子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2010年TVドラマ夏シーズン・レビューNO.7:「GOLD」迷走,などなど

2010年09月13日 20時26分55秒 | TVドラマ(新作レヴュー)
大森美香がまだ「純愛一筋」路線に陥る前の佳作「エジソンの母」の天海祐希版かと思って見始めた「GOLD」だったが,とんでもない見当違いだった。実は天海祐希の4人目の子供は幻想だった,というトンデモ展開はまだ良い。TVドラマの基本的な作法である「会話劇」を構築することが出来ずに,毎回天海の冗長な演説で締め括る稚拙なクライマックスにも目を瞑ろう。
しかし,自分の子供の生命を賭してまで五輪の金を目指す母親像を,視聴者に納得させるトライに一体何の意味があるのか。予想通りにそんな思惑は空転してしまい,役者が何を表現したらよいのか分からない状態で話が進んでいることに,果たして作者の野島伸司は気付いているのであろうか?

9日の放送でも,練習中に気を失ってしまったらしい二男の廉(矢野聖人)を,天海と娘の晶(武井咲)が救命しようとする場面があったが,とにかく三人の会話が全く繋がらない。母親の気持ちも,それに応えようとする廉の感情も,第三者には理解不能であり,天海に突如涙を流されても,それを見せられる視聴者は途方に暮れるだけだ。
クライマックスで毎回流される千住明と池頼広による曲が,坂本龍一が「ラスト・エンペラー」のために書いた「Rain (I Want A Divorce)」の完全コピーにしか聞こえないことも含めて,日本のドラマ作りの水準がここまで下がってきたかということを知る良い材料ではあるかもしれないが,快進撃を続けてきた天海にとっては思いがけない躓きだろう。何よりもこの時間帯でこのキャストにも拘わらず,7.0%(第10回)という視聴率が,内容を正確に反映している。

一方で,数字は取っている(第10回までの平均が15.27%で今期の第1位)が,おじさんとしてはどうにも展開について行けなくなってしまったのが「ホタルノヒカリ2」だ。「良い友」婚約者同士の不思議な交流が,メルヘンを通り越して,「何故彼らは結婚するのか?」という不条理状態に入ってしまった段階で,私は白旗を揚げた。綾瀬はるかが,柔らかそうな唇を尖らせる度に,どうしてこんなに「チュー」するハードルの高さが上がってしまったのだろうか,と考えさせられているうちに,どんなギャグも笑えなくなってしまった。

そんな中で健闘している番組もある。「花ざかりの君たちへ」の脚本家(武藤将吾)が,まさかこんな吸引力のあるスリラーを書くとは思わなかった「ジョーカー」がその代表だろう。
単発のストーリーに全編を貫くサブプロットを絡ませる構成に,主役の若者3人に対してヴェテラン2人(大杉漣と鹿賀丈史)を配したキャストがはまって,最近の人情ものが幅を利かせている「警官もの」の中では,出色とも言える緊迫感を醸し出している。
同じフジのドラマでも,「GOLD」の迷走振りと比較すると,そのごつい骨格は一層際立つ。脇に回っても良い味を出している杏は,そろそろドラマで主役を張るか,スレンダーな肢体を活かして映画にチャレンジするかの分岐点に近付いているのかもしれないと思わせる演技を見せている。キネマ旬報で「これではドラマではなく,コントだ」と酷評されていたが,私は買っている「うぬぼれ刑事」と並ぶ,今期の収穫だ。


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1 コメント

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Unknown (Unknown)
2010-09-14 11:02:07
ジョーカーはデクスターのパクリよん。知らないの?おっさん
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