何度か掲載しましたように今日から「インド刺繍の世界・展示会」が神田、小川町で始まりました。東南アジアに住み着いて人々の哀歓を描いたブログを作っている「ひかるの」さんにお会いしお話を聞いてきました。まだ50歳前後のお若い男性で、心豊かな方でした。お顔は半分インド人のように見えます。展示してある刺繍やサリーは、天然繭を原料にした絹に細かな刺繍をした見事な作品です。素人ながら一目で全て超高級品と分かりました。きくとインド各地の絹織物の市場を半日歩いて一番美しい刺繍布やサリーを1点しか買わないそうです。そのように厳選した絹織物なので触ってみると何故か心が深い満足感で満たされます。
デパートのマネキンが着ている高級婦人服のような作品です。そこで売ったら数十万円で売れそうなものばかりです。そんな売り場へ卸せば良いのではないでしょうと言いました。ところが日本の女性は有名ブランドの服飾なら数十万円でも買うが、どんなに最高の品でもブランドの無いインドのものは買わないそうです。自分の美的感覚で選び、品質の良い、着心地の良い服飾を買うという文化は日本からは消えてしまったと、ひかるのさんが説明してくれました。
展示会にあるものは、どれも数万円から数十万円する絹織物です。天然染料を用い、手で一点一点刺繍した作品です。機械・動力を一切使わない手織りの製品のみだそうです。
会場を貸してくれた「T女史」も手織り文化の素晴らしさに取りつかれた女性で、一緒に現在の日本の生活様式の底の浅さを嘆いていました。
ひかるのさんの展示会では安物は一切売っていません。インドの最高の手織りの絹織物の良さを日本人へ伝えたがっているようです。売ってお金を儲けようという気が無いようです。生活費は心配していません。しかし職業は持っていません。ただ南アジアの人々が好きで住んでいるだけです。T女史と小生がそんな人生が理解出来なくで質問を続けます。きっとお金持ちの2代目で困らないのですか?そんな質問をT女史もしていましたが、否定されていました。
結論をいうと、理解を超えた素晴らしい人生を送っているらしいということです。お会いし話を聞くと何か幸福感につつまれて楽しくなります。小川町から明治大学の前の坂を登ってJRお茶の水駅まで歩いている間中、この心地良い幸福感が身を包んでくれました。
寒い午後でしたが、春のように暖かさを感じながら坂を登ってお茶の水へ上がってきました。
(終わり) 下の写真の撮影日時:12月8日午後2時頃