阪口直人の「心にかける橋」

衆議院議員としての政治活動や、専門分野の平和構築活動、また、趣味や日常生活についてもメッセージを発信します。

特定秘密保護法案についての私の考え

2013年11月23日 02時42分00秒 | 政治

 「特定秘密保護法案」について、今朝、「国家政策部会」を実施。採決を行いました。部会長の私は中立な進行役である必要があり、これまでは賛否の表明は控えていましたが、反対票を投じました。私はインテリジェンス機能の強化については国会で繰り返し主張してきましたが、国民の権利よりも国家の権力を重視するこの法案の性質、そして成立に向けた審議の進め方に仕方に大きな危険性を感じるからです。

 私のもとには「是非、廃案にしてください」との声も多く届きました。しかし、衆参で与党が過半数を取っている以上、それは不可能です。従って、現実的な打開策として、野党としてやれることは何か議論を続け、国民の懸念をできる限り解決するために5項目の修正事項を提示し、法案の修正を持ちかけました。私自身は、特に秘密の指定の在り方において第三者機関の設置と市民によるチェック機能を何とか機能させたいと党内で問題提起を続けました。

 一昨日に維新の交渉担当者が与党との間で修正案をまとめ、「維新は妥協」と大きく報道されました。しかし、交渉担当者は、それはあくまで現場の合意であり、党内の意見集約はこれからとの説明でした。それまで5回実施した部会では反対論が大勢を占めていたこともあり、私は昨朝の政調役員会では、最終の案をもとに部会で採決を行うことを主張。認めて頂いたので、今朝、8時から国家政策部会を実施しました。これまでになく多くの議員が参加し、激しい議論を交わしました。マスコミ取材も殺到。私がマイクを持った姿が多くのニュースで映っていたようですが、部会長として進行役を務めている様子だと思います。


今朝の国家政策部会の様子(河野正美衆議院議員のfacebookより)

 わが党の交渉担当者は、「5項目を丸呑みしなければ、いつでも席を立つべき」という強い姿勢と、一方で、交渉ですから少しでも多くの譲歩を迫るべく、粘り強く交渉をしたと思います。そして、実際に5項目について相当の譲歩を引き出しました。これはマスコミ報道よりもはるかに大きな成果だと思います。もっとも、修正案の内容は「政令」に委任されている部分が多く、少なくとも首相答弁でしっかり言質を取らないとうやむやにされる可能性があること、そもそも国民には未だ十分に内容が伝わっておらず、もっと丁寧に説明を求めるべきとして継続審議の必要性を感じました。それが最終的に反対票を投じた理由です。結果は賛成27で反対は23。反対多数であれば、両院議員総会などで全員参加の採決を改めて行う可能性もありましたが、この後の総務会では党としては「賛成」の方向が決まりました。党内民主主義を守る立場から、この決定には従います。

https://j-ishin.jp/legislator/news/2013/1122/1014.html(特定秘密保護法案 修正案対照表)

 私自身、与党議員の経験がありますが、与党議員は自分たちの代表が首相を務める政府に批判的な立場を取ることは極めて難しいのです。私たちは野党だからこそ、理想を高く掲げ、国民の立場からより厳しい立場で法案へのチェック機能を果たさなくてはなりません。一方で、ここで党として昨日の「合意」をひっくり返せば、与党から引き出した譲歩もすべて白紙に戻され、もともとの酷い法案に戻ってしまう可能性が極めて高かったと思われます。与党が圧倒的多数を支配している国会において、野党としてやれる最大限の努力は、修正協議において自分たちの意見を反映させること。決して100点満点の修正などではありませんが、ここに巨大与党と対峙する厳しさとジレンマを感じました。

 私たちは、あまりにも拙速な来週の衆議院採決には反対し、地方公聴会などで国民への説明を求めるとともに、未だ不透明な点についての修正を今後も要求していきます。それが実現しない場合は採決での反対もあり得ます。

 今回の特定秘密保全法の進め方については、安倍政権に圧倒的な議席を与えたことの恐ろしさを痛感している国民も多いのではないでしょうか?一方で、その結果は、われわれ野党の未成熟さ、総選挙の結果を受けた参議院選挙においても、結束して巨大与党に対峙できなかった戦略のなさが招いたものでもあります。この過ちは二度と繰り返してはなりません。

 この法案に対する党の方向性には個人的には忸怩たる思いもありますが、それは飲み込み、できる範囲で少しでも良い法案に修正できるよう、今後も努力を続けます。


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1 コメント

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棄権という選択 (阪口直人)
2013-11-26 20:34:06
この法案については、私たちは国会は審議と説明を尽くすべきとの考えに立ち、与党が数の力で強行採決をするなら反対と明言してきました。ところが、本日、与党は委員会で強行採決を行い、さらに、緊急ではないのに本会議でも緊急上程という強引な手続きでこの法案を採決しようとしたため、私たちは結局棄権をすることになりました。先ほど本会議場から退席してきたところです。国民の多くが疑念を持っているにもかかわらず、審議は全く不十分で、とても国民に対する説明責任を果たしたとは言えない中、このようなことが行われるなら民主主義は守れません。ただ、棄権という選択肢がベストであったのか。私は断固反対した方が、与党の横暴を明らかにする上ではわかりやすかったと思っています。
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