子供はかまってくれない

子供はかまってくれないし,わかってくれないので,映画と音楽と本とサッカーに慰めを。

2012年ロンドン五輪 女子サッカー 予選Fグループ 日本VSスウェーデン【0:0】

2012年07月28日 22時28分17秒 | サッカーあれこれ
深夜に行われた初戦のカナダ戦は未見のため,今大会のなでしこの試合を観るのはこれが初めてだったが,初戦の勝利と我が目の両方を疑いたくなるような戦い振りだった。
このままカナダに続いてスウェーデンにも勝ってしまい,予選グループを1位で通過した場合は,決勝トーナメント1回戦でテストマッチでなでしこが完敗し,今や隠れ優勝候補と呼ばれているらしいフランスと当たることを回避した,という見方も出来るのだが,そんな戦略以前に,サッカーの質の低下をどうにかしない限り優勝はおろか,メダルも覚束ないコンディションに陥っていることは間違いない。

とりあえずボールは保持してはいるものの,中途半端なプレスに終始するスウェーデンの前線に対してバックラインでゆっくり横に回すだけで,ビルドアップと言えるようなボール廻しは全く見られない。ボールを持った選手へのアプローチがないために,相手の守備ラインを崩すためのパス交換は繰り出せず,長いボールを蹴っては跳ね返されることの繰り返し。中盤を省略した攻撃は迫力を欠き,収穫はしばらく戦列を離れていた岩清水の危機管理能力が健在だったことを確認できたことくらい,という非常にレヴェルの低い試合となってしまった。

しかし,信じられないような凡プレーを連発していた澤の不調がチーム全体に伝染したかのような試合運びは,田中が入った時点でかなり修正された。ミスパスが減り,2列目が攻撃に参加するようになったことによって,後半途中から何度か見られた意図を持った崩しへのチャレンジには,今後につながる微かな光明も見出せた。ボールを持った選手とサポートする選手の距離が縮まったことによって必然的に相手選手を引き付け,その結果生まれたスペースを突く,というW杯時点のなでしこが最も得意としていた戦術が蘇る気配はあった。確実に。

ひょっとすると今のなでしこは,男子のサッカーをそのまま女子サッカーにアダプトしようとしていると言われるフランス戦の後遺症のただ中にいるのかもしれない。細かい手間をかけずに長くて速いボールで前線へボールを運び,最後は1対1で勝つ。アメリカも含めてそれが出来るキック力と体格と体力がある国ならばそういったアタックにトライすることも理解できる。
だが「なでしこ」という絶妙のネーミングがチームの特徴を象徴している代表チームが,本当にそんなサッカーを目指すべきなのかどうかについて,今一度チーム内での議論が行われない限り,ドイツの再現は難しいだろう。
大会期間中での澤の復調は難しいと思われるが,是非とも今晩のようなサッカーは忘れて修正して勝ち続け,帰路は「仕事」をやり遂げたワーキングウーマンとして,胸を張って「ビジネス」クラスで戻ってきて頂きたい。


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