京都・環境ウォッチ

いま京都で起こっている環境問題、自然環境の変化などにかかわって、皆さんと一緒に考えていきたいと思っています。

原発稼動ゼロを続けようー5月6日「ゼロ」の日

2012年05月06日 | 原発ゼロ
最新の「ねっとわーく京都」6月号に掲載してもらったものです。
次は、市民の力で「ゼロ」の継続
ドイツは自然エネルギー造りを市民が率先して進めましたが
日本ではこの時点に立っての
電力使用を減らす「減電所」造りの運動と
再生可能エネルギーの活用を大きく進める市民の運動が未来を開きます。

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大飯原発再稼動などあり得ないー「レベル7」をしっかり腹にすえて考える  

北山の自然と文化をまもる会代表幹事 榊原義道

「原発停止で激変の海」が静かな話題に
  「大飯原発再稼動」を許すか否か、この激しい闘いの最中、京都大学舞鶴水産実験所准教授・益田玲爾さんの連載(益田さんのホームページ:京大水産実験所・益田玲爾さんの空中散歩120)が話題となっている。詳しくはHpを覗いてほしいが、ダイビングを趣味とする氏の報告では、過去9年間、毎冬の潜水調査で南方系の魚を見ない年がなかったのに、この冬の若狭湾は様子が激変しているという。
「原子炉の停止に伴い、温排水の供給が止まったため、南方系の生物たちは軒並み衰弱している」。連載最後で取り上げられたのが南方系の「マガキガイ」。高浜原発の温排水で水温が上った音海では年間を通して見られてきたが、今冬は「元気がない」とのこと。続いて、熱帯の毒ウニが死滅し、トラフナマコも目立って衰弱・・・・と南方系の生物の衰弱が示される。氏は、「南の海から来て住み着いた生き物たちにはすまないが、音海の海も本来の若狭湾の生態系へと戻るのが良いことのように思われる」と記事を締めくくっているが、原発が永久に止まることを若狭湾本来の生物たちも願っているだろう。

3.11から3.10の一年
 大震災と原発事故から一年の3月10日、円山音楽堂(京都市東山区)と周辺では、「バイバイ原発3.10京都」の集会・デモが行われ、京都の脱原発集会・デモとしては5000人以上が参加する画期的なパフォーマンスとなった。実行委員会が出来てから3ヶ月、賛同は152団体・個人177人に達し、これまでの脱原発の市民団体や環境グループ、京都総評などの労働組合とともに、京都府保険医協会や京都民医連など医療関係団体、生活協同組合や産直グループなど、取り組みの輪は昨年9月と比べてもさらに広がった。集会の申入れは、お寺やキリスト教会、数十の幼稚園・保育園、近所のお店や喫茶店にも行われ、ある幼稚園では、対応された園長さんが「うちの園では、お母さんがビラを持ってこられ、もう宣伝されていますよ」と話してくれるなど、各地で好意的な反応が返ってきた。 
京都での脱原発デモ(大集会)は、昨年6月26日の梅小路公園での取り組みが最初で1000人弱、続いて9月10日、11日(円山公園)の二つの集会・デモは合わせて3700人、それと比べて今回は円山音楽堂に入りきれず(文字通りあふれ)、その参加形態も、個人個人の個性溢れる表現で意志を示した。
  こうした中、政府は、バタバタだがしゃにむに大飯原発3.4号機の再稼動を進めようとしている。これに対し、「不同意」を示す近隣首長の動きも続いている。嘉田由紀子滋賀県知事は「安全性を一部捨ててまでなぜ急ぐ」(4月5日)と批判し、山田啓二京都府知事も「恒久的な対策はこれからではないか。再稼動させることは無理がある」(12日)と表明、原発を止めようという世論の発展がこうした変化を生み出している。京都でいえば、この一年、脱原発の大集会・デモは5倍化した。運動の発展が社会と政治を変える力を生み出していることは間違いない。同時に、この世論と運動の「発展」は、さらに大きく広がることが求められている。

「脱原発」80%、同時に「電力供給に応じて必要な分だけ再稼動」の声も
  3月18日、日本世論調査会が行った原発事故などに関わる世論調査(10,11日)が発表された。「脱原発」が79.6%(賛成43.7%、どちらかといえば賛成35.9%)と高い支持を示す一方、国内の全原発停止後「定期検査後、安全評価で問題がなかった原発についての再稼動をどう考える」かの質問には、「再稼動を認める」(15.6%)、「電力供給に応じ必要な分だけ再稼動を認める」(53.5%)と答えている。
バイバイ原発・3.10のポスターを快く貼らせてくれた伏見区のある蕎麦屋のオーナーさんが、一緒にポスターを貼りながら「電気は大丈夫?」と質問してこられた。北区の仁和学区で原発ゼロの署名取りをしていた時も、結構真剣に原発について考えられているお母さんが、同じ“不安”をぶつけてきた。
昨年、多くの原発が止まった時、それに変わる化石燃料の輸入量増大で「電気料金が値上がりする」と大宣伝されたが、石油などの輸入量はほとんど増えなかった。気候ネットワークは2月15日、「化石燃料増加とCO2排出増に関する分析」で、日本全体の化石燃料輸入量は2010年度-13924pj(ぺタジュール)、2011年度-13928pjと、震災の前後でほぼ同じであり、原発の発電量減少分の半分程度しか火力での燃料使用は増えておらず、他の分野での化石燃料使用での省エネ効果が表れていると指摘したが、こうした事実はまだよく知られていない。
世論は発展してきているが、それをさらに広く、深く耕すことが求められている。“しゃにむに再稼動”は、この隙間を突いて強行突破を図ろうとしている。
 
「レベル7」とは、どんな事態なのか
  昨年、ねっとわーく京都7月号で、「レベル7」について少し触れた(「原発なくす温暖化も止める」)。事故直後は隠されていたが、その後、当時の菅政権内部で昨春「最悪の想定」が議論になり、その報告がされた事が明らかになっている。「最悪のケースでは首都圏の3000万人が避難対象となる」。この結果に菅前首相は、「国が国として成り立つのかという瀬戸際だった」との認識を示している。
私は、この「国家崩壊の瀬戸際」にまで立ち至ったことへの認識が、まだあまりにも弱いと思っている。「レベル7」とはどのような事態なのか。このことについて日本国民が共通認識を勝ち取ることは私たちの責務であり、この認識こそ新しい日本づくりの土台、出発点になるものだ。しかし、これはまだ非常に不十分だ。
  「脱原発」学習会では、この「レベル7」について必ず触れる。昨年、立命館大学の学生たちの学習会で「レベル7」について聞いてみた。「それはチェルノブイリと同じレベルです」と答えてくれた。それは正しいが、では「被害」とはどれ程のものか?今回は、それに比べてどうなのか?
チェルノブイリの場合、放射性物質による高汚染地域は半径300キロ圏にまで達し、55,5万ベクレル/㎡(セシウム137)以上の区域は「義務移住区域」となった。義務移住とは「強制移住」のことだ。それは、汚染地図で300キロ圏にまで達するエリアに、大きく湖のように広がっている。
今回、福島第一原発からの300キロ圏は、どこまで広がるか?福島第一原発を中心に半径300キロを円に描けばすぐにわかることだが、南西方面は、埼玉、東京を越え神奈川にまで広がる。

新幹線は東京までやってくるのか?
学習会では、もし、東京など「300キロ圏内」を、チェルノブイリと同様の被害が襲った時どうなるかを考えてもらっている。
「東海道新幹線は、東京までやってくるか?」
「そんな時でも、国会は東京で開かれるのか?国会議員は全員東京に残り、対策に当たるのか?」「大企業の東京本社は、引き続き東京で仕事をするのか?」
「皇居は・・・?」
3000万人の市民の、避難は可能? その時の食料は? 企業の株価はどうなる? 日本
の国債は? 円高はそのまま続く?
 新幹線は東京まではやってこないだろう。大企業の東京本社は、東京から脱出するだろう。日本経済や政治は大きく信頼を失い、円が暴落すれば、60%を外国輸入にたよる日本人の食料は大打撃を受けるだろう。エネルギーも同じだ。3000万人市民の避難は不可能だろう。
「レベル7」の事態が、まともに関東を直撃していたら、日本の国が現実的に崩壊の危機に直面したことは容易に想像できる。今回、私たちの国で起こったのは、その「直前の事態」だった。あえて言うが“運良く”被害は現状レベルとなっているが、現実は、チェルノブイリの直前にまで来てしまった。もっと人口密度の高い日本で。
「レベル7」とは、それを示す。私たちの国が、そこまでは行かなかったが、その「直前」にまでやって来てしまったことを、本当に真剣に、しっかり腹に据えて考えなくてはならない。これを見過ごせば、後はないだろう。
 11月16日、気象庁気象研究所は、今回の原発事故で大気中に放出された「放射性物質のうち、特にセシウムは4月までに70~80%は海に落ち、陸地に降ったセシウムは30%程度と推定される」(京都新聞2011.11.17)と発表した。新聞紙上の写真では、日本列島から太平洋側に大きく広がる放射性物質の帯が、赤黒い龍のように口を開けていた。今回の陸上の被害は、その「一部」なのだ。

大飯原発再稼動は、あり得ない
日本はまだ、やっとこさ“偶然”に助けられている。しかし、神や仏の顔も、何度も使わさせてもらえないだろう。
こうした中で、民主党政権の“しゃにむに再稼動”には、一片の理もない。福島原発で起こった重大事故の検証も出来ていない、それを行う専門家の体制さえ作られていない中での「政治判断」など狂気の沙汰だ。関西電力の「工程表」は、防潮堤のかさ上げなど工事計画を列挙しただけ、免震棟の完成は2015年度。それまでの“安全”はどうするのか?これこそ“安全神話”のよみがえりではないか。“無理が通れば道理ひっこむ”と言うが、そんな事態を許してはならない。ひとかけらの理もなく“しゃにむに再稼動”に突っ走る民主党の政権は許されない。もちろん自民党に戻る道理もない。政治は、おおもとから変えなくてはならない。
























                                              







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