでは・・と危惧しましたが、案の定。
私はムシロ 今まで残ってくれて有り難う!
あの歌やベンボーリオだっけ?聞かせてくれて有り難う!と感謝カンシャ
客やファンに媚びたくないなら
貴女のミチを貫いて!とエールを送りたいです。
怪我さえなかったら・・なんて申しません。
永遠に居られない場所ですから・・・
貴女の思った通りに羽ばたいて行ってください。
Unknown (ふぶき)
2014-08-19 19:08:19
>シチリアバンさま
今は何も見えないのではないでしょうか。
辞めたあとの事しか考えてないというか。
多くのファンを失望させたのは事実のようです。

>スザンナさま
媚びたくない・・・というのではなく、心配してくれてるファンを傷つけているだけのようで。
ベンヴォーリオの頃に戻って欲しいです。
Unknown (はな2)
2014-08-20 01:00:24
私は音月桂ファンになったら、もう退団後だったという切ない心境の中、YouTubeで宝塚の男役の人達が嵐のカバーを歌っている動画を見てこの人大好き!と思った人がいて、それがまっつでした。その後音月桂をDVDで追いかける中、晴華みどりさんを好きになったのでロミジュリばかり店でかけていて余計にまっつが好きになりました。でもまっつにどんな事があったかなんて、にわかの私には全くわかりませんでした。ここで色々勉強中なのですが、いつも終わった後なのが切ないです。。今回の公演は席が取れず涙涙でした。

いつも思うんです。地獄・天国は自分次第だと。ただ、後半分はどうしようもない事もあるので言葉は悪いけどそれをどう誤魔化して自分なりの落とし所を見つけて出来る限りの事をやって、立ち位置を確保するしかないって。最初は片足でも自分の得意な事ならいずれ両足になると。もしまっつがまた新たな心境で舞台に立つ時が来たら絶対に行きたいと思います。私にとって初生まっつです。
Unknown (ふぶき)
2014-08-20 20:27:05
はな2さま
同じ気持ちです。
私・・以前にも同じような退団の仕方をした人がいて。それがねったんでした。
ねったんも、今はふっきれたように頑張っていますが、いかんせん活躍の場がないのが可哀想と思います。おおきな代償でした。
まっつに関しては、それ以上に生々しい話を聞いてしまったのでついつい書いてしまいました。
ごめんなさいね。
まっつ様 (グリーンぐりーん)
2014-09-08 00:26:06
人一倍努力家で 人一倍シャイで 人一倍甘えべたで 人一倍野心家

宝塚は 実力と努力だけでは どうにもならない運とタイミングを味方につけて 始めて勝利の女神が 微笑む世界。

まっつさんの立ち姿の美しさと歌唱の素晴らしさは 一生忘れません。
退団後の素敵なプライベートの写真も 拝見しました。
とても 女性らしいタンクトップ姿で 微笑むまっつさんを 拝見して 別の幸せを 見つけていらっしゃったんだなと 納得しました。
どうぞ お幸せに。
今まで 素敵な夢を ありがとうございました。
Unknown (ふぶき)
2014-09-08 07:48:24
グリーンぐりーんさま
まっつにお手紙を書かれては?

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