山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

ホテイラン咲く 南アルプス前衛の山へ  平成30年5月13日

2018年05月14日 | 花・花・花
 空模様が思わしく無く午後からは雨が降りそうである。甲府市街地からは若干の青空が見えるが周辺の山々は中腹まで雲がかかっている。山に行くのはわざわざ雲の中に突入するようなものだ。しかし、この日を逃すとおそらくその山のホテイランは花期を逃してしまうだろう。若干の雨は覚悟で入山する。


    沢の源頭はツルネコノメソウがたくさんあった。


    花が散ったコチャルメルソウ


    ニッコウネコノメソウが少しだけ残っていた。


    何度も登っているが何度登っても急登のバリアンス尾根。下山するときつさを忘れてしまうようだ。


    ここにもセリバオウレンの葉があった。かなり数は多い。


    既に結実していたセリバオウレン


    居ました、ホテイラン。

 急斜面のバリアンス尾根を登って目的地に到着すると、ホテイランが咲いていた。若干花期を過ぎていて既に散ってしまっているものが何株もあったが、それでも10株近い開花した花を見ることが出来た。2年ぶりの訪問となるが今年は比較的多く咲いてくれているように見える。葉の数も若干多くなっているような気もするが、目が慣れてきただけなのかも知れない。


    もう終わりかけた株


    ここは2本並んで咲いたようだ。


    まだ花を咲かせない幼弱な葉が増えているように見える。


    森の中に咲いた森の妖精ホテイラン


    何度見ても見入ってしまう美しい花


    今年もしっかりと咲いてくれた。嬉しい。


    この株は周辺に小さな葉がたくさん出ている。

 時刻はお昼に近くなり、少しずつ天候が悪くなってきた。霧に巻かれて時折小雨が混じるようになる。雨の中を沢筋を歩くのは危険かとも思ったのだがひょっとしたら別の花に出会えるかも知れない。一応ザイルも持って来ていることだし、急斜面を下って沢に下りてみることにした。


    下に沢が見えてきた。林業作業のワイヤーロープが残置されていた。


    沢に降り立つ。最上部は滝になっているようで、ここを遡上するのは難しそうだ。


    沢の中はツルネコノメソウ天国。


    沢の中に咲いたニッコウネコノメソウ。


    ?

 なんとか小雨に降られただけで沢から抜け出すことが出来、ザイルを使うことも無く林道まで降り立つことが出来た。

 もともと個体数がきわめて少ないこの山のホテイランだけに、絶滅するのではないかと心配していたのだが今のところ大丈夫のようだ。咲いていたのは10株ほど、散っていたのが5株ほど、さらに小葉を入れると30~50個体くらいあるのではないかと思われる。若干増えたようにも見えるのだが、それでも絶滅に瀕した状況にあるのは変わりない。引き続き見守って行きたいと思う。

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ムギランは咲いたか? 山梨県南部町へ  平成30年5月12日

2018年05月14日 | 花・花・花
 ムギランは山梨県レッドデータブック2006年版ではDD(情報不足)になっていたが今年発刊された2018年版ではⅠB類に登録された。さらにマメヅタランも新たにⅠB類に登録され、分布しているのはいずれも山梨県県南部の南部町界隈である。いずれのランも5月中旬から6月くらいに開花するはずだが、花期の早い今年ならばもう咲いているのではないかと出かけてみた。木の上に咲く着生植物で遥か遠い木の上に着生しているため、Borg570mmレンズの出番である。


    ヤマヒルが出るかもしれないので足元に注意しながら撮影に取りかかる。Canon200mmではこの程度の画像しか得られない。


    Borg570mmに変える。偽球茎の豆のようなバルブが観察できる。


    同上。


    さらに2倍のエクステンダーを装着して1140㎜で撮影する。偽球茎から葉が出ているのが見える。


    同上


    トリーミング画像

 なんとなく蕾のような小さな塊が突出しているのがいくつか見えるが、花が咲くのはまだだいぶ先のようだ。さらにもう1種類、マメヅタランの撮影も試みる。


    570㎜望遠。ほとんどマメヅタと同じに見える。


    1140㎜望遠。ムギランと違って偽球茎は形成せず、蔦のような茎が這っている。


    トリーミング。小さな花茎が延びて蕾らしきものが付いている。あと2週間もすれば咲きそうだ。


    さらに強トリーミング像。

 ムギラン、マメヅタランとも残念ながら花が咲くには早過ぎた。Borgレンズでうまく撮れるのかどうかを心配していたのだが、天候の良い日で光量が十分にあれば撮影出来そうである。これくらいの解像度が得られれば十分である。

 周辺の木を覗き込みながら散策してみたが、着生している木は2本しか見つからなかった。


    新緑と4段の滝


    タニウツギと沢の流れ


    望遠でタニウツギ


    南部町ならばスルガテンナンショウがあるだろうと思ったが・・・


    付属体は棍棒状。普通のマムシグサと思われる。

 南部町まで足を運んだのはムギランとマメヅタランを見る目的の他にもうひとつ、スルガテンナンショウを見てみたいということもあった。目を付けていた場所は残念ながら花が終わってしまっており仏炎苞はもうクチャクチャになってしまっていた。残っていた付属体の形を見る限りではスルガテンナンショウと思われるのだが確証は持てない。それらしきものを見つけたが残念ながらスルガでは無かった。ところが、花を撮影していると7~8人のルーペや図鑑を持った植物観察会と思わしきグループがやって来た。テンナンショウの花を見てスルガですかと聞かれたのでこれは違うと答えたところ、咲き残っている場所があると教えていただいた。そちらの場所に移動してみると、大部分は終わっているもののまだ咲き残っているスルガテンナンショウに出会うことが出来た。


    思っていたよりも大型のテンナンショウ属だった。


    側面から見る仏炎苞と付属体。


    スルガテンナンショウの特徴は付属体の先端部が結節になっていること。


    この場所のものは葉に美しい斑の入ったフイリスルガテンナンショウだった。

 予想通り、南部町ではスルガテンナンショウに出会うことが出来た。しかし、今度の場所はヤマヒルが多くて車を止めたすぐ脇の藪っぽい場所ではあっという間に5~6匹のヤマヒルが靴にまとわりついて来た。全て持参したアルコールで撃退し、被害は被らなかった。南部町の界隈は今回のムギランやマメヅタランのように南方系の着生ランに出会える場所で、カヤランやヨウラクランも生育している。おそらく他にも山梨県ではあまりお目にかかれない変わった植物がたくさんあるに違いない。
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スズムシソウとコアツモリソウ 富士北麓の森散策  平成30年5月11日

2018年05月14日 | 花・花・花
 山中湖近傍の神社を散策してからこちらの森にやって来たので時刻は4時半になってしまった。修理に出していた車が戻ってきたことだし、林道を行けるところまで行って歩行時間を短縮しようと目論んだが、途中で倒木に道を塞がれて先に進めない。しかも細い林道で車を回すスペースも無く、長い距離をバックして林道を戻ることになってしまう。大幅に時間をロスし、歩き始めるのは5時近くになる。しかもスラックスズボンにスパッツを装着するという変わった格好で森に入る。


    林道に倒木あり、先に進めない。


    林道脇に咲いていたテンナンショウ属。葉が細めで鋸歯がある。たぶんホソバテンナンショウ。


    居ました、スズムシソウ。しかしまだ咲き始めたばかり。


    満開には1∼2週間早かった。


    ほとんどがまだ蕾。


    しかし、数は増えているように見える。

 もうひとつのお目当てのコアツモリソウは、いつもの場所では無くて森のずっと奥の群生地を訪れてみる。スパッツを装着したのは少し藪道を歩くからである。


    林道の中に咲いていたレンプクソウ。


    スギ林の林床にはアオフタバランの葉がたくさん。


    アオフタバラン


    居ました、コアツモリソウ。しかしまだ蕾。


    こちらも数は多い。


    少しふくらみかけた蕾。まだ1∼2週間早かった。

 今年は花の開花が早いのでもうそろそろ咲いている頃だろうと思ったのだが、残念ながらフライングだった。しかし、スズムシソウもコアツモリソウも元気に咲いてくれそうで一安心である。
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