goo blog サービス終了のお知らせ 

今日の商店会長 (早稲田商店会相談役 安井潤一郎)

日本でただ一人、商店会の会長現職で衆議院議員になった、早稲田商店会前会長日記。公式ホームページは左下ブックマークから。

5月29日・松岡利勝農林水産大臣

2007-05-29 23:55:48 | 商店会長のコメント
昨日亡くなられた松岡利勝前農林水産大臣の御遺体を乗せた車を議員会館前でお見送りさせていただきました。午後6時20分から開会された本会議前の代議士会で冒頭全員が起立し松岡先生に対して黙とうを捧げました。

1年8ヶ月前に衆議院議員させていただき、最初に出席した部会は農林部会です。一粒の米も作ったことは有りませんが米や野菜、農作物を売っていたキャリアは長いのだ、という自負を持って出席した農林部会、その時のテーマは「健全な農業経営」だったと記憶しています。

「農業は疲弊している、補助金の削減は壊滅に通じる」とか「中国産の野菜に一段の規制強化を」とかの国への要望ばかりが大きな声で語られていました。出席されている議員さんは全員が生産者の代表のようでしたので、このような発言は当然だろうなあと感じていたのですが段々我慢が出来なくなりついに「経営って言葉がテーマに有りながらお客の事を全く考えていない発言ばかりだ。だいたい農業を語って食っている奴が多すぎる」と言ってしまいました。

その後、農林部会に参加する新人議員が、農林行政に精通している先輩議員の話を聞く勉強会に出席した際、当日の講師でお見えになっていた松岡利勝先生から「JAを批判しようだな」と言われました。JAをバックにした農林行政のドンだとは知っていましたので少々緊張しながら「ハイ」と答えました。「俺たちじゃ言えないんだよ、これからも販売者の立場でドンドン発言して」と微笑みながらのお言葉でした。もちろん、農林水産大臣に就任する前のお話です。

当日の勉強会では農作物の輸出について「素晴らしい品を作るのは技術、その技術を守るために特許が必要だ」と話されていた事や「中国やアメリカで日本のお米がいくらで売られているか知っていますか?今後は第一次産業の製品が輸出産業の花形になる時代が来ます」等々の今までにない切り口のお話を聞かせていただいたことが思い出されます。

BSEの問題でアメリカ大使館との折衝の状況を報告した時も「WTOで世界常識とされている以上の検査を国は出来ない事になってはいるが、消費者の要望という立場はWTO論議の枠外。消費者の意向を受けた販売者の立場で自信を持って進めて下さい」と言っていただきました。

今年の2月10日に熊本県菊陽町で教育委員会さん主催の「まちづくり講演会」でお話をさせていただきました。東京に戻った後「先生の御地元の菊陽町で講演して来ました」と松岡大臣に申し上げたところ「行ってくれたの、嬉しいなあ。ところで俺の事を誉めてくれた?」と聞かれたので「あ、誉め忘れました。」と申し上げたら大きな声で笑ってくれました。

自分で自分の命を絶つ事は決して認められる事ではありませんし、政治と金の問題も重要な事です。議員として選ばれ、税金から歳費を受け取っている立場の者には説明をするということが大きな責任の一つです。松岡大臣の委員会等での答弁を全て認めるという思いはありませんが、松岡大臣の経験、体験から作り上げられて来た「健全な農業経営」像はもっと聞きたかったし、教えていただきたかったと思っています。ただ、ただ、残念です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする