祥泉暦

日常の出来事の記録

資生堂アートハウス

2017-11-26 09:47:12 | カルチャー
静岡県掛川市にある資生堂アートハウスに行って来ました。



資生堂アートハウスの存在は
日経新聞の 「私の履歴書」に建築家の谷口吉生が連載された時に知りました。
これまで谷口氏の建築物のうち
酒田の土門拳写真館、豊田市美術館 、長野の東山魁夷美術館など観て来ました。
行こうと思ったきっかけは、谷口氏の建築物を観たいという思いからでした。

それから10年位前、世田谷美術館で開催された 資生堂の商品パッケージや
刊行物 ポスターなどの展覧会を観たことがあって、
資生堂という会社は、単なる化粧品を売るだけの企業ではない事を認識しておりました。


行ってみて知ったのですが、このアートハウスは1978年に開館し、
「開館40周年記念展」の前期期間中でした。
日本画 工芸 など、普段あまり触れ合う機会のないものがほとんどで、
とても美しい興味深い展示でした。
ほとんどが日本人作家の作品で、画材、漆芸、陶芸 、竹工芸など
日本特有の工芸品の広さと美しさを観ました。

展示中に日本画の材料についての解説があり、
同伴した夫と共に釘づけになりました。
以下覚え書きとして、まとめます。

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絵具について
顔料(鉱物や土を砕いたもの)+膠(動物の骨や皮から取り出したコラーゲンを原料)=絵具
顔料の粒子の大きさで色の薄い(粒子が細かい)濃いを調整する。
加熱して色の変化、色調を作る。
白色の絵具の代表的なものは 胡粉 で、天然のいたぼ牡蠣の殻を精製、粉砕して作る。
現代では色ガラスの塊を砕いて作る人工絵具も開発され
新しい色が日本画の表現が多彩になっている。

箔 泥 墨
金属を極限までに薄く伸ばし(箔)、さらに粉状にし(泥)、膠と混ぜて使う。
煤に膠で練り上げて乾燥させて墨を作る

これらの材料は、必ずしも扱い易いものではなく、表現上制約が多いと言えます。
しかし現代に至るまでの千数百年もの間、さほどの技法上の変化もなく描き続けられてきたのは、
わが国の風土や日本人の心を表現するのに適った表現が可能な技法だったからに違いありません。

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日本にいながらにして、世界の名画を容易に鑑賞できる美術館の多彩な催しに
酔いしれていると、日本画に触れる機会を遠ざけてしまいます。
今回、我が郷里 山形県大石田町の 小松均 という画家の絵に出会いました。
ここには富士山の絵でしたが、最上川も描いているとのこと。楽しみです。


資生堂企業資料館が隣にあり、覗いてみました。



こちらは、昔懐かしい化粧品の ボトルやポスター
創業者の理念や歴史を知ることができました。

私も初めて母に買ってもらった化粧品が資生堂でした。
高校を卒業する時に、学校でメイクアップサンプルを配られました。
単なるコマーシャルとしか受け取っていませんでしたが、
それだけではなかったのではと、今なら理解できます。
自分で化粧品を買うようになってからは、
海外ブランドに傾いてしまいました。


資生堂アートハウスと企業資料館を観て
資生堂という企業がどういう美意識を持ってきたかを感じることができ
とても感動しました。
財界で成功した人のコレクションを展示する美術館とは違い
化粧品を提供してきた企業理念を美術品で紹介している
「心に響く美術館」でした。
入館料が無料の意味が少し理解できました。







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