山形県手をつなぐ育成会 日々徒然なること

育成会の事、関係ないことも勝手につぶやきます

◆小さなピカソたちの夢

2013年04月02日 | 日記
全日本手をつなぐ育成会とも関係が深い
NPO法人PandA-J(プロテクション・アンド・アボガドシ―J)
代表 堀江まゆみ(白梅学園大学教授)さんから
障害理解絵本と、警察官向け障害理解ハンドブックの
見本誌を送っていただきました。
今日は、障害理解絵本「小さなピカソたちの夢」を
ご紹介します。


小さなピカソたちの夢-本当にあった話だよ-


 引用します 

勝利の女神だね

小さな女の子だった。
生まれてからずっと寝たきりである。
お母さんは一生懸命に女の子の世話をするけれど
ときどき疲れ果ててしまう。
車いすを押して歩いていると、
ジロジロ見られる。
「愛情が足りないから
子どもの障害がなかなか良くならない」
と親せきに言われる。
もう、私も娘もこの世から消えてなくなりたい・・・・
そんな思いが脳裏をかすめていくことが何度かあった。
誰にも知られないようにしていたけれど。

お兄ちゃんはやさしくて、
思い詰めたお母さんの背中をさすってくれた。
「だいじょうぶだよ。お母さん。僕がついている」
その優しさに何とかお母さんは支えられて、
重い障害のある娘を抱えてここまで生きてきた。

そのお兄ちゃんが時々、小さな声でお願いをする。
「学校にだけは(妹を)連れてこないでね」

いじめによる子どもの自殺も各地で相次いでいる。
学校という子ども社会で生きていくのは大変だ。
もしも重い障害の妹を見られたら、
いじめや冷やかしの対象になるかもしれないと
心配だったのだろうか。

お母さんはお兄ちゃんの気持ちが痛いほどわかる。
「そうだね。連れていかないから安心して」
そう言いながらお母さんは、
娘がお兄ちゃんの学校ではいないことにされている、
ということにさみしさを感じていた。
お母さんは、その気持ちをお兄ちゃんに
気づかれないように必死だった。

お母さんは妹が不憫でしかたがなかった。
たしかに重い障害はある。だけど、この子は生きている。
存在していないことにしなくたっていいじゃないか。

ある日、六年生になったお兄ちゃんが
ソフトボールの選手に選ばれた。
もうそろそろ大丈夫じゃないかと思い、
妹に兄の活躍する姿を見せたくて、
お母さんは決心を固めた。

車いすに妹を乗せて学校へと応援に行った。
お兄ちゃんの気持ちを考えて、
隠れるようにして応援していたのだけれど。
そんなお母さんの気持ちが天に届いたのか、
お兄ちゃんのチームは勝った。

「お兄ちゃんがんばったね」
お母さんが妹の車いすを押して帰ろうとしたときだった。
チームメイトのざわめきが聞こえてきた。

「あの車いすの女の子はいったい誰だ?」
「一緒にいる人はあいつのお母さんじゃないか?」
「あれ?あいつに妹なんていたのか?」
子どもたちはだんだん近づいてくる。
気がついたときには、
おかあさんと妹は子どもたちに囲まれていた。

車いすの中の小さな女の子に、
お兄ちゃんの同級生たちの視線が注がれる。
お母さんの心臓の鼓動が聞こえてきそうだ。
「学校にだけはつれてこないでね」と言われていたのに・・・・

そのとき、じーっと見ていた子どもたちの何人かが
手をのばして、妹の頭を撫でて言ったという。

「勝利の女神だね」
「ぼくたちはこの子が応援してくれたから勝てたんだよね」
「そうだよ、そうだよ」
「勝利の女神だよ。ありがとう」

なんで子どもたちはそんなことをしたのだろうか。
妹を隠さなければいけないと思っている
お兄ちゃんの気持ちが、まわりの子どもたちに伝わり、
なんとかしてあげなきゃと思ったにちがいない。

しかし、どうやって「大丈夫だよ」という気持ちを
伝えていいのかわからず、妹を見に来たんだ、きっと。
そして、直感的に頭を撫でて「勝利の女神だね」なんて
言葉がでてきたのかもしれない。

今の子どもたちは「生きる力が希薄だ」と言われている。
いじめによる自殺が相次いでいる。
不登校、引きこもり、リストカット、ニート・・・・、
息苦しい現実の中でもがいている
子どもたちの姿が思い浮かぶようだ。

いったい、生きる力とは何なのだろうか。

同じ時代、同じ地域で生きている仲間同士が、
痛みや悲しみに触れ合って、心の中の鐘が響き合い、
そういう中で自分の存在感をしっかりつかんでいく。
相手の存在感も認める。

そうやってお互いに自分自身を肯定し、
愛していくことができるのではないだろうか。
そういう体験が子どもたちの生きる力をはぐくんでいく
栄養分になるのではないのだろうか。

その時、お兄ちゃんがどこにいて、
どんな顔をしていたのか、お母さんはおぼえていない。
涙でかすんで見えなかったから。

 ここまで 

このお話を私は数年前に、読んだことがあります。
友人が貸してくれた本の中に書いてありました。
当時は、この絵本の試作段階だったのかも知れません。
読んだあとに書く、アンケートもありましたから。

その本の中にはもっとたくさんのエピソードが書いてあり
書かれているお話のひとつヒトツが当事者家族である
私の気持ちと重なったりするので、なんとも表現しにくい
気持ちになった覚えがあります。
お話の全ては最後にハッピーエンドを迎えるのですが
私の気持ちは「あー良かった良かったすっきりした!」
とはならず、なにか拭っても拭いきれない負の気持ちが
残った記憶があり、アンケートにもそのような事を
書いた覚えがあります。

ですが、今回の冊子ではエピソードだけではなく
ちょっとした説明(解説)が書き加えられていたからか、
私自身が成長したからか(うっそーとか言わないでね)
あまり引っかかりは感じなくなっていました。
まあ、ひとつのお話ししか載っていませんでしたしね。


この絵本の挿絵に使われている作品たちです


こういう絵本を利用して障害を理解してくれる人が
少しでも増えるのであれば、どんどん利用して欲しいと思います。

次回は警察官向けに作られたハンドブックのご紹介をします(F)






就学相談のモデル的な取組の共有化

2013年04月02日 | 特別支援教育
 インクルーシブ教育システム(包容する教育制度)構築にかかる報告書が、
 文部科学省「初等中等教育分科会」より平成24年7月23日付けで発表された。
 その報告概要を項目ごと続けて紹介している。

 その第7回目。

 就学先決定については、市町村に100パーセント任されているの現状だ。
 ここでの指摘は、その際相談・助言を都道府県教育委員会も強化する必要性について述べている。

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【引用始め】

http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/044/attach/1321668.htm

共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための
特別支援教育の推進(報告) 概要

2.就学相談・就学先決定の在り方について

(4)就学先相談、就学先決定に係る国・都道府県教育委員会の役割

•都道府県教育委員会の就学先決定に関わる
 相談・助言機能を強化する必要がある。

•就学相談については、
 それぞれの自治体の努力に任せるだけでは限界があることから、
 国において、何らかのモデル的な取組を示すとともに、
 具体例の共有化を進めることが必要である。

【引用終わり】

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 就学相談で本人・保護者と学校等が合意形成できない難しいケースもまれにはある。
 そうした場合、本人・保護者の意見が最大限尊重されることになっている。
 時間をかけて、本人・保護者が納得できるように継続的な相談・助言が行われる体制こそ必要である。
 (ケー)