子供はかまってくれない

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映画「ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋」:ひたすらシャーリーズ・セロンの美しさに酔う

2020年01月18日 11時41分01秒 | 映画(新作レヴュー)
暮れに公開された「男はつらいよ お帰り寅さん」は,山田洋次監督に新作の構想案を話した横尾忠則氏が,原案者へのリスペクトに欠ける,とクレームを発したことにより,作品そのものの評価とは別次元で話題になっているようだ。その「男はつらいよ」は主演の渥美清さんが存命中,年に2作ずつお盆とお正月に公開されていた。併映にはほぼ小品の喜劇映画がセットされていたこともあり,この松竹の戦略によって「お正月は喜劇」という刷り込みがされてしまったことは間違いない。だから毎年のお正月のラインナップの中で,とりあえず喜劇というフレームを持っていると思しき作品は可能な限りチェックしようと思っているのだが,今年のヒットは本作だった。

直情径行型の正義感溢れるジャーナリストのフレッド(セス・ローゲン)は,所属する会社の身売りに怒って退職届を叩きつけ,無職となってしまう。そんな彼を友人のランス(オシェア・ジャクソンJr=アイス・キューブの息子!)が連れて行ったパーティーで出会ったのは次期大統領を狙う有能な国務長官のシャーロット(シャーリーズ・セロン)だった。ところが彼女は幼少期のフレッドのシッターであり,彼にとっての初恋の人だった。フレッドをスピーチ・ライターとして雇ったシャーロットとフレッドは,やがて愛し合うようになるのだが,二人の前には様々な障壁が立ちはだかっていた。

純然たる喜劇というよりも「ラヴコメ」と括った方がしっくりする仕立てではあるが,とにかくお正月の華やいだ気分を一層もり立ててくれることは請け合いだ。なによりその駆動力となっているのが,御年44歳になったシャーリーズ・セロンの艶めく美しさだ。近年のヒット「マッドマックス怒りのデス・ロード」で見せた,まさに「デス・ロード」なやさぐれパワーが印象深かったのだが,まるで年齢を重ねる毎に華やぎを増していくような演技の輝きは,奇跡的と言っても過言ではないだろう。新聞評で,物語後半のフックとなる下ネタに対する批判を目にしたが,今作でのセロンが放つ後光は,フレッドの髭に着いた精液をもあっと言う間に蒸散させてしまうほどの熱量を放っている。

コメディとしては,フレッドの親友ランスが実は共和党支持者だった,ということが判明するシーンが最高。間抜けな大統領像と合わせて,さらっと社会観察を縫い込んだジョナサン・レヴィンの手腕にお年玉を。
★★★☆
(★★★★★が最高)


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