ふぶきの部屋

皇室問題を中心に、政治から宝塚まで。
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韓国史劇風小説「天皇の母」112(辛いけどフィクション)

2013-05-24 08:04:24 | 小説「天皇の母」101-120

皇后が入院した事は大きなニュースになった。

皇室全体に不安が広がった。それでなくても失声症の前例もあるし。

今回はただの風邪から来たものなのか、それともストレスか。

今上もひどく心配し、それでも顔に出すわけにはいかず、ただ一人で公務に励むしかなかったのだが。

何と言っても御歳ですし。そろそろごゆるりとなさるべきでは

侍従長はそう進言したが、今上はただため息をつくばかり。

ゆっくりとしろ・・という事は公務の委譲を示していた。

先帝の頃に比べて今上の「公務」は増え続けていた。

そもそも今上の公務・・つまり義務は「祭祀」「と「国事行為」のみだ。

国会の開会式出席、全国戦没者慰霊祭、叙勲、国賓・公賓の接待、新年祝賀の儀及び一般参賀。それくらいでいい筈なのだ。

しかし、今上は皇太子時代から公務を「開拓」してきた。

民主主義時代の天皇の在り方とは何か・・・を考え続けて、その結果、障碍者福祉や老人福祉、ハンセン病などの

差別を受けてきた人たちへの慰問。それらを象徴する為にやってきた施設訪問。それに伴い、学術や芸術に秀でた

人へ励ましなど。

「ゆたかな海づくり大会」「学士員」こどもの日や敬老の日にちなんだ施設訪問。今上はさらに中小企業を訪問する。

晩さん会だけでなく、大使らを招いてのお茶会も開く。

本来なら、即位と同時に皇太子に大方譲るべきであったのかもしれない。

しかし、今上はそうはしなかった。

あの頃はまだ皇太子は独身であったし、いつ結婚するかもわからなかった。

結婚したらしたで「世継ぎ」問題が頭をもたげて、委譲は進まない。

今の東宮家は自分達の事で精一杯のような気がする。

現に皇后が入院しても見舞いに来なかった。

皇太子夫妻が来ないのに秋篠宮が来る筈もなく・・・・・結局は「大げさにする必要はない」としたが・・・

付き添ったのはノリノミヤだった。

「いいのよ。東宮のお兄様が来ないのが悪いんですもの。お兄様達はお忙しいのだから」

キコからの電話にノリノミヤはにっこりそう答え、ずっと付添つづけた。

失声症から皇后の看病と付添はノリノミヤの仕事になっている。

天皇も皇后もそれが一番嬉しいし、慰めにもなるのだが、一方で、こんな事を続けていると娘の婚期が遅れると

それはそれで心配になった。

幸いにして皇后の病状は軽く、すぐに退院出来たのだが、その後も咳が続き、「咳喘息」ではないかと言われた。

 

一方、皇太子夫妻の方は春から夏にかけて那須、裏磐梯、須崎と立て続けに静養していた。

なんせ、公務となるとすぐい「微熱」と言い出すマサコに東宮職もどう対処していいかわかりかねた。

地方公務においては、必ず県勢聴取と昼食会が決められていたが

私に何の関係もない人達としゃべったり食べたりするのは苦痛でとてもやっていけない」と言い出し

そういう時期になると「微熱」が出てくる。それをなだめる為に「じゃあ、お帰りに磐梯山で何泊かしましょう」

とか「須崎での静養が待っていますよ」とか、まるで子供をあやすように言い含めねばならない。

皇太子はそんな妻を扱いかねて、とうとう逃げ出し無関心になる始末。

皇后の見舞いにも行きたくないといえば「そうだね

微熱で人に会えない」といえば「そうだね」

あんなおじさん達と一緒に食事をするのは嫌だ」といっても「そうだね」しかないので、東宮職は機能不全に陥った。

最初のうちは皇太子の登山にもいやいやついて来ていたのだが、やがてそれもやめてしまった。

不思議な事にスキーだけは大好きらしく、そのころになると元気になる。

意味不明のマサコの体調は、東宮職を振り回し続ける。

そんなわけで、天皇も皇后も「公務の委譲」など考えられない事だった。

そのうち、もう少し慣れたらきっと」・・・それも後から考えれば「逃げ」だったのかもしれない。

 

一方、アキシノノミヤ家は、ひたすらひっそりと公務に励んでいた。

ひところに比べればマスコミに取り上げられることも少なくなり、子供達のプライバシーという点では

有難かったが、その代わり、どんな小さな針の穴でも突き抜けそうな見えない「監視」を感じる事が多くなった。

皇太子妃に対して「閉じ込められたキャリアウーマン」という報道が多ければ多い程、アキシノノミヤに関しては

次男坊の気楽さによる恋愛結婚。キコ妃は皇族になりたくて結婚したのだ」と噂を立てられる。

一体誰が?と思っても犯人を捕まえる事など不可能だった。

「したたかで張り付いた笑顔のキコ妃」

「オールウエイズスマイル」を信条とするキコ妃にとっては、たとえ皇后が病気であっても、公務が忙しくても

体調がすぐれない時でもにこやかな笑顔を向けなくてはならない。

それが皇族の役割というものだ。

しかし、無理な笑顔は時に「はりついた」と評されて「いい子ぶってる」などと陰口をたたかれるものだ。

回りが耳に入れまいとしても、それはどうしたって入ってくる。

それだけにキコはなお一層身を固くして、対処しなくてはならないと感じていた。

 

その年の秋、アキシノノミヤ夫妻は山形へプライベートな旅行にでかけた。

プライベートとはいっても、皇太子夫妻のような「静養」ではない。

アマゾン研究の第一人者であるヤマモトノリオ紙の講演会が山形で行われる。それに出席しようというものだった。

あわせて「月山のあさひ博物館」での「アマゾン ナマズ展」をみたいという、珍しくも希望を出した。

久しぶりの二人きりの旅行に宮もキコも新婚旅行時代を思い出していた。

今は子供達がいるから、そうそう二人きりにもなれない。

けれど、今回は宮の研究旅行とはいえ堅苦しい式典もなく、楽しい旅なのだ。

二人は予定通りに山形入りし、仲良く講演会を聴講しナカムラ教授とも専門的な話に花を咲かせ

それから月山に向かった。

9月も終わりの山形は空気が澄んでいて、景色も美しかった。

まだ紅葉には早い。けれど、東北特有の凛とした冷たい空気が頬をなでる。それが何ともいえず心地いい。

山の空気はさらに冷たくはあったが、いつもと違う景色が、二人を饒舌していた。

月山の名前の由来は何でしょうね」

農業の神である月読を祀っているからだよ

まあ、月読命を。そんな神話の時代からある山なのですね。殿下は天照大神の子孫でいらっしゃるから

ああ、なるほど。縁が深いのだね」

二人はにこやかに笑った。

月山は水がおいしいんだよ。だからいいお酒もある。兄様にお土産に買って行こうか」

それはよろしいですね

マコやカコにも何か。そうそう、あなたは何か欲しいものはある?最近、山形はラ・フランスという

洋ナシが有名になっているんだけど」

まあ、私は何も」

「そうだね・・いらないね」

そんな風に仲良く月山のアマゾン展を見て歩き、いよいよ宿泊施設に行った時だった。

夕食には有名な月山ワインが出てくる筈だったのに、それが出てこない。

無論、二人は酒のみではなかったから気にはしなかったのだが、迎える側の方がひどく恐縮しているので

どうしたのですか?」と質問してみた。

宿の主人は、知事や市長も引き連れて非常にひきつった顔で現れたので余計にびっくりする。

「実は、本日、両殿下には我が月山が誇りにしているワインをお召し上がりになって頂く予定だったのですが

それが出来なくなりまして」

うん。そうなの。何か事情があるの」

実は・・・5日前の事でございました。ワイン製造室の貯蔵タンクの中の傍にブログリックスLという農薬の瓶が

3本転がっておりまして」

え・・・・」最初に驚きの声を上げたのはキコだった。それを宮が目で制する。

ブログリックスLとは?」

除草剤の一種です」

それがワインの中に入ったの?」

いえ、貯蔵タンクの傍に3本ひっかけられておりました。中に液体が入れられた形跡はなかったのでございますが

いたずらにしてはあまりにも悪質で・・・いくら検出されなかったといえど、もしもの事がございますから、

付近の貯蔵タンクの中身は全部捨ててしまいました。そんなわけで、今回はワインをお出しする事が出来なくなりました。

申し訳ございません」

平謝りする彼らに対して宮は「何事もなくてよかった」といった。キコも「本当に」と答えた。

私達の事は気にせずに。他の料理は全ておいしく頂いたし。ありがとう」

宿の主人、ワイン関係者、知事や市長に至るまで、その言葉に安堵すると共に感動した。

それよりも捨ててしまったワインの損失の方が大きいのじゃないのかい?」

ええ・・・けれど、もしも、他のタンクに入られらたとしたら危険ですし。何か起こるよりはまだいいかと」

その通りだね」

これはもしかしたらいたずらではすまないかもしれません。とにもかくにも両殿下に何事もなく安堵いたしました。

このような話をして本当に申し訳ございません。どうか山形を、月山に悪いイメージを持って頂かないように・・・」

「心配しないで。あなた方に何もなかった事が幸いです。月山の自然、アマゾンの研究、今日出してくれた料理

全てが私達にとっていい思い出になりました。これからもよいワイン作りをして下さい」

その宮の言葉にどれ程救われた事だろう。

 

しかし・・・・・一体誰がこんな事を。愉快犯?それともテロ予告なのか?

何にせよ後味の悪い旅になった事は事実である。


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10 コメント

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いや~… (サラと太陽)
2013-05-24 11:58:04
昨日から、一話からここまで一気に読みました。素晴らしいです。
本当に、ただのフィクションなら、あ~
面白かった♪で済むのに。
ああ、 (たまこ)
2013-05-24 14:09:57
誰なんでしょう?
そんな事をするお方は?
気になりますね。

お◯◯夫妻のお写真を拝見するたびに、
「負」のオーラに度肝をぬかれます。
やはり、人間の心は美醜をこえてお顔に出てしまうのですね。
自戒をこめて、そう思います。
清い心を持たねばと。
ええ? (もなか)
2013-05-24 15:01:37
いつも、更新ありがとうございますm(__)m

そのワインの混入事件は、「天皇の母」と良く似た世界でも起きた出来事なんですか?

小学生の給食に、薬を入れようと提案された方(とそのご家族)を真っ先に思い出しましたが…。マジで怖い(>_<)
Unknown (ふぶき)
2013-05-24 17:53:33
>サラと太陽さま
あらーーフィクションですわよ。ねえ・・

>たまこさま
山形 → 山形大 → 山形特任教授・・の
流れかと。

>もなかさま
はい。その通りです。報道はされなかったようですね。女性週刊誌のみの話題みたいです。でも事実だったようですね。
Unknown (雪ぐにそだち)
2013-05-24 20:47:41

この小説を読むのがとても楽しみです。
ワクワクします。
ふぶきさん、ありがとうございます!

今回の感想は…
じぇ!じぇ!じぇ!じぇ!じぇ!
です…
怖いですねぇ~
ある意味 “テロ”ですね。
小説とはいえ…?

異世界人 (匿名)
2013-05-24 21:57:47
先日の匿名です。 少し長くなりますがお許しください。
私の縁者で美智子様入内時に女官長が牧野女史と聞き、夫婦で仰け反ったそうです。独身時代の牧野女子を見知っており、「頭脳明晰、正しい事を仰るが物言いが厳しすぎる御方」なのだそうで、20年?後に退官なさった時に「あの方が長年御仕えなさるとは美智子様とは素晴らしい方なのだね」と話し合ったそうです。
皇室には、お互いに高め合うような人間関係が普通だったのでしょう。そこへ、彼の国のようなメンタリティーの人間が入り込んで仕舞った。理解や予測の範疇を超えていたと思います。
恥ずかしながら、私の生家でも同じような事が起こりました。何が起きたのか判らぬ内に信用も財産も食い荒らされ、何故か非難されるのは真面目に働く私達。 最後に私達を救ったのは「真実は一つ」「恥も外聞も捨てる」「恫喝には毅然と」の三つの決意でした。嘘は綻び、捨てた面子は戻り、恫喝者は憐れみを請い始めました。
勿論、門前払いしましたけど!
皇室の問題は国民が真実に気付く事。ふぶき様のように声を上げ続ける事です。2chも出来ない私ですが、周囲に布教?をしていくつもりです。先日は私の投稿採用頂きまして嬉しゅう御座いました。
Unknown (まみ)
2013-05-24 23:01:37
いつも、楽しく、読まさせて頂いています。

雅子妃のスキー好き、、、スキーの日は悪天候でも、長時間滑走されるらしいですね。
その、体力は、~雪男~
並と伺っております。((((;゜Д゜)))))))
Unknown (ふぶき)
2013-05-25 08:07:14
>雪ぐにそだちさま
そうなんです。じぇじぇですよ。全く。

>匿名さま
貴重な体験をされたのですね。牧野女官は厳しい方ですから、それを糧にされた皇后陛下は本当にすごいです。
どんな困難も最後は正直になるしか・・

>まみさま
雪男!!(笑)ぴったり。
恐ろしい・・ (千菊丸)
2013-05-26 14:44:04
悪意ある恐ろしい事件に、読み終わった後からだが震えました。
いったい誰がこんなことを?

それよりも、雅子様の暴走を誰も止めるものは居ない者でしょうか・・
Unknown (ふぶき)
2013-05-26 22:38:26
>千菊丸さま
結果的に「事件」にならなかった事が不思議で。圧力があったのか?とも。

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