山形県手をつなぐ育成会 日々徒然なること

育成会の事、関係ないことも勝手につぶやきます

◆成年後見被後見人の選挙権訴訟で和解

2013年07月18日 | 成年後見制度
参議院選挙の投票日が迫ってきたこの時期に
ようやく和解が成立しました。

全日本育成会の呼びかけで、日本各地の育成会で
選挙権回復のための署名運動なども行われましたが
ようやく解決したことになります。

NHKニュースweb←クリックをどうぞ


先日、選挙権の事でブログに投稿しましたが、一部訂正があります。
自分の子どもの事を例に挙げて「文字が書けないから選挙はできない」と
書き込みをしたのですが、間違いでした

文字が書けなくても、代わりに書いていただけるそうです。
大変申し訳ありませんでした。

立候補者が書かれている表から本人が指さしで選んだ候補者の名前を
係の方に代筆してもうことができるようです。
実際にそのような方法で投票している方もいらっしゃるようです。

先日、20歳になった子どもに選挙をさせてみたいと思った友人が
役所に問い合わせをしてみたそうです。

ただ、投票場で「どの人が良いですか?」とか「この中から選んでください」
とかの声掛けは一切してはいけないそうです。
そのくらい良いじゃなぁいぃとも思いますが、
選挙違反になるのだそうです。

以前にも、ウチの息子の先輩が20歳になって、親御さんと投票に行ってきたことも
ブログに投稿したことがありましたが、その時は投票所にいた方々から
「あら~〇〇ちゃん20歳になったのか!」
「選挙に来たの?偉いね~」などと声を掛けていただいて
本人もとても嬉しそうだったとのことでしたので、今回の和解で
選挙権が回復した方々は本当に感激しているのではないでしょうか。

私たちも折角の権利を無駄にせず、私たちの生活を守ってくれるのは
誰なのかを考えて(誰だろう)是非、投票にいきましょう(F)





◆成年被後見人の選挙権回復

2013年05月28日 | 成年後見制度
昨日、公職選挙法等の改正法案が参議院本会議で全会一致で可決され、成立いたしました。


今朝の山形新聞の1面


これは「成年被後見人の選挙権の回復等のための公職選挙法等の一部を改正する法律」が成立し、
公職選挙法第1条第1項第1号(成年被後見人は選挙権を有しないとする規定)が削除され
被後見人の選挙権が回復されるということが決まったということです。

これで、全国で13万6千人(推定)、山形県でも1181名の被後見人の選挙権が
回復することとなります。

これに伴い、全日本手をつなぐ育成会が声明を発表しました。


先ほど、支部育成会・団体会員・賛助会員の事務局あてに
声明文を添付したメールを転送いたしましたのでどうぞご覧になってください。

先日も山形県内の支部会長さんとの会話の中で選挙の話になり、
障害のあるお子さんは、毎回必ず投票に行っているという話をお聞きしました。
成年後見制度は、選挙権のことがはっきりしてから考えたいというお話をする
会員さんも何人もいらっしゃいました。

成年後見制度は今後ますます重要になっていく制度ですから今回の改正は
大変喜ばしいことだと思います。
ただ、東京地裁で現行の公選法を違憲とした判決に対し、国が控訴をしており
これを取り下げないとしておりますので、育成会としてはこれまで同様に
控訴を取り下げるよう要望をしていくということになります(F)



◆成年後見制度で選挙権制限は違憲…東京地裁

2013年03月14日 | 成年後見制度
≪速報≫
 「成年後見人が付くと選挙権を失う」とした公職選挙法の規定は参政権を保障した憲法に違反するとして、知的障害がある茨城県の女性が国に選挙権の確認を求めた訴訟で、東京地裁(定塚(じょうづか)誠裁判長)は14日、規定を違憲、無効とした上で、女性の選挙権を認める判決を言い渡した。


これは、全日本手をつなぐ手をつなぐ育成会が
以前から関わっているダウン症がある
同県牛久市の名児耶(なごや)匠さんが起している裁判です。

この判決はとっても画期的な判決です。
この判決を受けて東京で集会が行われます。

以前のブログを貼りつけます

↓   ↓   ↓  ↓


後見選挙権訴訟判決後集会
「もういちど 選挙に行きたい」
~公職選挙法11条1項1号の削除を!~


公職選挙法11条1項1号は、「成年被後見人は選挙権を有しない」と
定めています。権利擁護のために成年後見制度を
利用したはずなのに、日本国民であれば20歳になれば誰でもが有する
ことになる選挙権が剥奪されることになります。
それは、選挙ができるできなくなるということだけが問題ではありません。
この規定が、重要な人権侵害をおかしているという事です。

この問題について、これまでずっと選挙に行っていたのに
成年後見を利用した事で選挙権を失った当事者の方が裁判を起こしました。
その後、同様の裁判が、さいたま・京都・札幌で提訴され、
現在4地裁で裁判が行われています。

この度、1月24日に東京地裁の裁判が結審となり、
3月14日に判決が下されます。
そこで、今一度この問題を共有化し、思いを統一し、法改正への
呼びかけを行うために集会を行います。

日 時:2013年3月24日(日)13:15~16:00(受付13:00)
会 場:日比谷図書文化館・大ホール(東京都千代田区日比谷公演1-4)
主 催:後見選挙訴訟弁護団、全日本手をつなぐ育成会の共催
参加費:無 料
プログラム:裁判と運動の趣旨と、各地裁の状況報告
      講演:講師 戸波江二氏(早稲田大学大学院教授)
      裁判の当事者からの発言
      育成会から署名の報告と今後の運動について
      質疑応答、意見交換
定 員:200名
しめきり:2013年3月18日(月)
申込・問合せ:全日本手をつなぐ育成会・全国集会係
       FAX:03-3578-6935
       メール:kenri@ikuseikai-japan.jp

この運動を進めるにあたっての資金が必要です。
   会場内にカンパ箱を用意しますので、ご協力をお願いします。

他にも裁判が起きておりますで、今後の判決にも注目です。


◆市民後見センター発会(山形市)

2011年11月06日 | 成年後見制度
今朝の山形新聞でこの記事を見つけました。

名称はNPO法人「やまがた市民後見サポートセンター」です。
昨日(5日)山形市の霞城セントラルで発会式が行われたようです。

このセンターは、山形大学などて開かれている市民後見養成講座の受講者有志30人で設立したものです。

実際に貢献活動を開始するのは、来年の4月ごろからで市民後見人2名が1チームとなり、お1人の高齢者らのサポートをするという予定だそうです。

先日行われた山形市手をつなぐ育成会主催の「成年後見制度」の研修会の中でも、この市民後見人の事に触れていました。
費用の面から考えると、お金を持っていない対象者本人にとっては、市民後見人の制度は良い制度のようでした。
ですが、後見人の資質(これは誰がやってもそうですが)や、活動資金など難しい面もあるとのことでした。

ですが、このようなセンターが出来るという事は、本当にありがたい事だと思います。
それに、このサポートセンターでは、後見人が2名1チームという事ですし、1人では抱えきれない問題などがあっても2人なら手分けして当たれますので良いのかもしれませんね。

あとは、財産管理の面だけではなく、身上監護の面もきちんと見てくれるようなシステムも盛り込んでいただければ、ありがたいことだと個人的に思いましした。(F)



◆成年後見制度研修会報告(山形市育成会)

2011年11月04日 | 成年後見制度
11月2日(水)山形市総合福祉センター 会議室におきまして研修会が行われました。

成年後見制度そして選挙権剥奪問題


まずは会長の挨拶


講師の関哉直人弁護士 
イケメンでとても優しげな先生でした


開場には山形市育成会の会員ばかりではなく、
他の地区育成会の会長や会員・他の障害者団体の方で約40名の参加がありました



成年後見制度の現状
成年後見制度の課題
費用(お金のない人はどうするの?)
不祥事(後見人に親族がなった場合・第3者の場合)
欠格条項(この制度を利用することで、出来なくなる事)
表やグラフを利用して説明していただきました


皆さん真剣に聞いていらっしゃいます


最後は質疑応答
何人もの方が質問してくれ、関哉先生はひとつひとつに答えてくださいました


選挙権剥奪については、みなさん色々な意見をお持ちだと思いますが、東京都で、重度判定を受けている方は64%だそうです。
あとの32%が中軽度、4%が無回答です。
そしてその重度判定を受けている方の中で、10%の方は選挙に行っているそうです。
全日本育成会でも、これだけの重度の方が選挙に行っているという事実に驚いたそうです。

後見制度には、補助・保佐・後見と3種類ありますが、現在東京都では90数%が後見だそうです。

そして、選挙権問題について・・・

出来ていることが出来なくなることはおかしい
選挙の能力についての審査がない
成年後見制度は財産管理の制度

というよな意見をみなさんお持ちのようです。
判断能力に問題があるから後見人を付けるのだから、被後見人になった方の選挙権がなくなっても別に問題はないのでは?
と思っている方も多いと思います。
自分の子供には選挙は無理だし、別に選挙権がなくても問題ない!という事で、この問題に無関心の方も多いと思います。

ですが、私も今回この研修を受けたことで、自分の子どもには関係ないから!などと小さい考えで無関心でいる事が間違っているのだと思いました。

親亡き後も子どもが幸せに生きていく事ができるようにと、子どもの人権守るために後見制度(財産管理や身上監護)を利用するはずです。
ですが、行く行かないは別にして、国民として当然あるべきはずの選挙権が奪われてしまう。という事自体が、人権侵害にあたるのではないか!という事でした。

後見制度という事がどんなものか全く知らない人にとっては、やっぱり少々難しい話だったのだと思いますが、基礎の基礎くらいはなんとか知っている人にとっては(私です)とっても解りやすいお話でした(F)


◆山形市手をつなぐ育成会研修会のご案内

2011年10月27日 | 成年後見制度
山形市手をつなぐ育成会研修会のご案内です。

成年後見制度そして選挙権剥奪問題

今年度の研修会は「成年後見制度」についての学習会です。
支援費制度、自立支援法以来、成年後見制度について、目や耳にふれてはいるものの、よく理解できていない方が大方だと思われます。
新しい福祉法に移行しても、知らないでは済まされません。この機会にぜひ学習しましょう。

日時:平成23年11月2日(水)PM1:30~3:30
場所:山形市総合福祉センター 3F第1研修会議室
講師:弁護士 関哉 直人先生(全日本育成会権利擁護推進センター委員)
現在、成年後見制度利用による被後見人の選挙権剥奪問題
***もう一度選挙に行きたい!100万人の署名運動***展開中


参加の申込みは、ワークランドべにばな(TEL023-644-1132)又は事務局:内和(TEL023-641-8370)までご連絡ください。

             

先月の南陽市手をつなぐ育成会の研修会につづき、山形市手をつなぐ育成会でも「成年後見制度」の研修会が開かれます。

権利擁護については知っておくべき事だと思われますので、少しでも興味のある方はご参加ください。

◆親のための~ハンドブック

2011年06月19日 | 成年後見制度
先日行われた『山形県知的障害者相談員研修』で参加された方に配布された資料のご紹介です。

行政説明や、地域の相談支援活動についての資料は、山形県手をつなぐ育成会のホームページよりダウンロードできますが、こちらの資料は参加された方だけに配布させていただきました。



これは、すべて全日本育成会が関わって作成された冊子です。

以前にもこのブログでご紹介したことがあるものばかりですが
親のための成年後見ハンドブック
  (だれにもわかるすぐに役立つ)

もう一度選挙にいきたい
  (成年被後見人に選挙権の回復を)

親のための虐待防止マニュアル
  (だれにもわかるすぐに役立つ)

以上の3冊です。
ページ数も少なく、内容もとても分かりやすく書いてあります。

参加した方からの評判もよく、ご自分の支部育成会にも置きたいから追加で注文して欲しいとか、これは個人で注文できるのか?とかの問い合わせも数件あり、資料として選んだかいがありました。

興味のあるかたは事務局に見本がおいてありますし、欲しい方は実費で購入できますのでご連絡ください。

ただし、各冊子とも5冊で1部の取扱いとなりますので、最低5冊手元に届くことになりますのでご注意ください。



市民後見養成講座 特別受講のお知らせ

2011年05月13日 | 成年後見制度
 6月12日(日)山形大学医学部講堂で、「市民後見養成講座」が開催されます。
 下記の内容です。
 ふるって参加して下さい。
 後見人として活躍している親の体験報告です。
 貴重な機会です。参考になります。

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市民後見養成講座 特別受講のお知らせ


 ※障害者に関わる関係者または障害を持つ子の親御さんの方々へ・・・

 成年後見制度は、高齢者や障害者の権利擁護の目的で、平成12年から法制度が生まれましたが、一般的にはまだまだ浸透が薄く、制度の活用が少ないのも現実です。
 また、後見人の大部分は親族が、また一部の専門職(弁護士・司法書士・社会福祉士など)に委ねられているのが実際です。
 今後、増え続ける認知症高齢者への対応や、障害者の権利を守るためにも、成年後見制度を多くの市民にも理解を深め、また市民自らが後見人として地域の中で活動できる事を目的に、山形でも昨年10月より、東京大学市民後見プロジェクトが主催する「市民後見人養成講座」を開催しております。
 このたび、6月の講座が「障害者を後見する」というテーマで、実際に後見人として活動をされている親御さんからの体験報告の予定です。
 そこで、障害者の親御さんや障害者に関わる関係者の方々にも、今回のみ特別に受講できるようになりましたので、興味のある方は是非ご参加くださいますようお知らせいたします。
 
 1 日 時  平成23年6月12日(日) 午前9時30分~12時

 2 場 所  山形大学医学部講堂または講義棟

 3 受講費  資料代として1,000円を当日受付でいただきます。

 4 申込みは下記へお願いします。(6月8日頃まで)

 興味のある方は、一般社団法人山形県手つなぐ育成会事務局(023-623-6572)までお知らせください。
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#地震発生から35日目=後見人と被後見人が離れ離れ

2011年04月14日 | 成年後見制度
 平成23年(2011年)3月11日(金)14時46分に発生した東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0)から35日目(4月14日、木曜日)。
 また、大震災発生から35日目の新しい朝を迎えた。

 山形市内は余震が続く。どうなっているんだ。
 録画したドラマをみていて、急に緊急地震速報が入った。身構えていたら、揺れない。やっとこのドラマは録画だったことにあらためて気づく。
 こんな調子である。
 大震災がもたらした被災により、また一つ予期せぬことが障がい者に起こっている。
 この大災害によって、被後見人と後見人が離れ離れになって、財産管理、身上監護ができなくなっている事例もあるという。
 被災地における実態把握はほとんどできてないのが現状である。
 次のような「msn.産経ニュース」のレポートを引用する。

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【引用始め】

msn.産経ニュース
http://sankei.jp.msn.com/life/news/110413/trd11041307420010-n1.htm

東日本大震災 成年後見制度、大災害想定せず 現状把握など公的支援を
2011.4.13 07:40 (1/3ページ)

 東日本大震災で、被災地の弱者保護が大きな課題となっている。判断能力が不十分な認知症の人や障害者などを法律や生活面で見守る「成年後見制度」では、世話をしていた後見人も被災するなどして、制度が利用できなくなった被後見人が多数いるとみられる。専門家は「現状把握を急ぐなど、公的な支援が必要」と指摘する。(草下健夫)

 ◆避難先で離れ離れ

 「『被後見人の安否確認と安全確保を最優先してほしい』と会員に指示している。ただ、避難してどこに行ったか把握できていないといったケースは多いのではないか」

 後見人を引き受ける司法書士らで構成する公益社団法人「成年後見センター・リーガルサポート」の矢頭範之専務理事は、震災の影響の大きさを説明する。

 「預かっていた金融機関の通帳などの書類や記録を含め、事務所ごと津波で流されてしまったケースはどうするか。福島県では、後見人が避難して事務所に戻れないといった状況もあるようだ」

2011.4.13 07:40 (2/3ページ)

 同法人では、複数の後見を引き受けていた岩手県の会員1人が死亡したため、家庭裁判所が後任の後見人を選任することになる。矢頭専務理事は「時間をかけず、応急的にでも速やかに選任してもらえないものか」と憂慮する。最高裁判所の統計によると、平成21年に選任された後見人は、子供や兄弟、配偶者など親族が63・5%に上り、残りは司法書士や弁護士、社会福祉士などだ。

 こうした親族後見人について、矢頭専務理事は「震災で状況がどうなっているか一番心配される。(リーガルサポートや弁護士会のような)組織が情報を持たないため、家庭裁判所が何らかの形で安否確認や、後見人が活動できているかどうかの確認ができないとなると心配だ」と指摘する。

 ◆緊急対応が不可欠

 成年後見制度に詳しい中央大学法学部の新井誠教授も「被災地で亡くなった後見人や被後見人がどれだけいるかなど、まずは現状把握を」と強調する。

 これに対し、最高裁判所は「何事も申し立てが前提となっており、裁判所から積極的に動く制度になっていない。亡くなった原因が震災なのかを把握するすべはない」(広報課)とし、被災地の実態把握はできないとの見解を示す。

2011.4.13 07:40 (3/3ページ)

 こうした見解について、新井教授は「あまりにも官僚的。裁判所が後見人を認容しているのだから、活動できない状況に対して責任があるはずだ」と批判する。そのうえで、「今こそ生活、医療、介護、福祉といった身上監護が大切で、後見人が亡くなった場合、誰かが代わりに速やかなサポートをすることが必要。震災孤児の未成年後見と合わせ、行政に特別チームを作り時限立法などで緊急対応するなど、公的支援が欠かせない」と提言する。

 新井教授によると、成年後見制度は今回のような大規模災害を想定していない。この制度がこうした試練にさらされるのは世界的にも初めてで、海外の関係者も注目しているという。

【用語解説】成年後見制度

 判断能力が不十分な人に対し、後見人が財産管理や契約などの法律、生活面を支える制度。後見人は介護サービスの契約を代理したり、悪質商法、振り込め詐欺、親族内の財産トラブルなどから本人を守ったりする。本人または親族、身寄りのない場合は市町村長が、家庭裁判所に「申立」をし、家裁が後見人を選ぶ。通例では、親族が後見人になると無償だが、第三者では費用がかかる。制度のうち、「法定後見」では本人の判断能力の低い順に「後見」「保佐」「補助」の3類型がある。健康なうちに、信頼する後見人と契約しておく「任意後見」もある。

【引用終わり】

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 大災害時に成年後見制度はうまく機能しないかもしれないなんて想定できなかった。
 でも、実態把握からはじめ、いろんな事例を収集する必要がある。
 その早急な問題解決に努める。後見人も新たに選任することも解決策の一つに違いない。関係者の協力が必要となる。人任せ、杓子定規の対応ではこの非常時に官僚的と言われてもしょうがない。
 しかし、関係者の努力はいずれ実が結ぶはず。だからこそ、「明けない夜はない」。 (ケー)

13.成年後見と育成会=育成会の取り組み

2011年03月15日 | 成年後見制度
「知的障害のある人の成年後見と育成会~10年の歩みと展望~」
 発行日 2010年2月25日
 発行人 副島宏克
 発行所 社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会
 協力 社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 中央相談室長 細川瑞子
    社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 権利擁護委員会
 頁数 159頁
 価格 1,050円

 以上の書籍は、成年後見に関して、全日本手をつなぐ育成会がこの10年取り組んできた内容をまとめたものである。順次、ゆっくりと少しずつ紹介してゆく。
 まとめて勉強したい人は、ぜひ購入して熟読するなり、斜め読みするなり、あるいは仲間と輪読会をするのもいい。
 お買い得の本としてお薦めである。
 なによりもこうしたことが面倒という人は、このブログにお付き合い願いたい。きっと長丁場になるはず。一字一句おろそかにせず、紹介する。

 その第13回目。
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【第1章 成年後見への期待 2.全日本育成会での取り組み(p.9)】

1 全日本手をつなぐ育成会では、平成15年度の支援費制度の導入によって、契約による福祉サービス利用の仕組みが始まることに向け、2001(平成13)年4月に、理事長名で厚生労働省あてに「支援費制度について」と題する要望書を出しました。

2 ここには、次のように書いてあります。
 「サービスの利用者と提供者の契約においては、『判断能力が不十分な者』についての円滑なサービス利用を目的として、家族の代理等が認められる、とあります。しかし、これらの状況においては、本人への権利侵害がおこらないよう、成年後見制度を利用する等、厳格な配慮がなされる必要があると考えます」。

3 このように、全日本手をつなぐ育成会が成年後見制度に取り組んだのは、社会福祉基礎構造改革に伴う社会福祉事業法から社会福祉法への改正等を受けて、福祉サービスの利用を契約によって行うとする支援費制度の導入をきっかけとしています。

4 上記の要望書を提出した2001(平成13)年というのは、ちょうど育成会が50周年を迎えた年でもあり、また地域生活の実現に向けて、ホームヘルプや日帰りショートステイなど、全国的にさまざまな事業が実施されはじめた年でもありました。

5 その後も全日本手をつなぐ育成会においては、ほぼ毎年の全国大会での分科会テーマとして、また権利擁護セミナーや研究事業のテーマとして、さまざまな機会に成年後見制度取り上げてきました。

6 同時に、各地の育成会においても、成年後見制度に関する研修会がなされました。

7 それらの取り組みの中で、成年後見制度に対する期待の大きさが浮き彫りになると同時に、この制度に潜むさまざまな課題も明らかになってきました。

8 ここでは、この10年間の当会機関誌『手をつなぐ』に掲載された記事の中から、会や会員、関係者等の考えや取り組みがわかるものを取り上げ、その間の取り組みを振り返って見ることにしました。

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【コメント】

 全日本手をつなぐ育成会は、成年後見制度の適切な利用のために、厚労省あての要望書を提出したり、研修会を開催したり、機関誌に特集記事を掲載するなど、多彩な取り組みを行ってきた。
 そのことにより、本人たちの権利擁護の対応を進めてきている。
 しかし、成年後見制度の適用上の課題も見えてきて、十分な普及がなされていないのが現状である。
 こうした課題の克服により、より利用しやすい制度に変えてゆく必要がある。
 
 (ケー)

12.成年後見と育成会=成年後見制度の取り組み

2011年03月14日 | 成年後見制度
「知的障害のある人の成年後見と育成会~10年の歩みと展望~」
 発行日 2010年2月25日
 発行人 副島宏克
 発行所 社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会
 協力 社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 中央相談室長 細川瑞子
    社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 権利擁護委員会
 頁数 159頁
 価格 1,050円

 以上の書籍は、成年後見に関して、全日本手をつなぐ育成会がこの10年取り組んできた内容をまとめたものである。順次、ゆっくりと少しずつ紹介してゆく。
 まとめて勉強したい人は、ぜひ購入して熟読するなり、斜め読みするなり、あるいは仲間と輪読会をするのもいい。
 お買い得の本としてお薦めである。
 なによりもこうしたことが面倒という人は、このブログにお付き合い願いたい。きっと長丁場になるはず。一字一句おろそかにせず、紹介する。

 その第12回目。
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【第1章 成年後見への期待 1.親は何を期待したのか】

(7)育成会としてどうかかわるか(p.8)=成年後見制度の理解と利用

1 親がいてもいなくても、知的障害のある人の権利が守られ、身上監護がきちんと果たされて、地域社会で安全に生きていけることは、親の最大の願いに違いありません。

2 となれば、これまでの50年以上、知的障害のある人に関する共通の課題の克服に携わってきた親の会として、成年後見制度に積極的にかかわらずにおられません。

3 ということで、育成会の関係者らは、この制度を本人も親も安心できるシステムにできないかについて模索を続けています。

4 これまで「手をつなぐ」(全日本手をつなぐ育成会発行・月刊誌)で取り上げられた成年後見関連の記事の多さも、会員の関心の高さを物語っています。

5 そのひとつの成果が、知的障害者のニーズに沿った成年後見制度の理解と制度利用を目的として平成18年度に行われた全日本手をつなぐ育成会の「知的障害者の権利擁護システム構築に関する研究事業」です。

6 同研究事業の報告書では、育成会を核とした「知的障害者後見支援センター(仮称)」の設置が提言されるなど、育成会の実績や活動状況を受けて、踏み込んだものとなっています(同報告書は、全日本手をつなぐ育成会のホームページで閲覧可能)。

7 同報告書が出されて3年。そして、成年後見制度の施行10年。今、再び、知的障害のある人たちが地域で安全に豊かに過ごすために、成年後見制度にどう取り組むのかが、改めて問われています。

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【コメント】

 育成会では、成年後見制度の施行以来、そのあり方について常に関心を向けてきました。
 知的障害のある人たちが地域で安心して満足な生活ができるようにする手立てとして、成年後見制度の活用のあり方について取り組んできたのです。
 今後も、成年後見制度の推進に力を入れていく必要があります。

  (ケー)

11.成年後見と育成会=子どもを手放し社会に委ねる

2011年03月14日 | 成年後見制度
「知的障害のある人の成年後見と育成会~10年の歩みと展望~」
 発行日 2010年2月25日
 発行人 副島宏克
 発行所 社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会
 協力 社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 中央相談室長 細川瑞子
    社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 権利擁護委員会
 頁数 159頁
 価格 1,050円

 以上の書籍は、成年後見に関して、全日本手をつなぐ育成会がこの10年取り組んできた内容をまとめたものである。順次、ゆっくりと少しずつ紹介してゆく。
 まとめて勉強したい人は、ぜひ購入して熟読するなり、斜め読みするなり、あるいは仲間と輪読会をするのもいい。
 お買い得の本としてお薦めである。
 なによりもこうしたことが面倒という人は、このブログにお付き合い願いたい。きっと長丁場になるはず。一字一句おろそかにせず、紹介する。

 その第11回目。
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【第1章 成年後見への期待 1.親は何を期待したのか】

(6)成年後見人を人生の伴走者に(p.8)=親・家族の行動改革

1 そもそも成年後見制度は、介護保険と同時に施行されました。

2 そして、両制度は高齢社会を支える「車の両輪」と称されています。

3 つまり、高齢者の介護問題がそれぞれの家庭の中で解決しなくなり、社会問題とされたのです。

4 それでは、知的障害のある人の一生を、親や家族で支えることは果たして可能なのでしょうか。

5 また、もしそれが可能だとしても、一生家族、たとえば親から兄弟へ、その後は甥姪の世話になって暮らすことを、果たして知的障害のある本人が望んでいるのでしょうか。

6 それよりも、いつかは子どもを手放し、社会に委ねること(これを「支援の社会化」と言います)が知的障害の子をもつ親の宿命であると考えるなら、親が元気な間にこそ、それぞれの家庭で、あるいは社会に向かって、さまざまな準備をすることが必要ではないでしょうか。

7 以前のように行政へつなぐだけでよかった親・家族そして親の会の役割は、一転したとも言えます。

8 単なる保護ではなく、また親の言いなりになるのではなく、本人の希望を土台に据えた新たな生き方を支援する仕組みを、社会の中に構築しなければなりません。

9 その意味では、社会の意識改革を求める以前に、親・家族の意識変革が求められてもいます。

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【コメント】

 知的障がい者の一生を、親や家族だけで支えてゆくことの難しさを訴えてゆくとともにに、親たち自らがどうすれば良いのかを実行してゆくことこそ求められる。
 権利の主張のみでは、行政や一般の人たちが納得してくれない。
 自助努力があってこそ、それが共助となり、公助とつながってゆく。
 育成会会員一人一人が今できることに着手することである。
 わが子にとって成年後見制度をどのように活用できるか検討し、後見人の申し立てなどを行ってみることである。
 さらに、育成会運動という共助では、成年後見制度の課題を共有し解決に向けた行動を継続的に推進しなければならない。
 そのことによって、公助としての行政等の理解を得ることができ、より良い成年後見制度に変えてゆくことになる。
 その典型が成年後見制度における助成制度を進めることであり、選挙権剥奪問題を解決することになる。

  (ケー)

10.成年後見と育成会=親なき後は親あるうちに

2011年03月14日 | 成年後見制度
「知的障害のある人の成年後見と育成会~10年の歩みと展望~」
 発行日 2010年2月25日
 発行人 副島宏克
 発行所 社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会
 協力 社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 中央相談室長 細川瑞子
    社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 権利擁護委員会
 頁数 159頁
 価格 1,050円

 以上の書籍は、成年後見に関して、全日本手をつなぐ育成会がこの10年取り組んできた内容をまとめたものである。順次、ゆっくりと少しずつ紹介してゆく。
 まとめて勉強したい人は、ぜひ購入して熟読するなり、斜め読みするなり、あるいは仲間と輪読会をするのもいい。
 お買い得の本としてお薦めである。
 なによりもこうしたことが面倒という人は、このブログにお付き合い願いたい。きっと長丁場になるはず。一字一句おろそかにせず、紹介する。

 その第10回目。
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【第1章 成年後見への期待 1.親は何を期待したのか】

(6)成年後見人を人生の伴走者に(p.8)=財産管理から身上監護へ

1 成年後見制度がノーマライゼーションの理念を受けてできたということは、その目的が、禁治産制度にあっては財産を減らさずに相続人に渡すことだったことから、自分の財産を有効に使って安全で豊かな生活を実現する、という方向へ転換したことを意味します。

2 いわゆる「財産管理から身上監護へ」という言葉が表す理念の転換が、そこにあります。

3 もし、成年後見制度を利用することで、知的障害のある人が地域で安心して生きることが保障されるなら、親としても、いつまでも子どもを手元において抱え込む必要はなくなります。

4 つまり、「親なき後は親あるうちに」こそ、解決の道筋となるはずです。

5 これが、成年後見人を「知的障害のある人の人生の伴走者」にという考えです。

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【コメント】

 成年後見制度の理念は、財産を減らさないことから、財産を生かすことの転換です。
 また、財産管理から身上監護へ重点を移し、親が元気なうちに成年後見人を選ぶことで、わが子も親も安心な生活を送ることにつながります。
 そして、成年後見人をわが子にとっての人生の伴走者にしなければなりません。

  (ケー)

9.成年後見と育成会=見守りから利用契約の締結まで

2011年03月13日 | 成年後見制度
「知的障害のある人の成年後見と育成会~10年の歩みと展望~」
 発行日 2010年2月25日
 発行人 副島宏克
 発行所 社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会
 協力 社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 中央相談室長 細川瑞子
    社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 権利擁護委員会
 頁数 159頁
 価格 1,050円

 以上の書籍は、成年後見に関して、全日本手をつなぐ育成会がこの10年取り組んできた内容をまとめたものである。順次、ゆっくりと少しずつ紹介してゆく。
 まとめて勉強したい人は、ぜひ購入して熟読するなり、斜め読みするなり、あるいは仲間と輪読会をするのもいい。
 お買い得の本としてお薦めである。
 なによりもこうしたことが面倒という人は、このブログにお付き合い願いたい。きっと長丁場になるはず。一字一句おろそかにせず、紹介する。

 その第9回目。
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【第1章 成年後見への期待 1.親は何を期待したのか】

(5)身上監護(p.7~p.8)=広範囲の後見事務を担当

1 日本成年後見法学会では、2007(平成19)年に「身上監護研究会」を立ち上げ、研究報告を発表しています(同学会ホームページにて閲覧可能)。

2 ここでは、第三者後見人への全国アンケート調査をもとに、身上監護として実際に後見人がどのような事務を行っているかがわかります。

3 その範囲は公法関係から私法関係、日常生活の維持から福祉サービス利用契約の締結まで、実に広範囲にわたっています。

4 親が大変気にする見守りや、本人との面談がどの程度行われているのか等についても、現状がわかるようになっています。

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【コメント】

 「身上監護研究会」 http://jaga.gr.jp/pdf/H19shinjokango.pdf
による調査研究書において、後見人による「身上監護事務を遂行するうえで感じた困難さ」を次のように述べている。

① 「行政や金融機関においての事務手続」
② 「家族・親族への説明、意見調整」
③ 「身元保証人」
④ 「死後の事務」などが上位を占めている。

 もっと具体的な意見は次のとおりであったという。

① 行政や金融機関などにおいて、後見人等が行う事務手続が整備されていない。

② 家族・親族への説明、意見調整に時間がかかる・困難である。

③ 転居、入院時、福祉施設等への入所契約時に、身元保証人を求められる。

④ 被後見人等がなくなった際に、葬儀等を手配しなければならなくなる。

⑤ 本人との信頼関係の構築に時間がかかる・困難である。

⑥ 手術や延命治療など医療行為への同意を求められる。

⑦ 入院時や入所中に、家族同様のかかわりが求められる。

⑧ 転居先、入院先、福祉施設等の入所先を確保することが困難である。

⑨ 資産がないため、報酬付与申立てが困難である。

⑩ 成年後見制度利用支援事業の活用に自治体が積極的でない。

⑪ 資産がないため、事務経費の支弁が困難である(後見人等が負担)。

⑫ 収入が少ないために必要なサービスの確保が困難で、被後見人等の生活が安定しない。

⑬ 近隣住民との協力関係を築くのに時間がかかる・困難である。

⑭ ボランティアなど、地域に福祉サービス等の資源が少ない。

⑮ 対応に迷った際に、どこに相談してよいかわからない。

⑯ 対応に迷った際に、相談できる機関がない。

⑰ 地域の福祉サービス等の資源に関する情報が少ない、わからない。

⑱ 地域福祉権利擁護事業との併用がしにくい。

 以上、被後見人にとって一人一人異なる困難さを抱えているはず。
 こうした困難さを克服して、被後見人が最善の利益を得られるようにするのが後見人の役目と言える。
 困難さを克服しやすいものと、克服が難しいものがあって、後見人にとってもなかなか苦労することも多いに違いない。
 後見人個人だけでは克服しがたいものについては、行政、地域、家族等との連携・協力が必要になってくることは当然である。
 困難さの克服事例を一つ一つ積み上げていくことが重要となる。

 (ケー)

8.成年後見と育成会=後見人の職務は?

2011年03月13日 | 成年後見制度
「知的障害のある人の成年後見と育成会~10年の歩みと展望~」
 発行日 2010年2月25日
 発行人 副島宏克
 発行所 社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会
 協力 社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 中央相談室長 細川瑞子
    社会福祉法人 全日本手をつなぐ育成会 権利擁護委員会
 頁数 159頁
 価格 1,050円

 以上の書籍は、成年後見に関して、全日本手をつなぐ育成会がこの10年取り組んできた内容をまとめたものである。順次、ゆっくりと少しずつ紹介してゆく。
 まとめて勉強したい人は、ぜひ購入して熟読するなり、斜め読みするなり、あるいは仲間と輪読会をするのもいい。
 お買い得の本としてお薦めである。
 なによりもこうしたことが面倒という人は、このブログにお付き合い願いたい。きっと長丁場になるはず。一字一句おろそかにせず、紹介する。

 その第8回目。
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【第1章 成年後見への期待 1.親は何を期待したのか】

(5)身上監護(p.7)=後見人の行う事実行為とは何か?

1 成年後見人が行うのは、財産管理と身上監護と言われています。

2 財産管理と聞いてわが家には関係ないと思っている人にとっても、身上監護という言葉は魅力的です。

3 では、成年後見人が行う身上監護とは、どのようなものなのでしょうか。

4 成年後見人が行うのは法律行為であり、介護などの「事実行為」はしないとも言われています。

5 簡単にはそう言えるのですが、一方で、法律行為を行うためにはさまざまな事実行為が必要であり、実はこの区別は、さほど明らかになっていません。

6 たとえば、施設を利用するための契約をすることは法律行為です。

7 しかし、成年後見人の仕事は契約書に印を押すことだけでなく、それ以前に、本人の状況を把握して、その施設が適切であるかどうか、さまざまな情報を収集することから始める必要があります。

8 そしてそうした情報収集などは、事実行為にあたります。

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【コメント】

 成年後見人の職務として、財産管理と身上監護がある。
 その場合、身上監護とは法律行為だけでなく、事実行為も含まれる。
 しかし、その事実行為というのは、どこの範ちゅうまで含まれるのか不明確な部分がある。
 そうなると、成年後見人が恣意的に事実行為を行い、成年後見人によって事実行為が異なるといった問題を生じかねない。
 こうした事実行為の中味をどこまで保障するか、明文化することの難しさもあって、今後の課題と言える。   

 (ケー)