山形県手をつなぐ育成会 日々徒然なること

育成会の事、関係ないことも勝手につぶやきます

グループホームは必要、でも今すぐじゃない

2013年12月12日 | 研修会
 第53回手をつなぐ育成会東北ブロック大会・(併催)第55回手をつなぐ育成会秋田県大会(平成25年9月28日(土)~29日(日)・秋田市)に参加してきた。
 その報告を続けている。
 第60回目。

 9月29日(日)第2日目の大会は、分科会(秋田ビューホテル)が行われた。
 育成会大会は、第1分科会から第4分科会まで。
 本人大会は、第5分科会から第7分科会まで。

 次は、第4分科会[人権擁護の推進]についての話題提供者の報告である。
 第4分科会、1番目の話題提供者は福島県の会員による報告。
 その第8回目。

 グループホーム設置の必要性は多くの人が感じている。
 しかし、今すぐというニーズでない。
 いずれはグループホームに入ることになるにしても、今すぐ入れるとは考えてない。
 そうなると、事業所にしてみれば利用者が常時いなければ設置に踏みきる決断ができない。
 以下、そうした事情の説明である。
 
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【引用始め】

(東北ブロック大会資料p.42より)

育成会大会 第4分科会

[人権擁護の推進]

 安全・安心な暮らしを支えるための備え、どんな暮らしをつくるのか。
 成年後見と市民後見の活用を考える

◎ 話題提供者 (福島県)太田 行丸氏

 [障がい者が社会の一員として安定した生活を送るための支援のあり方](第8回目)

3.親の会活動の必要性・・・・・・福祉を前進させ、障がい者の住みやすい社会の構築

(5) 本会がグループホームを持てない要因

① アンケートの結果から設置すべきが100%だが、利用となると緊急性がない。

② 研修会を通して必要を呼び掛けるにしても利用したいという反応に欠ける

③ ケアホームとグループホームについて会員間の意見が曖昧である
    ↓
④ 無理に設置しても健全経営の見通しが立たず会員の盛り上がりを見守っている
  設置に向けた準備  ・設置資金600万円確保の見通し
            ・社福法人との連携
            ・緊急ショートステイの受け入れも可能

 ○ グループホームで生活することの効用
 障がい者は家庭外の選択肢のない生活を送って幸せなのだろうか。
 親は果たして障がい者を100%尊重した生活を送らせているだろうか。
 我慢を強いらせていないだろうか。
 本人はグループホームも楽しいと思うのではなかろうか。
   
【引用終わり】

***************************************************
  
 保護者も本人も今の生活にそんなに不満がない。それなりに満足している。
 あらためて、グループホームで生活する必要性は今じゃない。
 将来、必要になったらグループホームで生活できればいい。
 できれば、ずっと今の生活が続くことを望んでいる。人情としてわかる話だ。
 でも、いずれみんな年とる。年とって親が判断できなくなってしまう状況だって考えられる。
 そうした時、一番困るのは障がいのある本人自身。
 そうなったときは、周りに任せればいいと考えるのか。
 今の安心だけでなく、将来の安心を得る活動が必要である。
 
 (ケー)

◆焙煎工房ひまわりコーヒーギフト

2013年12月11日 | 日記
山形県手をつなぐ育成会の団体会員になっていただいている「天童ひまわり園」から
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福祉サービスを積極的に活用する

2013年12月11日 | 研修会
 第53回手をつなぐ育成会東北ブロック大会・(併催)第55回手をつなぐ育成会秋田県大会(平成25年9月28日(土)~29日(日)・秋田市)に参加してきた。
 その報告を続けている。
 第59回目。

 9月29日(日)第2日目の大会は、分科会(秋田ビューホテル)が行われた。
 育成会大会は、第1分科会から第4分科会まで。
 本人大会は、第5分科会から第7分科会まで。

 次は、第4分科会[人権擁護の推進]についての話題提供者の報告である。
 第4分科会、1番目の話題提供者は福島県の会員による報告。
 その第7回目。

 福祉サービスの普及拡大のためにも、必要に応じてサービスを使うことである。
 せっかくできた制度が活用されないようでは、もったいない。
 利用者がいてこそのサービスなのだ。
 家族でなんとかなると思っていても、突発的なことがあってショートステイを使いたいとしても、なかなか本人が納得しなかったりする。
 だから、日頃からショートステイに慣れておくことも必要となる。
 事業所サイドからみてもコンスタントに利用してもらってこそ、支援しやすいし、経営が成り立つ。
 以下、報告者が考える取り組みである。
 
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【引用始め】

(東北ブロック大会資料p.42より)

育成会大会 第4分科会

[人権擁護の推進]

 安全・安心な暮らしを支えるための備え、どんな暮らしをつくるのか。
 成年後見と市民後見の活用を考える

◎ 話題提供者 (福島県)太田 行丸氏

 [障がい者が社会の一員として安定した生活を送るための支援のあり方](第7回目)

3.親の会活動の必要性・・・・・・福祉を前進させ、障がい者の住みやすい社会の構築

(4) 障がい者の人権を擁護した生活確立の親の会活動とは何か
  下記がうまくいけば親として何の心配もない。幸せな生活が送れる。

(a) 福祉サービスの効用を知り、普及する支援活動を行う
 ※ 問題があれば先送りせず解決にあたる
 ※ 個別支援計画ではサービス内容が明らかになるので、妥協せず要望を通す
 ※ 施設の不足に伴い老人介護施設の一部供用を認めるべきである

(b) 親の支援軽減を図るためグループホームでの生活も組み合わせて生活できるよう施設づくりを進める
 ※ 初めは利用させたい保護者で進めるしかないが、親の会も一丸となって理解を示す必要がある

(c) 親亡き後の成年後見に向けて
 ※ 親が死んだ後誰が後見人となって障がい者の面倒を見るかということである。社会では勧めている割に一向に進まない。
 財産がある場合には特にそうである。
 今のうちから親が家族や知人に世話をお願いし練習しておきましょう
   
【引用終わり】

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 いろんな福祉サービスを使ってみて、使い勝手がいいか試してみる。使いにくければ、それをサービス提供者に伝える。
 そうすることで、よりよいサーヒスになるようにしていく。
 利用する側、提供する側が互いに情報交換に努め、いいサービスを創り上げる必要がある。

 (ケー)

◆アートツリーやまがた 開催間近!

2013年12月10日 | 本人活動
以前にもこのブログでご紹介しましたが、アートでつながる人と、人。
総合アート展「アートツリーやまがた」の開催日が近づいてきました。


2013.12月12日(木)~2014.1月7日(火)
10:00~19:00 12月18日と1月1日は休館です
寒河江市美術館(フローラ・SAGAE 3階)入場無料


五感を刺激する「とびっきりの世界」と出会う

表現方法を問わないフリースタイル舞台、総合アート展示の第二回目。
「アートツリーやまがた」は様々な表現という可能性と多様性、そしてその表現を作り出す
「人」にスポットをあて、「アートでつながる人と、人」を探るアクションです。
伝統や慣習、定まった常識にしばられない表現は自由の精神そのもの。
そんなぴちぴちの遊びごころ、実験的なチャレンジ精神、独創性がたっぷりつまった
アートとの出会いをお楽しみください。
にじみ出る「とびっきりの世界」がお待ちしています。


このアート展では、ただ単に作品を展示するだけではなく
作者のミニトーク 12月12日(木)14:00~

ワークショップ 木のまち、ぼくのまち 12月15日(日)14:00~

福祉施設の製作品展示販売 12月15日・16日 1月5日・6日

など、さまざまな催しも行っています。

私も昨年お邪魔させていただきましたが、作品自体のもつ暖かな雰囲気、
その作品を引き立たせてくれる展示方法など、スタッフのみなさんの
センスのよさも感じさせてくれるものでした。
今年も都合のつくときにお邪魔させていただこうと思います。(F)

この催しについてのお問い合わせは、さくらんぼ共生園内 
アートツリーやまがた実行委員会事務局 0237-86-0160
までおねがいします。

◆障害者権利条約に関する声明文(全日本育成会)

2013年12月10日 | 障害者施策
この度、国会において障害者の権利に関する条約が批准され、
わが国として正式にこれを締結することとなりました。

これに関し、全日本手をつなぐ育成会の久保厚子理事長が
声明文を発表しましたのでご報告します。

障害者の権利に関する条約の締結について(声明)クリックをしてください



ニーズに即した対応を考えて社会福祉法人を廃止してNPO法人設立

2013年12月10日 | 研修会
 第53回手をつなぐ育成会東北ブロック大会・(併催)第55回手をつなぐ育成会秋田県大会(平成25年9月28日(土)~29日(日)・秋田市)に参加してきた。
 その報告を続けている。
 第58回目。

 9月29日(日)第2日目の大会は、分科会(秋田ビューホテル)が行われた。
 育成会大会は、第1分科会から第4分科会まで。
 本人大会は、第5分科会から第7分科会まで。

 次は、第4分科会[人権擁護の推進]についての話題提供者の報告である。
 第4分科会、1番目の話題提供者は福島県の会員による報告。
 その第6回目。

 報告者は地元で社会福祉法人施設をつくったのだが、定員枠にしばられ思うような対応ができなかった。
 そのため、もっと柔軟に対応できるNPO法人を設立した。
 社会福祉法人は廃止するという思い切った対応をした。
 ニーズに即した対応のために努力する姿は、誰もがまねできない。
 以下、その詳細を引用する。 
 
***************************************************

【引用始め】

(東北ブロック大会資料p.42より)

育成会大会 第4分科会

[人権擁護の推進]

 安全・安心な暮らしを支えるための備え、どんな暮らしをつくるのか。
 成年後見と市民後見の活用を考える

◎ 話題提供者 (福島県)太田 行丸氏

 [障がい者が社会の一員として安定した生活を送るための支援のあり方](第6回目)

3.親の会活動の必要性・・・・・・福祉を前進させ、障がい者の住みやすい社会の構築

(3) 通所作業所利用を希望する者は待機することなく即叶えられるようになった

① 社福法人作業所利用を希望しても定員枠があり家庭待機せざるを得ない
 ※ 設立間もない理由で要望が聞き届けられなかった
 ※ 親の会では楽観的な回答を繰り返した

② 平成14年 親の会小規模作業所設立(関係団体の反対もあった)
 ※ 指導員を引き受ける人が確保できた。7人の利用者で開所した。

③ 平成19年3月 NPO法人設立
 ※ 遵法以外に存続の道はない

④ 平成23年3月 新施設獲得改修工事完了→法人廃止→社福法人に財産委譲
            (2,500万円)
 ※ 遵法上20人の利用者を確保するのは難しくやむを得ず廃止した
 ※ 自分で作ったものは責任上廃止することに断腸の思いだった
 ※ 他に養護学校高等部の設置についても保護者陳情で要望が実現した
   
   
【引用終わり】

***************************************************
  
 定員枠が定められていた、その定員が満たされなければ事業所運営は成り立たない。
 地域によって法に定められた定員の確保が難しい。
 そうなれば、今までどおり社会福祉法人施設の運営では、経費の確保が難しく継続できない。
 そこで、反対を押し切ってNPOに切り替えた決断は容易なことでなかったに違いない。
 地域のニーズに即して、柔軟に対応できる方が重要と判断した。
 合理的な判断だったといって良い。これがなかなかできない。せっかく苦労してつくりあげ立ち上げた社会福祉法人を廃止することになった。それこそ、この難しい決断をした。
 地域のニーズを大事にすれば、以前の経緯にこだわってもしょうがない。
 それを実行に移した報告者に拍手だ。

 (ケー)

◆クリスマス会にお邪魔しました

2013年12月09日 | 本人活動

8日(日)山形市霞城公民館で行われた知的障害者福祉協会
村山地区 スタッフ部会 のクリスマス会


施設の利用者、作業所の利用者、グループホームで生活をしている方などが
集まり、ゲームやレクリエーションなどを通して仲良くなるための会です。


クリスマスツリーもありましたよ。


まずは、知る見るプログラムです。
実行委員の3人(ファシリテーター養成講座の受講者さんです)が
みんなで守るルールを読み上げています。


真剣に聞いています






これはなかなか意見が分かれていました。
支援者からも意見を聞いてみたかった気もします(私ってイジワル?


実行委員のみなさんが質問を考えてくれました。
どうです?なかなか良い質問ばかりですよね!


○か×を出して、自分の考えを発表します


こちらはサイコロトーク


サイコロをころがして、出たワードのカードから一枚を引いて
その質問に答えます。なかなか面白かったです。




さて次は、荷物をだして・・・


サンドウィッチを作るグループ


ケーキを作るグループに分かれて調理します






包丁さばきがほんとうに上手でした




出来てきましたよ




出来ました~~


適当に分かれて、みんなで作ったサンドウィッチとケーキ、
オードブルを食べながら”ビンゴゲーム”で盛り上がりました。


ほとんど食べるものが無くなってきたところで
今日参加した感想を発表してもらっています


私はこれまでは地元の育成会でおこなうクリスマス会にしか参加した事がなかったのですが
今回、福祉協会さんから「知る見るもやるので見てみませんか?」
と声を掛けていただきましたので見学させていただきました。

知る見るプログラムの○×クイズでは、みなさん活発に自分の意見が言えていましたし、
なるほどな、という意見もありみんなスゴイな~と思って聞いていました。

それに、なかには初めて会った方々もいたようなのですが和気あいあいと参加していて
サンドウィッチ作りもケーキ作りも協力し合って作っていたのが印象的でした。
ヘルパーさんと一緒に参加していた方もいて、「なるほど、お休みの日はこんな風に利用するのか!」と
私も勉強させていただきました。

最後に「来年、実行委員をやってみたいという人はいますか?」との問いかけに
「ハイッ」と手をあげてくれた方もいて、
とっても素晴らしいな~と思いました。

それにしても驚いたことがありました。私は(たぶん)初めて会った本人さんから色々と
質問攻めにあっていたのですが、「子どもの名前はなんていうんですか?」と
聞かれたので、「○○ですっ」と答えたら、その方が
『古澤○○くん、新庄養護学校、小学部です!』といきなり言ったのでビックリ
「◇◇さんも新庄養護学校だったの?」と聞き返したのには答えてくれませんでしたが
きっとそうなのでしょうね。
「もう卒業しちゃったよ」と言っても「新庄養護学校です!」と何度も言ってました
本当に記憶力がハンパない
福祉協会の八柳さんも「昭和○○年生まれ」と、いつ教えたのかさえも定かでないことを
言い当てられ、「なんで、なんで知ってるの?」と焦っていました

とっても楽しい時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました。
そして、ごちそうさまでしたとても美味しかったです(F)

育成会の仲間と共通の目標をもって活動することの意義

2013年12月09日 | 研修会
 第53回手をつなぐ育成会東北ブロック大会・(併催)第55回手をつなぐ育成会秋田県大会(平成25年9月28日(土)~29日(日)・秋田市)に参加してきた。
 その報告を続けている。
 第57回目。

 9月29日(日)第2日目の大会は、分科会(秋田ビューホテル)が行われた。
 育成会大会は、第1分科会から第4分科会まで。
 本人大会は、第5分科会から第7分科会まで。

 次は、第4分科会[人権擁護の推進]についての話題提供者の報告である。
 第4分科会、1番目の話題提供者は福島県の会員による報告。
 その第5回目。

 親の会の活動が停滞している。必要がないからだろうか。必要があっても、何をしていいかわからないからだろうか。
 ずっと昔からあった組織だから、自分たちの代で解散したなんて言われたくないので、以前からやっていた活動を漫然と続けている。
 できれば、他の人にゆずりたいがやってくれそうな人がいない。
 以前は、特別支援学校の高等部が必要だからとみんなで力合わせて、署名活動なんかした。高等部卒業後の受け皿がなかったので、地元に作業所をつくろうと行政にも足繁くみんなで通った。
 今は、特別がんばらなくてもなんとかなりそうだ。
 会員も年とってあんまり頑張りもきかなくなった。今、そんなに困ったこともないし、なんとかなるだろう。

 育成会はどこもこんな状況のところが多い。

 しかし、以下では本当にそんなでいいかと問題提起している。
 
***************************************************

【引用始め】

(東北ブロック大会資料p.42より)

育成会大会 第4分科会

[人権擁護の推進]

 安全・安心な暮らしを支えるための備え、どんな暮らしをつくるのか。
 成年後見と市民後見の活用を考える

◎ 話題提供者 (福島県)太田 行丸氏

 [障がい者が社会の一員として安定した生活を送るための支援のあり方](第5回目)

3.親の会活動の必要性・・・・・・福祉を前進させ、障がい者の住みやすい社会の構築

(1) 親亡き後の心配は今の福祉に満足しないのに何も対策をしないから起こるものである。

(2) 身近に困っているものをどうしたらよいか話し合ってみよう。
 ※ みんなで本気で取り組めば道がひらける。助けてくれる人がいる。
 ※ 静観して手を下さなかったら道はない。
   親の会が活動すべきことを他に転嫁すべきでない。
   
   
【引用終わり】

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 他人がやってくれるからいいという思い込みがないか。
 自分たちの思いを他人がやってくれるわけがない。自分たちの切実な思いを関係者にぶつけなければなんともならない。
 協力者だって現れない。
 また、不平・不満を言うだけでなんの行動もしなければ誰も賛同しない。
 親亡き後の切実さをみんなで共有する必要がある。
 まだ、若いからというが、いずれは必要になる。
 早くから準備しなければ、いざという時、間に合わずあわてるしかなくなる。
 そんなとき本当に協力してくれる人がいるのだろうか。
 もちろん、1人でじたばたしてもなんともならない。だからこそ、育成会という仲間が必要になる。ある程度共通意識をもつ仲間と今からとことん話し合い何をすべきか目標を決めて動くことだ。
 ばらばらではなんの力にもならない。

 (ケー)

望みどおりの福祉サービスがかなわないのはなぜ?

2013年12月08日 | 研修会
 第53回手をつなぐ育成会東北ブロック大会・(併催)第55回手をつなぐ育成会秋田県大会(平成25年9月28日(土)~29日(日)・秋田市)に参加してきた。
 その報告を続けている。
 第56回目。

 9月29日(日)第2日目の大会は、分科会(秋田ビューホテル)が行われた。
 育成会大会は、第1分科会から第4分科会まで。
 本人大会は、第5分科会から第7分科会まで。

 次は、第4分科会[人権擁護の推進]についての話題提供者の報告である。
 第4分科会、1番目の話題提供者は福島県の会員による報告。
 その第4回目。

 困った時に利用することができるのが福祉サービスでなければならない。
 それが思うように利用できない。
 事業者側の都合で利用者を選んでいる。
 当然、事業所としても受け入れる限りは責任がともなう。
 何もかも受け入れられないことはわかる。
 支援者の数が足りない。利用者の定員がいっぱいだ。送迎も遠すぎて無理だ。
 突発的に必要となるサービスがある。
 そうしたことも予想した対応ができるような体制というものはとれないのだろうか。
 以下の事例に対して、なぜ柔軟な対策が取れなかったものか。
 
***************************************************

【引用始め】

(東北ブロック大会資料p.41~p.42より)

育成会大会 第4分科会

[人権擁護の推進]

 安全・安心な暮らしを支えるための備え、どんな暮らしをつくるのか。
 成年後見と市民後見の活用を考える

◎ 話題提供者 (福島県)太田 行丸氏

 [障がい者が社会の一員として安定した生活を送るための支援のあり方](第4回目)

2.障がい者支援への危惧すべき現実

 (3) 家族の葬式で障がい者のショートスティを求めたが叶わなかった

 家族構成・・・・・祖母、父母、兄(重度障がいで施設入所中)、本人(自閉症)

 祖母の葬式を行うのに本人の戸惑いを避けるためショートスティを社会福祉法人や市福祉課に求めたがどうにもならなかった。
 通常、家族は精一杯本人を支え続けて頑張っているのに困った時ぐらい社会のお世話になるのは当然のことである。

 (4) 手のかかる重度心身障がい者家族の重荷

 家族構成・・・・・現在父母と本人の3人暮らし、生活はすべて介助の必要があり

 特に拒食抵抗が強いため食事介助には苦労を要する。(家庭では健康食品を併用して育ててきた。)
 動きは緩慢であるがじっとしていない。
 従って、常に見守りによる介助が欠かせない。
 そこで、福祉サービスを要望してもショートスティの受け手がなく、ディーサービスも複数利用することでつないでいる。
 家族の苦労限度を超えた話を聞くことは辛い。
 何とか週1~2日間でも家族の苦労を解放してあげたいものである。   
   
【引用終わり】

***************************************************
  
 以上のように、家族だけで障がいのある子を支えてきて、支えきれなくなっている現実がある。
 一時的にお願いすればいい場合もあるし、常時お願いしたい場合だってある。
 多様なニーズに柔軟に対応できる仕組みを創り上げようというのが、障害者自立支援法であり、総合支援法の趣旨である。
 ただ、日本全国一律にはいかない。地域資源に格差がある。財政事情も異なり、理想どおりにはならない。
 今さらサービスが整備されている地域に引っ越すわけにもいかない。
 でも、これからは住民意識も変わり、サービスの良い地域に引っ越ししても良いと考える家族も出てくる。
 サービスが不十分な地域は危機意識をもつ必要がある。
 今でさえ人口が自然に減少しているにもかかわらず、福祉サービス提供が不十分だとなれば、障がいのある子をもつ家族はどうするだろうか。
 自治体も自治体独自の福祉サービス提供に努力していかなければ、住民からそっぽ向かれる。財政的に無理なら、何らかの知恵と工夫があって良いはずだ。
 法律でこうなっているから、こう決まっているからと異口同音の答えには辟易している家族がいることを認識する必要がある。
 困った時に、適時に適切に対応してくれることがあれば、家族はそのことに対して心から感謝するのだから。
 ただ、家族もサービス提供は当たり前と思ってしまうことにも問題があることは確かだが。
 自助、共助、公助のバランスがうまくとれている地域に住みたいものだ。

 (ケー)

家族に恵まれない青年障がい者の死

2013年12月07日 | 研修会
 第53回手をつなぐ育成会東北ブロック大会・(併催)第55回手をつなぐ育成会秋田県大会(平成25年9月28日(土)~29日(日)・秋田市)に参加してきた。
 その報告を続けている。
 第55回目。

 9月29日(日)第2日目の大会は、分科会(秋田ビューホテル)が行われた。
 育成会大会は、第1分科会から第4分科会まで。
 本人大会は、第5分科会から第7分科会まで。

 次は、第4分科会[人権擁護の推進]についての話題提供者の報告である。
 第4分科会、1番目の話題提供者は福島県の会員による報告。
 その第3回目。

 家族に恵まれない障がい者が、不幸な人生をたどり30前半で亡くなった。
 以下の事例は、なんともやりきれない。
 なぜ、あまりにも早い死を向かえることになったのか。
 そのあたりの事情は以下の記述だけではわかりにくい。
 十分な食事ができなかったのだろうか。
 グループホームで生活していたとすれば、食事はできていたのでないかと思うのだが。
 詳細は定かでない。
 しかし、いろんな意味で疎外されていたに違いない。
 
***************************************************

【引用始め】

(東北ブロック大会資料p.41より)

育成会大会 第4分科会

[人権擁護の推進]

 安全・安心な暮らしを支えるための備え、どんな暮らしをつくるのか。
 成年後見と市民後見の活用を考える

◎ 話題提供者 (福島県)太田 行丸氏

 [障がい者が社会の一員として安定した生活を送るための支援のあり方](第3回目)

2.障がい者支援への危惧すべき現実

 (2) 32才青年障がい者の死と弔い

 家族構成・・・・・母重度障がい者、兄生活能力微弱、本人祖父母の養育で生育、数年前に祖父母は他界した。
 その後、兄弟で祖父母の残した自宅で生活するも兄の虐待により行政の指導で本人は離れで自立の生活をすることにした。
 以前は通所作業所に在籍し企業で真面目に働いていたができなくなった。
 私は理事長であった社会福祉法人作業所に誘い2か月間食事を用意し車で送り続けた。
 その後これも続けられなくなり、健康を心配した行政指導でNPO法人の運営するグループホームの生活を始めた。
 この約1年後反応がなく蝋人形のような彼に再会した。
 問題は誰も寄り添った支援をしようとするものがなく宗教団体の手助けでやっとの思いで納骨を済ました。
   
   
【引用終わり】

***************************************************
 
 祖父母の養育によって、なんとか生活が成立していた。祖父母が亡くなった後は、本人の生活を支えるものがない。
 母も、兄も支えることができない。
 本人は引きこもり、食事も満足に食べることができない状況に陥る。
 32才の若さで亡くなり、葬儀をやってくれたのは宗教団体の人たちだった。最後は宗教団体の人たちが助けてくれた。
 日常的な生活の不安定さが本人には重圧だったのだろう。
 本人が安心して生活できる場を提供できる地域福祉を構築していく必要がある。

 (ケー)

◆グループホーム・ケアホーム研修会【追記】今日もひっぱりま~す!

2013年12月06日 | 研修会
昨日投稿した「グループホーム・ケアホーム」の事で
今日も引っ張らせていただきます

まず、当日の研修会の資料をご覧になりたい方は、
山形県手をつなぐ育成会のホームページからご覧いただけます。
このブログのサイドバーの『ブックマーク』から入っていただけますので
どうぞご覧になってみてください。
手をつなぐ育成会ができた経緯や、これまで育成会が関わって運動して
できた制度なども書かれてあります。
(解像度の制限があり、見にくいかもしれませんがご勘弁を

なぜ今日まで引っ張っているのかというと、
私の個人的なメールにもコメントを寄せてくれた方がおりまして、
そちらをちょっとご紹介したいと思ったのでした。

要約してご紹介させていただきますが、
この方も研修会そのものには大変満足してくださっていました。

研修会はとても良かったです。
テキストは、そうそうこういうことが知りたかった、と
逆に気づかされる内容で満足できました。
「入居する方々の声」や「高齢の方々への支援」
ホームの中で最期を看取る、ターミナルケアまで思いを馳せている
愛泉会さんの姿勢に感銘しました。
※この部分はアンケートでも同じような事を書いてくださったかたが複数いました

ただ、わが子の入居を考えた場合、道のりが遠い。
この感じる距離感はなんだろう。
身近な問題なのに感じる距離感。
施設の少なさと費用の問題かな・・・

親たちが建物を借りて運営は愛泉会が・・という質問が出たとき、
気持ちが痛いほど伝わってきました。

年金2級の障がい者も持ち出しなしで生活できるようになってもらわなければ
入居は無理。そんなことも頭をかすめていく。

私はどうしたらわが子が費用の面でも建物の面でも
入居できるようになるのだろう?という事までに
気持ちが行ってしまっていた。


先日の研修会に参加して下さった学齢期保護者以外の参加者さんは
おそらく愛泉会以外の法人を利用している方がほとんどだと思いますので、
少なからずこのメールを私にくれた友人と同じような感覚を
持ったのではないかと想像できます。
アンケートにも「寒河江や天童にも愛泉会さんでホームを作ってください」
と書いてくださった方もいらっしゃいました。

今の私は、子どもが幸いにも愛泉会さんにお世話になっている事と
この研修会の主催者側だということで、
友人が感じたような気持ちにはならずにいますが、
以前、県外で素晴らしい取り組みをし、素晴らしい成果を上げた方を講師に招いた
講演会に参加して、そのお話を聞いた時に自分が感じた感覚と
きっと同じなのだろうと思いました。

すごい!素晴らしい!こんな所に子どもがお世話になれるのなら!!
でも、現実を見ると・・・無理
こんな行動力があるスーパーマンのような人が出てきて、
こんな素晴らしい事業所が出来るのはいつの事なのだろう、
山形のような田舎では無理なのかも・・・
というように遠くの県外ではすごい事ができているのに
自分の周りではそんな話はまったくでていないということで
とても遠い距離感を感じたことがありますので、それと同じなのだと思います。

グループホーム・ケアホームはこれからどんどん必要になってきます。
報酬体系の問題はありますが(ここは利用者側にとっては興味薄いです
事業所さんにはホームの運営に乗り出していただきたいと思います。

そして、ホームができたら「ウチはまだ私が面倒みれるからそのうちに・・・」と
入居を尻込みする親御さんが少なくなるような研修を育成会がしていく必要があると思います。
(実際にホームを作ったが、あれだけ作れ!作れ!と言っていた保護者が
子どもを入居させないという事が本当に多いと聞いています)

なんかまとまらなくなってきたぞ
とにかく、今回の研修会が好評だったことと
さまざまな問題がまだまだある事が浮き彫りにされてきたような気がします。

これから、グループホーム(来年度からはグループホームと呼び名が統一されるそうです)の
研修会は続けていきたいと思います。これからは実際に利用者と関わっている
生活支援員さんや世話人さんの生の声もお聞きできるような研修会を考えています(F)



超肥満な青年の死

2013年12月06日 | 研修会
 第53回手をつなぐ育成会東北ブロック大会・(併催)第55回手をつなぐ育成会秋田県大会(平成25年9月28日(土)~29日(日)・秋田市)に参加してきた。
 その報告を続けている。
 第54回目。

 9月29日(日)第2日目の大会は、分科会(秋田ビューホテル)が行われた。
 育成会大会は、第1分科会から第4分科会まで。
 本人大会は、第5分科会から第7分科会まで。

 次は、第4分科会[人権擁護の推進]についての話題提供者の報告である。
 第4分科会、1番目の話題提供者は福島県の会員による報告。
 その第2回目。

 以下は、食っても食っても食べ続けて、最後には食物を喉につまらせて窒息死した青年の事例。
 なぜもっと早く適切な処遇ができなかったものか。
 家族だけではなんともできないことがわかっていたはずだ。
 なぜ、それを関係者がもっと真剣に取り上げようとしなかったのだろう。
 こんな難しい事例をなぜ放置していたのか。そんなふうにしか思えない。
 家族はほとほと困っていても、周囲に対してあまり訴えなかったのか。
 
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【引用始め】

(東北ブロック大会資料p.41より)

育成会大会 第4分科会

[人権擁護の推進]

 安全・安心な暮らしを支えるための備え、どんな暮らしをつくるのか。
 成年後見と市民後見の活用を考える

◎ 話題提供者 (福島県)太田 行丸氏

 [障がい者が社会の一員として安定した生活を送るための支援のあり方](第2回目)

2.障がい者支援への危惧すべき現実

 (1) 食事量抑制困難な青年は23才にして天国に旅たった

   身長150㎝、体重130㎏の彼は満腹を抑制できず、いくらでも要求を繰り返す。
   母の食べているものを口の中から奪い取って食べる。
   食べるためには万引きはおろか破壊、家族への暴力、嫌がらせをする、食べたら苦  しいので仰向けに横たわる。
   この彼を毎日のように迎えに行っては作業所から連れてくる。
   もはや家族の看護能力は0に等しい。
   私は手元に付き添いながら何としても改善を図らせたい思いで2年間を過ごさせ、  社会福祉法人に引き継ぎ退職をした。
   その後彼は作業所をやめ、家庭に引きこもる身となった。
   この間、この死を予測できただけに福祉課に入院保護や施設入所を訴え続けたのに
  実現は叶わなかった。
   昨年3月彼は食事を喉につめてこの世を去った。
   精一杯生きたことへの別れのことばを送り、福祉課に直行し再発防止の検証を強く  要望した。

【引用終わり】

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 これだけの問題を抱えた障がい者を家庭で養育しようというのは、そもそも間違っているとしか思えない。
 本人が施設入所を拒絶した可能性もある。
 また、家族が思いきってよそに預けることに対する罪悪感があったかもしれない。
 でも、なんとしてでも相談を受けていた人たちが、説得しこの状況を変えるべきだった。
 受け入れ先が見つからなかったという問題もあったかもしれない。
 問題行動の著しい人に対する処遇が不十分なことは確かだ。
 打つ手がないまま家庭の養育に任せていたことが、問題をますます大きくしてしまった。
 本当に引き受けてくれる施設がなかったものか。
 地域にこのような強度行動障がいのある人に対する資源が見つからなかった。
 そして、ネットワークがなかった。
 そうは言っても、そうした資源やネットワークがないところの方が多いんじゃないかと危惧する。
 上記の問題が生じた行政機関では、その対策に直ちに乗り出してもらいたい。
 これがレアケースだと楽観的に捉えないことだ。
 そこまで深刻でなくても、家庭内で障がい者をかかえて疲労困憊している家族は少なくないからだ。 

 (ケー)

◆グループホーム・ケアホーム研修会 終了しました!

2013年12月05日 | 研修会
12月4日(水)山形市総合福祉センター3F 第1研修室において
地域活性化事業の最後の研修会「グループホーム・ケアホームの研修会」を開きました。
講師には愛泉会 向陽園の庄司康夫園長においでいただきました。
参加者は約40名で、庄内地区や置賜地区、最上地区からの参加者さんもいらっしゃいました。




暗くてすみません
カメラのフラッシュが届きませんでした。
(あくまでカメラのせいにしようとしています
庄司園長は、事業所(経営者側)への研修はしているそうですが
利用者側への講演は今回が初めてだというお話しでした。




今回の参加者さんには地元の村山特別支援学校の保護者さんの他
米沢養護学校、酒田特別支援学校の保護者さんもいらっしゃいました。
もちろん、育成会の非会員さんも参加して下さっておりました。


庄司園長には、学齢期の保護者さんから卒業して間もないお子さんの保護者さんも
いらっしゃるので、初歩的な事から説明して下さるようにお願いしておりました。
それから、福祉サービスの利用をしてまだ間もない人もいらっしゃいますので
略語(例:サービス管理責任者⇒サビ管)は使わないで下さいとお願い致しました。
ベテランの育成会の会員さんも勿論いらっしゃいましたので、
「そこから説明するのか?」と思った方もいらっしゃったかもしれませんが
アンケートには苦情はまったくありませんでした。

本当に初歩的な事から今後の課題までを丁寧に説明していただきましたし、
後半の質疑応答も丁寧にお答えいただき、みなさん納得していただいたようでした。

アンケートの回収率もとても良く、皆さんから好評をいただきました。
・講師の庄司さんの説明がとても丁寧で解りやすく良かった。聞いててあきなかった。
・資料も字が大きく分かりやすかった。
・一元化について聞きたいと思って来たのだが、それ以外の事も知ることができて良かった。
・質問の時間もたくさんあって良かった。
・ホームの数が山形県はワースト1、2だと知って驚いた。
(沖縄県とビリ争いをしているそうです
・『ターミナルケア』『看取り』という言葉にハッとした。
・入居したからといって死ぬまでの安心を得たという事にはならないのだということに今さらながら気が付いた。
その他にもたくさんの回答をいただきました。ありがとうございました。
みなさん、今回の研修会に参加して大変良かったというところに○を付けてくださっていましたので
こちらもとてもありがたかったです。

今後も色々な研修会をしてほしいという要望も出ておりました。
こちらの方も今後続けていけるように、そして要望によっては県育成会ではなく
県内ブロック単位や、支部ごとに研修会を開いた方が良いようなものもあるようでしたので
今後検討していく必要があるような気がしました。

これで赤い羽根共同募金会の分配事業、地域活性化事業の6回の研修会は
すべて終了しました。講師を引き受けていただいた皆さんには感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
今後ともどうよろしくお願いいたします(F)

【追記】
昨日参加していただいた方には、『山形県福祉サービス運営適正化委員会(運適)』の
パンフレットと、被後見人になった人の選挙権が回復したことにより、新しく作られた
『成年後見制度 成年後見登記』のパンフレットをお渡ししました。
それから、先日ブログでもご紹介しておりましたが『全国きょうだいの会』のパンフレットが
欲しいという連絡をしてくれた方がおりましたので、1部ですがお渡しいたしました。
どうぞご活用いただければと思います。

東日本大震災から1001日目→障がい者の15%が犠牲になった自治体あり

2013年12月05日 | 災害
 東日本大震災、昨日(平成25年(2013年)12月4日(水))で、1000日目。
 各地でそれを追悼する行事が行われた。また、新聞も特集を組んで東日本大震災を振り返っている。
 この大震災は、障がい者をはじめとする弱者に対して、大きな被害もたらしたことが明らかになっている。
 大震災による障がい者の死亡率は、2倍から2.5倍だったというのが定説になっている。

 以下の日本経済新聞の記事は、衝撃的だ。障がい者の15%以上の犠牲者が出た自治体(宮城県女川町)もあった。

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【引用始め】

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG30005_Q2A730C1CR0000/
日本経済新聞 2012/7/30 10:54
 
東日本大震災の障害者死亡率、全体の2.5倍 逃げ遅れた可能性

 宮城県の沿岸13自治体で障害者手帳所持者の3.5%にあたる1027人が東日本大震災で亡くなり、死亡率が住民全体の2.5倍に上ったことが30日、分かった。障害者支援団体「日本障害フォーラム宮城」の資料から共同通信が集計した。大半が津波による溺死とみられる。死亡率が15%以上の自治体もあり、沿岸部に住む多くの障害者が津波から逃げ遅れた可能性がある。

 福島県でも沿岸10自治体で100人を超す障害者が死亡。フォーラム宮城は「震災被害を検証し、障害者ら要援護者の避難態勢を見直す必要がある」としている。

 同様に津波被害を受けた岩手県沿岸部については、県が犠牲者数をまとめておらず、数字を把握できていない。

 フォーラム宮城は宮城県のデータを基に、障害者の犠牲者数を調査していない仙台市と亘理町を除く13自治体の数値をまとめた。

 それによると、今年3月時点で13自治体の住民62万6926人のうち震災犠牲者数は8499人で、死亡率は1.4%。一方、震災前の障害者手帳所持者は計2万9185人(複数の手帳を持つ重複所有者含む)で、1035人の死亡が届けられたが、重複を除く実数は1027人。

 障害者全体の死亡率は3.5%で、手帳の種類別では、身体障害者が3.9%と、精神障害者の3.1%、知的障害者の1.5%より高かった。

 最も死亡率が高かった自治体は女川町で手帳所持者520人のうち81人が死亡し15.6%。南三陸町は13.3%だった。

 福島県沿岸10自治体では、津波をかぶった住宅密集地が少なかったこともあり、障害者手帳所持者の死亡は119人、死亡率は0.46%。

 フォーラム宮城の株木孝尚事務局長は「自然災害はみなに平等に訪れるが、人的被害の結果は平等ではなかった」と話している。

【引用終わり】

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 以下は、河北新報の記事。逃げ遅れた多くの障がい者が犠牲になっている。
 障がい者別では、肢体不自由が圧倒的に多い。いざとなったら肢体不自由のある人をいかに避難させるか、対策がなされているのだろうか。

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【引用始め】

http://www.kahoku.co.jp/spe/spe_sys1071/20120924_01.htm
河北新報 2012年09月24日月曜日

焦点/岩手、宮城、福島3県 障害者1655人犠牲

障害者手帳所持者の死者数と死亡率


 岩手、宮城、福島3県で障害者手帳所持者1655人が東日本大震災の犠牲となったことが、各県の調査などで分かった。障害者手帳の所持者全体に占める死亡率は1.5%で、全住民の死亡率(0.8%)の2倍近くに及んだ。災害時に障害者を社会でどう支えるのか、重い課題が浮き彫りになった。(門田一徳、西村悠里)

◎手帳所持者死亡率1.5%、全住民の2倍

<宮城最多1103人>
 3県の7日までの調査を基に集計した。障害者手帳所持者が犠牲になったのは沿岸37市町村のうち31市町村=表(略)=。死亡率は家屋倒壊や津波など震災が直接要因となった人数から算出。福島県の全住民の死亡率は、直接死と震災関連死を合わせた人数を基にした。
 県別の手帳所持者の犠牲者数は、宮城が1103人と突出し、岩手は436人、福島は116人。死亡率は岩手が3.3%(全住民死亡率2.2%)で、宮城1.6%(同0.6%)、福島0.4%(同0.5%)だった。
 被害の大きかった宮城を障害別にみると、肢体不自由519人、聴覚障害75人、視覚障害69人など身体障害が県全体の約9割を占めた。知的障害は62人、精神障害は65人だった。
 市町村別で、犠牲者が最も多かったのは石巻市の397人。次いで気仙沼市の137人、宮城県南三陸町125人、陸前高田市123人の順だった。
 死亡率が10%を超えたのは15.6%の宮城県女川町と12.6%の南三陸町の2町。全住民の死亡率と比較すると女川町(5.7%)は2.7倍、南三陸町(3.4%)は3.7倍に達した。
 女川町は「犠牲者の多くは在宅の障害者」と推測する。南三陸町は「津波被害に遭った特別養護老人ホームで多くの高齢者が亡くなり、障害者の死亡率を押し上げた」と説明する。
 被災自治体では、集団移転などによる新たな居住地が見通せず、「避難対策を具体的に検討できる段階でない」(南三陸町)という。

<自主的に対策>
 重度の障害者を在宅介護する家族や医師の中には、自主的に防災対策を検討する動きも出ている。仙台市泉区で7日にあった「障がいのある子どもたちの防災勉強会」には、在宅介護する家族や医療、福祉関係者ら約60人が参加した。
 勉強会を呼び掛けた宮城県拓桃医療療育センター(仙台市太白区)の田中総一郎医師は、地域の避難訓練を障害者や高齢者を交え日常的に実施していた石巻市牡鹿地区で、要援護者の犠牲が少なかったことを報告した。
 その上で「地域の避難訓練に加わることで、どこにどのような障害のある人がいるのか地域に認知される。勇気が要ることかもしれないが、ぜひ参加してほしい」と呼び掛けた。


2012年09月24日月曜日

【引用終わり】

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 東日本大震災から1001日目。新しい朝を迎え、それぞれの生活が始まる。みんな今ある課題に向けた取り組みを黙々行う。それが精一杯の現実がある。
 それぞれが今やるべきこと、やらなければならないことを誠実に行う。
 それが、大震災で犠牲になった人たちに報いることになる。
 今から、障がい者が大震災に遭遇しても犠牲にならないための方策とはどんなことか。その備えをする。そうすれば、多くの人たちにとっても役立つ方策になるはずだ。

107歳で大往生、障害児教育学者の昇地三郎氏

2013年12月04日 | リーダーシップ
 107歳という長寿を生きぬいた教育学者がいた。障害児教育に一生を捧げた福岡教育大学名誉教授だった人である。
 養護学校のさきがけと言える「しいのみ学園」(福岡市)の創立者である。
 昇地三郎氏をご存じだろうか。昇地氏には脳性マヒの子息が二人いた。

 以下、コラム【産経抄】より引用する。

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【引用始め】

【産経抄】なすべきことはすべてした 12月2日(2013.12.2 03:43)

 兄弟は毎朝、障子の穴から通学する子供たちをうらやましそうに眺めていた。
 2人はともに、脳性小児まひだった。兄の有道さんは、学校でひどいいじめに遭い、中学2年で退学を余儀なくされる。
 弟の照彦さんは、小学校に入学すらできなかった。

 ▼当時、福岡学芸大学(現・福岡教育大)で心理学を教えていた父親の昇地(しょうち)三郎さんは、2人の姿を見ていて決意する。
 「自分で学校を作るしかない」。昭和29年、私財を投じて福岡市内に設立したのが、福祉施設「しいのみ学園」だ。

 ▼照彦さんを含めた12人が、最初の入園者となった。有道さんは、職員を志願する。小学校に通っていたとき、有道さんを抱いて鐘をたたかせてくれた、「小使さん」が念頭にあった。開園式で有道さんは、「小使」の肩書の入った名刺を、来賓の県知事らに堂々と差し出していた。
 妻の露子さんは、わが子の成長ぶりを涙を拭きながら見守っていたという。

 ▼「父ちゃんありがとう」という言葉を残して、有道さんは39歳で亡くなった。
 平成9年には露子さん、14年には照彦さん、翌年には兄や弟の面倒を見てくれ、いずれ園長を任せるつもりだった長女の邦子さんにも先立たれる。
 昇地さんは、96歳で家族のすべてを失った。

 ▼「『なすべきことはすべてした』という気持ちで、彼ら、彼女らを見送ってきた」と著書に書いている。
 昇地さんは悲しみに浸る間もなく、障害児教育について、講演に力を注ぎ、世界中を飛び回った。

 ▼100歳を超えてからは、長寿がテーマになることも多くなった。
 昇地さんの訃報が先週届いた。107歳の大往生である。
 3年後に横浜で開かれる「国際心理学会」で、「黒田節」を披露するのを楽しみにしていたそうだ。

【引用終わり】

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 100歳超えてから世界一周の講演して歩く学者として、ギネスにまで登録されているのだという。
 最後まで情熱が衰えず、教材教具を5000種も作成してきたというから感服するばかりだ。
 そして、昇地氏はいくつもの名言を残している。体験から出た言葉である。以下、引用する。

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【引用始め】

” 昇地三郎 ” の名言一覧(5件)

○ つらい出来事を通してしか知り得ないこと、感じ得ない幸福が必ずあります。

○ 暗闇の中でそっと輝く、その「小さな光」に目を向けられる、心の強さをぜひとも持ってほしい。

○ 科学に限界はあるが、愛情には限界はない。

○ オシャレをしなくなった日から老いが始まる。

○ 降りかかってきた禍を『困った、困った』と逃げ回っていると、どこまでも追い掛けてくる。それを、試練と捉えて「来るなら来い」と立ち向かっていけば、禍が逆に幸福の種になるのです。

http://kotovasky.com/maxim-tag/%E6%98%87%E5%9C%B0%E4%B8%89”

コトバダイスキKOTOVASKYコトバスキー

【引用終わり】

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 障害児教育のパイオニアとして、幾多の困難をくぐり抜けたからこそ発する言葉である。