後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

新刊紹介、永田和宏著、「人はどのように鉄を作ってきたか 」

2017年07月30日 | 日記・エッセイ・コラム
先週、永田和宏さんから新刊書の「人はどのように鉄を作ってきたかー 4000年の歴史と製鉄の原理 」という本が送られて来ました。
5月20日に講談社から出版された本です。
世界中の各地の製鉄方法の発展の歴史が明快に書いてある名著です。英語に訳せば外国でも売れると思います。外国では学術書として出したほうが良いと思いました。
皆様は日本刀が世界一切れる刀と思っていらっしゃいませんか?
その日本刀を作る鉄の製錬法が重要なのです。その製錬法も書いてある本です。

Amazon Book の内容紹介を以下に示します。
・・・人類が鉄を作り始めて4000年。「鉄」ほど人類の社会と文明に影響を与えた物質はない。温度計もない時代に、どのように鉄を作ったのだろうか?
「鉄鉱石を炉に入れ加熱すれば、鉄は自然にできてくる」というわけではない。鉄鉱石から鉄を作るには、厳密に温度を管理し、含まれる炭素の量をコントロールし、リンやイオウなどの不純物が混ざらないようにしなければならない。温度計すらない時代から、鉄を作ってきた人々は、それらをどのように知り、何を目安に鉄を作ってきたのだろうか。
アナトリアの最古の製鉄から現代の製鉄法、さらに日本固有の「たたら製鉄」の技術を解説しながら、鉄づくりの秘密に迫る。
そして著者の永田 和宏さんを以下のように紹介しています。
1946年、岐阜県益田郡金山町に生まれる。東京工業大学工学部金属工学科卒業、同大学院理工学研究科博士課程修了、工学博士。ベネズエラ国立科学研究所主任研究員、東京工業大学技官、助手、助教授経て、同大学教授。その後、東京芸術大学教授を経て、現在、京都造形芸術大学客員教授。鉄冶金学の研究からたたら製鉄および古代製鉄の技術を研究し、永田式たたらを考案、子供たちや一般の方々と楽しんでいる。「たたらを現代に」を掲げ、電子レンジ製鉄を発明。・・・

この本は1080円で、購入は、https://www.amazon.co.jp/dp/4065020174?_encoding=UTF8&isInIframe=0&n=465392&ref_=dp_proddesc_0&s=books&showDetailProductDesc=1#product-description_feature_div からネット購入が出来ます。
さてこの本に出て来る「たたら製鉄法」とはどのようなものでしょうか?
たたら製鉄とは、日本において古代から近世にかけて発展した製鉄法で、炉に空気を送り込むのに使われる鞴(ふいご)が「たたら」と呼ばれていたために付けられた名称です。 砂鉄や鉄鉱石を木炭を用いて比較的低温で還元し、純度の高い鉄を生産できることを特徴となっています。4世紀ごろ朝鮮から伝わった製鉄法です。
以下に、たたら製鉄法の写真を示します。

1番目の写真は、たたら製鉄炉の構造です。出典は、http://www.wakou-museum.gr.jp/iron-01/ です。

2番目の写真は、現在の行われているたたら製鉄の火入れの写真です。出典は、http://www.sankei.com/photo/daily/news/170118/dly1701180009-n1.html です。

3番目の写真は萩市にある「たたら製鉄遺跡」の写真です。
出典は、http://www.japansmeijiindustrialrevolution.com/site/hagi/component03.html です。
このような製鉄法で古墳時代から鎌倉、江戸時代と鉄製の大工道具や農具の鍬や鎌をえいえいと作って来たのです。
そして現在でも日本刀の銘刀を作る場合は2番目の写真のように、たたら製鉄を用いられているのいです。日本の文化遺産ですね。

今回ご紹介した本には日本の「たたら製鉄」も含めて、世界の各地の昔の製鉄法とその発展の歴史が分かり易く書いてあるのです。
日本刀の銘刀にご興味のある方々へもお薦めしたい内容の本です。(終り)

洗礼を受けて良かったこと(1)仏教が理解出来たこと

2017年07月30日 | 日記・エッセイ・コラム
今から46年前の1971年にカトリック立川教会で塚本金明神父様から洗礼を受けました。
洗礼を受けても自分の悪い性格は一向に良くなりません。洗礼の効果はゼロです。
しかし洗礼を受けたお陰で良かったことが幾つかあります。
今日からその幾つかの良かったことを「洗礼を受けて良かったこと」という連載記事にして気軽にご紹介いたします。
第一回は「仏教が理解出来たこと」です。勿論、仏教は奥深く、そしていろいろな宗派がありますから、その概略を少し理解出来たと言うべきです。少しでも理解出来たので大変親しみを感じるようにまりました。

キリスト教ではイエス様の教えを書いた新約聖書の中の福音書を非常に大切にしています。それから後の世のいろいろな優れた人の教えや儀礼や習慣も大切にしています。
宗教というものは教祖様の教えと、後の世のいろいろな優れた人の教えから成り立っているのが普通です。
佛教も例外ではありません。お釈迦様の教えと、後の世の人々の教えから成り立っています。
まずこの2者を区別して、整理すると理解しやすいのです。
お釈迦様の教えは般若心経に過不足なく、そして明快に書いてあります。お釈迦様が弟子のシャーリプトラへ教えた内容が書いてあります。
この世にある全てのものは空(くう)なのですよ。空なるものが物質の本質なのですよと何度も教えています。それを信じるとこの世の苦しみや悲しみは消えて無くなりますよと教えています。人間が苦しみや悲しみから解放されて幸福に生きるための考え方を教えているのです。
この宇宙にある全てのものは空(くう)だという宇宙観は西洋には無い卓越した哲学です。
お釈迦様の教えはこれだけです。一切のものが空なのですからお釈迦さんは死んだら遺骨は野に捨てなさい、お墓も作ってはいけませんと遺言しました。仏像も作ってはいけませんと明言しました。
ですからお釈迦様の死後400年以上は仏像の一切無い宗教だったのです。
現在、日本にある華麗なお寺も仏像もお釈迦様の言ったことに従わないで後の世の人々が作ったものなのです。
だからと言って、それらは悪いと言っているのではありません。宗教というものは永い間存続し継承されるためには、付随的なものや追加された教えも非常に重要なのです。
例えばイエス様は、現在のローマ法王と世界中のカトリック教会の組織を作りなさいと言いませんでした。あるいはマリア像を作り祈りなさいと言いませんでした。しかしキリスト教を長く継承するためには重要なのです。少なくともそのように信じている人々をカトリック教徒と呼ぶのです。
佛教でもお釈迦さまの教えを理解し、長く継承するためには座禅が重要だという考えがあります。その考えにもとづいた宗派が曹洞宗や臨済宗や黄檗宗などの禅宗の宗派なのです。
このように仏教を理解すると、一番大切なことはお釈迦様の教えだということが納得できます。
それぞれの宗派の教えが、お釈迦様の教え以上に重要だということは絶対に無いのです。主客転倒はいけません。
例えば、曹洞宗は、福井の永平寺を開山した道元禅師さまが中国から持って来た考えです。そして横浜の鶴見の総持寺を開山した瑩山禅師さまが広められた宗派です。
現在、永平寺・総持寺の両大本山をはじめとして、約一万五千の寺、僧侶二万人、一千万檀信徒を有しているそうです。
この宗派では道元禅師さまや瑩山禅師さまの像がよく祀られています。そして 多くの人々はお釈迦様のことを忘れて道元禅師さまや瑩山禅師さまの像だけに祈っています。これは間違っていますね。
そんなことが洗礼を受けると理解出来るのです。

どんな宗教でもお釈迦様やイエス様のような教祖さまの教えと、後の世の人々の教えから成り立っています。
ですから教祖さまの教えを忘れてはいけないと私は信じています。そのように信じると仏教も分かり易くなると思います。

今日の挿し絵代わりの写真は京都の三十三間堂の写真です。昔の日本人の仏教へ対する熱い情熱を感じますね。いかがでしょうか?

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)