ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
毎日更新しています。

韓国史劇風小説「天皇の母」116(やりきれぬフィクション)

2013-06-20 10:40:00 | 小説「天皇の母」101-120

どうぞおかけに

サカモトはツツミを招き入れた。

宮内庁病院は古い。歴史があるといえば聞こえがいいが、時代から取り残されている感がいなめなかった。

先帝がいた時まではフルに活動していたが、どんどん機材は古くなり、建物も老朽化し、皇族方はみな

他の病院にかかるというのが現実だ。

しかし、産婦人科の分野ではまだ健在だった。

キコも宮内庁病院で産んでいるし、いずれマサコもそうなる筈だった。

「いやいや、本当に歴史を感じる建物ですね

とツツミは言った。運ばれてきたお茶。極上の玉露である事はわかるし、それが入っている茶器も一品物。

しかし・・・流行に乗り遅れているような?

アンティーク趣味があるわけではないツツミにとってはどうでもいい事だったのだが。

戦争で焼けてね。あの時はテルノミヤ様の出産があって・・・・東京に空襲があった時ですよ。防空壕でテルノミヤ様は

出産されました。その後、今の皇太子さまが生まれるときに改修中で・・・それから何も変わってないそうですよ。

皇族専用の病院でなくなったくらいでしたか。

ほら、ゴウヒロミ・・彼の娘はここで生まれたんですよ。格式は高い病院ですがね」

サカモトは軽い話で茶器をくるくると回した。

ところで」サカモトは続ける。

現在、ツツミ先生は非常勤でこちらにも関わって頂いていると思うのですが、もうすぐ正式に東宮職医師団の一人として

活躍して頂く事になるかと」

なるほど」

ツツミはちょっと嫌な顔をした。その表情を素早くとられたサカモトは頷く。

「お気持ちはわかりますよ。先年、基礎体温を出してくれと言っただけで逆鱗にふれた東宮職医師が結果的には辞表を

提出しました。妃殿下の度重なる無視とか、嫌味とか怒りとか・・・そういうのに耐えられなかったわけです」

基礎体温を測るなんて女性としては当たり前の事じゃないですか

それはそうです。しかし妃殿下は別な意識をおもちのようですね

世の中に一体どれほど不妊症に悩む女性がいると思っているんでしょう」

10人に一人・・・・」

いや、個人的には5人に一人、あるいは3人に一人だと私は見ています。表面化しないのは晩婚化の影響もあるでしょう。

今上の時代になってからディンクスという、結婚しても子供を持たない権利を主張する夫婦が現れた。

そして晩婚化が進み、少子化は歯止めがきかなくなる。みな、結婚しないから子供がいないと思っているが私はそうは

思っていません。一人産めば2人産みます。2人産めば3人産みますよ。でも、たった一人を産む事が難しくなっているのが

今の世の中なのです」

なぜなんでしょうね」

さあ・・・環境ホルモンとか言われていますが特定はできませんね。この空気中には有害物質がごまんとあるんですから。

日本は世界で唯一核を落とされた国ですよ。半世紀以上たってもその影響がないとはいえないのでは?」

「なるほど・・・・・」

「アメリカなどでは自閉症児が増えている事も報告されています」

なんと・・・・・」

自閉症児はその昔は親のしつけが原因とか言われていましたが、今は脳に機能障害がある立派な病気・・・障碍と

位置づけられています。しかしながらなぜ増えているのか・・・それはわかりません。でも、それは日本でも同じという事です」

日本でも増えているのですか?」

ええ、公にはされないでしょうが。ほら2年前に起こった例のサカキバラ事件を覚えていらっしゃいますか

覚えているも何も、いまだにあんな事件が起こった事自体信じられない思いで」

サカキバラと呼ばれる少年の脳にはわずかな障碍があった事が報告されています。自閉症・・・ではなく、アスペルガーという

名前の障碍にあたるわけです

「なんですか?それは」

さあ、私は専門ではないのでよくわかりませんが、もともと脳の発達段階で起きる障碍のようで、昔からあったそうですよ。

偉人の多くはこのアスペルガーだったと言われています。それがなぜ今、犯罪に結びついているのかはわかりませんが」

精神科の分野が今後発達しそうですな

「ええ。それはともかく、日本には不妊に悩む女性が多くいるのです。不妊検査にはパートナーの協力が絶対ですし、

その治療もまたしかりです。保険がきかないから費用だって莫大にかかる。それでも一縷の望みをかけて

不妊外来に通う夫婦は少なくない。私は、彼らの悩みも悲しみもとてもよくわかるのです。

ですから、日本で一番恵まれた環境で堂々と不妊治療が出来る皇太子妃がなぜ、基礎体温くらいで怒り狂うのかわかりません」

不妊検査を受けるまでがまた大変だったんですよ

サカモトはため息をついた。

結果的に妃殿下に問題があったわけですが、そうなったらそうなったでわめき散らして部屋に引きこもり・・治療がまた

さらにさらに大変で。妃殿下は学歴が全てと思っていらっしゃる。ハーバード大を出て外務省でご活躍されていた妃殿下には

子供を産めない自分を受け入れる事が難しいのでしょう」

なるほど・・・・・それはやっかいですな。あ、煙草を吸っても?」

「ええ」

ツツミはポケットから外国製のタバコをだし、火をつけた。

「高学歴の女はやっかいですか・・・」

プライドの高さは並大抵のものではありません。それが一旦傷つけられると100年でも200年でも恨みそうな勢いで。

私は精神科は専門外だと申しましたが、それでも妃殿下には何か精神的な問題があるのではないかと思っています」

というと?うつ病とか?分裂病のようなものですか?」

「さあ・・そこまでは。今までにない領域なんじゃないかと思う程ですよ」

サカモトはお茶をすする。タバコのいい香りが部屋に広がり鼻をくすぐる。

ツツミは正真正銘のエリート医師だ。

不妊治療の権威として日本中の女性の希望の星となっている。本人は全くきどらない人間だったのだが。

不妊治療はアメリカの方が進んでいる。その中でも顕微授精なる最先端の治療を施す事でも有名だった。

そんな妃殿下のお相手はとてもとても」

ツツミは苦笑いした。

「それに・・すでに治療に入っているんでしょう?」

ええ。排卵誘発剤を使っての治療を行っています。が・・これがなかなかうまくいかないのですよ」

まあ、すぐに結果が出るというものでは」

いや。それだけじゃありません」

サカモトの表情がこわばった。

「妃殿下は・・・喫煙と飲酒の癖がおありになるのです。通常、不妊治療の間は体の事を考えて、それらの事は

控えて頂くというのが常識です。しかし、妃殿下は全くお構いなしで。喫煙がどんなに妊婦に悪い影響を

与えるかわからないと何度申し上げても全く意に介さず」

要するに母親になる自覚がないなんでしょう」

ツツミはあっさりと斬って捨てた。

沢山の不妊になやむ 女性たちをみてきたツツミにはマサコの自己中心的な考え方には大きな反感を覚えた。

「しかしですね」

その表情をまたも素早く読み取ったサカモトが必死に懇願するように手をあわせた。

これは妃殿下の不妊云々の問題ではない。皇室の世継ぎに関わる話です」

「皇太子妃が産めないならアキシノノミヤ妃に産んでもらえばよろしいのでは?あちらは不妊じゃないみたいだし」

それが。産児制限されているようなのです

なんですって?」

思わず、ツツミは椅子から身を起こした。

信じられない。皇室って所は一体どんなしきたりがあるので?不妊の皇太子妃の為に弟は遠慮しろと?そういう話ですか」

・・・・・・

サカモトは黙った。

産める人間が産めばいい。そうでなければ少子化は止まらないですよ。まあ、私の所の患者でも、不妊症の女性が

目出度く妊娠した女性に対して意地悪をしたり、ひどく傷ついてうつになったりするケースはありますけどね。

でも、自分が産まないから弟も産むなって・・・そりゃあ。私は右翼じゃないですからね・・・正直、天皇家がどうなろうと

知った事ではありませんが、しかし、そちらにとって皇統を守る事は重大任務なんでしょう?

だったら産児制限なんかさせずに・・・」

そこでツツミあ「ああ」と頷いた。

それでやたら最近、雑誌に「女帝容認」記事が出るんですね。ちょっと待てよ。「女帝容認」というのは男系男子で2000年

繋いできた皇室の流れを変えるという事で、そうなったら皇室そのものの価値が変ってしまうという話ですね。

それくらい私にだってわかりますよ。そうか・・・それが狙いなんですね」

まあ、多分。両陛下がそこまで考えていらっしゃるかどうかわかりませんが。アキシノノミヤ家にも後継ぎは必要。

という事は一日でも早く皇太子妃にご懐妊頂かないといけないのです。どうか、ご協力を」

サカモトは深々と頭を下げた。

ツツミは煙草をけし、姿勢を正した。サカモトの熱意は十分に伝わって来たのだ。そして現在の皇室におけるおかしな

力関係も何となくわかった。

皇太子妃の妊娠がそこに風穴を開けるなら、やってみようではないか。

「わかりました。いつでもお声をかけて下さい。私はいつも待機しておりますから」

ツツミは自己の正義感からそう言ったのだった。

しかし、のちにその言葉を悔いる事になろうとは、その時は考えもしなかった。

 


コメント (20)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 家族ゲーム・雲の階段 | トップ | 秋篠宮ご夫妻 IN クロアチア »
最新の画像もっと見る

20 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
言葉 (瓶子)
2013-06-20 11:40:19
ご病気の方はいろいろと大変ですね
家族も大変,本人の大変

アスペルガー ・・ どのような病気か分かりませんが ・・
マサコガー ・・ という 病気は理解できます
         恐妻病&責任感欠損病の一種ではないかと・・

プライド : よく この言葉を言う民族がいますが,私から見ると そのような 上等なものでなく ただの自意識過剰 あるいは ただのみえっぱり にしか見えません

・・ あ ファンタジーの中の話です
はじめまして (あやか)
2013-06-20 12:07:12
いつもブログ拝見しております。毎日ブログを更新して下さるので、子どもが寝た後に読むのを楽しみにしてます

わたしは、今の天皇皇后両陛下に対して敬う気持ちがあるけれど、皇太子と雅子妃には全く敬う気持ちが出てこないなと、漠然と思っていました。
フィクションの天皇の母や、ふぶきさんの皇室に関するブログを読んで、納得しました。

皇太子夫妻には、国民と共にという気持ちが伝わってこない行動ばかりですね

今回の天皇の母に出てくる、ツツミ教授。
雅子妃出産当時、わたしは東大病院に勤めておりました。ツツミ教授へ問い合わせが多かったのを思い出しました

紹介状がないと直接ツツミ教授の診察ができないので、患者さんに説明するのが大変でした。
その後、研究費を横領したのが分かり、処分を受け、外来予約もガラガラになってしまいました

私も宝塚ファンです。大浦みずきさんが好きでした。
宝塚に関するブログも楽しみにしております
楽しみ (どん)
2013-06-20 13:12:52
毎回楽しみに拝読してます。私も昔不妊治療したことあります。と言っても誘発剤とタイミング法程度ですが。結果として子供いいませんが、当時治療している人のお間では雅子さんはお金のこと考えないで治療出来て良いねと言う感じでした。

病気なら病気でも信子妃みたいに大人しく目立たないで療養っしてれば誰もここっまでは言わないでしょう。
昨日も老母があの人たちが今上さんの後を継いだら間違いなく日本は滅ぶと言うのです。

話は変わりますが、新潮は何か確信があり記事を書いてると思います。先週号も訂正してないし。



Unknown (匿名希望)
2013-06-20 14:19:35
少し思う事があります。

海外が好きな皇太子妃って理解できないです。
日本国の皇太子妃のはずですが。
日本国はお好きではないのでしょうか?

ほとんどの人は嫌な事をしなければなりませんし
したい事ばかりできないです。
どんな立場の人でも多くの我慢をして生きています。
生きるとは我慢の連続ではないでしょうか?
小学生でも勉強が嫌いな子供も多いです。
その嫌いな事を皆乗り越えているんです。
そういうものではないでしょうか?



Unknown (ふぶき)
2013-06-20 14:40:41
>瓶子さま
アスペルガーという言葉は、例のサカキバラ事件の頃から出てきた病名ですよね。今もさっぱり意味がわからなかったりしますけど。

>あやかさま
まあ、東大病院に・・・ツツミ教授の横領事件は全くの冤罪であるとのうわさも聞きました。
でも、日本中から問い合わせのある医者を独り占めできる立場だったのにねえ。

>どんさま
今週の新潮はさらにすごい内容のようですね。期待してます。
マサコ妃の悲劇は、人の痛みを共感できず自分ばかり悲劇のヒロインだと思う所にあるんですよね。

>匿名希望さま
彼女は日本国は好きではありません。
なぜなら何をやっても非常識と言われるから。旅行者なら「仕方ない」で終わるでしょう?
彼女は自分では多くの我慢をしてきたと思っています。したくない結婚をしてやったし、頑張って勉強もしたじゃない?って。
色々勉強になります (ゆきんこ)
2013-06-20 16:21:35
排卵誘発剤って、無排卵の患者に使うものだとばかり
思ってました。
卵管狭窄だと、卵子を取り出して、体外受精させ子宮に戻すだけ
じゃないのですね。

Unknown (さくら)
2013-06-20 17:03:31
かかわるものが皆不幸になっていく恐ろしい東宮の闇。なんでこんな人を皇室に入れてしまったのか?過ぎたことは仕方ないのですが悔やまれます。しかし、マスコミの偏重報道はすごいですね。先週までスペインでのどうでもいい映像がこれでもかというくらい、お仕事している皇太子キャンペーンで次々と流れていたのに、今週は皆無ですか?やりすぎると、今まで気づかなかった人たちもおかしいと思い始めるのに、やはりあの方たちのやり方は的外れですね。秋篠宮家の警備は大丈夫なのでしょうか?この間の黒真珠のお方また何事かたくらまないように神に祈ります。
Unknown (主婦)
2013-06-20 17:20:54
雅子の婚約時、母親の優美子が、
~娘は、母親をみて育つので、絶えず、緊張感を持って育ててまいりました~と話していた。
さすが、上流階級の人は違う、と感動した。けど、、、今から思えば、マスコミ用に
恒の書いた、セリフだったのか?!

雅子は、恒、優美子から、本当に愛されているのか?!
と疑問に思ったのは、あの、オランダシワシワ衣装から。。。
プロトコール、ドレスの扱い方、アドバイスしてあげれなかったのか?
病んでますね・・・ (ポンタ)
2013-06-20 17:34:38
皇室は開かれたとは言えまだまだ問題を秘めてままにしてますね。
「64」をご存じですか? (しまき)
2013-06-20 19:47:05
横山秀夫氏の「64(ロクヨン)」2012年10月発刊、ご存じでしょうか?ミステリー本として結構売れているものですが。
この本を今日読んで、こんなくだりがあったんですよ。
「皇室をご覧なさい。昨今、内部関係者と称する匿名の輩が、不埒千万、下劣なネタを週刊誌にリークする悪しき風潮が定着してしまった。結果、どうなりました?一昔前と比べて皇室の権威も神秘性も確実に薄れたじゃありませんか。(後略)」

まことに悔しいことなのですが、まだまだ世の中の一般的な考え方は、こんなのが多いです。特に、働き盛りの男性陣は、皇室に無関心か、上記のような考え方の人が多いような気がします。女性の方が憂える率が高いのは、実際の皇室を写真等、目で見る機会が多いからかなぁとも思いますが。(女性誌がよく写真載せますからね)

こうした考えをひっくり返していくことは、なかなか困難なんですが、少しずつ増えていっていることも確かだと思っています。

でも、天皇皇后両陛下のお年から考えると、時間がない!(>_<)それはとても心配です。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

小説「天皇の母」101-120」カテゴリの最新記事