祥泉暦

日常の出来事の記録

炎立つ 五巻 高橋克彦著 講談社文庫

2019-09-24 15:25:33 | 書籍


仮名を学んでいて、俳句を書くことになった。
俳句といえば私としては断然松尾芭蕉の「奥の細道」
故郷山寺にて詠んだ 「静かさや岩にしみ入る蝉の声」は、
わたしが初めて知った俳句です。

今年肝を入れて「奥の細道」をたどっていて
「 夏草や兵どもが夢の跡」
「五月雨のふり残してや光堂」に行き着いた。
前句は平泉での句、杜甫の
「国破れて山河あり城春にして草木深し」を引いて
古戦場で命を落とした兵達への慰霊を詠んだ句。
そして後句は、平泉中尊寺の藤原三代(清衡 基衡 秀衡)の
ミイラを納めた光堂を五月雨が降り残したのかと詠んだ。
「降り」は「経り」の意味掛けで、永遠と五月雨には
ふり残されてきた光堂は、かくあるのや の意味。
奥州500年の歴史を回想したシーンに心が足止めされた。

この句に出会い、以前 娘と東北を旅行した時、
毛越寺 中尊寺金堂を眺めたことを思い出した。
そして東北人として、平泉文化の歴史を知っておきたいと
ずっと思っていたので、歴史小説「炎立つ」を読んでみることにしました。


蝦夷人である著者が、藤原家側からの視点で書いた歴史小説は、
東北人気質と言われている所以がここにありました。
私にも確実にある「蝦夷魂」、時に世渡り下手と評価されても
仕方がないと思ってしまう。そしてそこがまた良いところだと
自画自賛してしまう。この長編大作小説にのめり込んだ理由は、
そこにあったのだと自覚しました。

NHKの大河ドラマに起用された事は全く知らなかったので
是非観たい。

蛇足ですが。。。
父は、ずうっと山形県にいたので当然ですが、
若い頃から関東に住んでいた父の弟は、
いつも東北や山形を舞台にした歴史小説を読んでいました。
子供の頃の私にはちょっとわからない点でした。
ここ数年、郷土史や郷土歴史小説に傾倒している自分がいます。
アイデンティティというものは、歴史を考察する時には欠かせない
要素であり、そこがとても面白い!