アヴィニョンの演劇祭と言うのは街中のあちこちの小さい劇場で、いろんな劇をしているのだと言うことがここに来て判った。
その夜、精神科医のご主人と奥さん(ただしこの時点ではまだ正式に結婚式を挙げていなかった)に連れてもらって、
精神科医のカップル
ストーリーはあるようだが音楽劇なので、良くわからない。管楽器を演奏していたがそのクラリネットみたいなのを3本ほど縦に繋いで吹いて見せたりした。
もう一つ印象に残ったのは、舞台で本物の火を使ったことだった。日本では消防法で禁止されているだろうけれど、ここでは特別に許されているらしい。
劇は写真撮影が出来ないのでお見せできないが、面白かったことは確かだった。家に戻ると精神科医から感想を聞かれた。
「私達は演奏された曲についての意味が解るので、面白かったけどどうだったかな?」
こういう時「うん、面白かったよ」だけでは済まない。
「非日常的な世界を楽しんだよ。こういうものを見ておくと、何か壁にぶつかった時、発想の転換をしてブレークスルーするのに役立つのではないかな?」というようなことを言った。どうやらこの答えで彼は満足してくれたようだった。
翌日は、今度は宿泊している精神分析家夫妻と別の劇場へ出かけた。彼等はここに泊まって連日あちこち見に行っているようだ。
精神分析家夫妻
この劇もストーリーがあるが、喜劇なので言葉が解らなくても面白い。昨夜と同じで男女数人ずつで全員でも6人くらいだった。
夏の海辺でのバカンスの劇で、強烈に印象に残ったのはほんの瞬間だったが、男優がフルヌードになった時があったことだ。扉から飛び出して来た時だったが、1秒も無かったと思う。しかし観客は皆びっくりした。これも日本では見たことが無い。
芸術祭の内容はいかにも南フランスらしい、ラテン的な内容の物ばかりのようだ。この時期アヴィニョンの街は活気にあふれ、街全体がお祭り気分だ。
このような形のお祭りも日本にはない。
若者を中心とした劇場芸術に対するいろんな方面への試みがなされ、新しい創作が行われる。人々は日常生活からひと時解放され、これを観賞し、心を白紙にセットし直し、明日への元気に繋げていく。そう言う印象をもった。
イザベル宅で急いで簡単な昼食を頂き、それでもTGVの出発にぎりぎりという有様で、イザベルに「TGVはあなたを待ってはくれない。急いで」と言われたのだ。
また忘れ物をアヴィニョンまで届けてもらったことも知っているので、「忘れ物をしたら私はパリまで届けられないわよ」と言って、笑われた。
そして私は日本人らしくさっさとこの日アヴィニョンに別れを告げ、TGVであっという間にパリにもどったのであった。
そしてリヨン駅には、奈良で出会った夫婦が私を待っていてくれた。彼等は7月14日の革命記念日(日本で言う「パリ祭」)に併せ、ツールーズからパリに来ていたのだった。
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