ザ・名も無きランナー

50才から始めたマラソン。こころと身体が一つになって燃焼している感じが好きです。楽しんで走っていきたいと思っています。

美瑛ヘルシーマラソン2005

2005年06月12日 | 完走記

 早朝5時女房の起きる気配で目覚める。小雨である。起きて簡単に朝食を済ませ、予備に特大のおにぎりを作ってもらう。荷物をクルマに積み込み、5時50分、女房とともに出発。狩勝峠は霧で途中雨脚が強くなる。雨天中止かと一瞬頭をよぎる。富良野まで2時間で行ければ美瑛に間に合うと踏む。しかし山部から横道に入り富良野を迂回。途中で国道に合流し美瑛には8時20分頃に到着。指定駐車場は会場から若干離れたところにあり、受付には徒歩で急ぐ。8時30分過ぎに受付完了。ホッと一息ついて携帯を見るとカッチさんからの電話が履歴に残っていた。電話で到着を知らせ、スタート地点で会えることを確認し、クルマに戻る。今後雨がどうなるのか心配だったが、上は半袖、下はショータイに決め、急いで着替える。必要最小限を袋に入れて会場へ。写真を撮っているうちにスタート地点への移動バスが最終便となる。それでもまだ沢山の人が並んでいた。バスで20分ほどコースを登った所がスタート地点の大雪青年の家であった。携帯でカッチさんに連絡。一時預かりのトラック前でカッチさんに初めてお会いする。私より年長とのことであるが、身体が軽快で若々しい。いかにも速いぞという感じ。気さくな方でホッとした。教えてもらったように、ウインドブレーカーを脱ぎ、所持品をすべて指定の袋に入れてトラックに預けた。やっぱり寒い!時間がちょっとあったのでトモさんにもご挨拶。私はいつものように後方からのスタートだ。

 スタート!一斉に飛び出すが、コースが狭く路面が濡れているので、人と接触したり転んだりしないように注意して進む。しかしかなりの下り。だからドンドンスピードが上がる。下りで膝を痛めた昨年の千歳を思い出す。前半飛ばしすぎて後半バテてしまう最近の練習が頭に浮かぶ。しかし行けるところまで行ってみることにする。みんなそのつもりなのだろう。何人参加しているのか知らないが行けども行けどもランナーでごった返している。STVのカメラマンも所々に立って撮している。雨が相変わらず降り続いているがもう寒さは感じない。5キロ地点で驚いた。これは高速レースだ。<5Km:24分47秒>

 5キロまではかなりの勾配の下りだったと思う。7キロ位からは下り勾配もやや緩やかになり、段々民家も見られるようになる。雨が降り続きあたりの景色を見ることもなくただ黙々と走る。ペースはあまり落ちていないようだ。最近のスピード練習が良かったのかと考える。<10km:49分14秒>

 中間点を過ぎても強烈な疲れが来ない。なんとかこのまま行けば1時間50分を切れるのではないかという期待がだんだん頭の中で膨らんでくる。しかし雨の中でただすぐ前だけを見て走るという単調な走りが延々と続く。やおらここに来て段々スピードにムラが出てくる。徐々に遅くなり、それに気づいてあわててピッチを上げるということを繰り返すようになる。周囲のランナーと抜きつ抜かれつのレース展開である。高齢の人も随分多く走っている。女性も結構いる。中にはビニールのゴミ袋を3方切って両手と頭を出しカッパ代わりにしている人もいる。なんとか残りを60分で行ければと考える。<15km:1時間16分31秒>

 やはりペースが落ちていた。なんとか残りを30分で行きたいところだ。と、思っていた矢先のことである。前方に途轍もない坂が見えてきた。バスに乗る前に二言三言会話を交わした人が言っていた、最後の方に坂があるらしい、って。それがこれか~。突如としてスピードが落ちる。落ちるっていうようなものじゃない。自分では走っているつもりだけど歩いているようなもの。とにかく下を向いて歯を食いしばって登って行く。登り始めて間もなく「頑張ってくださ~い」という女性の声がする。前方を走っていた人たちが急にみんな声のする方に寄っていく。ようやく前が空いたと思っても足があがらない。そのうちに私もその女性のわきに差し掛かったのでソッと顔を上げてみると、紛れもなく増田明美さんだった。みんな握手をしたりハイタッチをしていた。残念ながら私は気づくのが遅く、そのまま通過。みんなは増田さんにパワーをもらったのか、私をドンドン抜いていく。反対に私はパワーをもらい損ね、ドンドン置いていかれ、坂の上に達した時には足がもうガタガタであった。最悪!私は命名しました、この坂を「なんじゃこりゃの坂」と。でも私は頑張ったのです。かすかな望みを持って…。

 最後の最後まで頑張りました。それなのに終盤の指定駐車場の辺りでついに運命の1時間50分は来てしまった。女房がカメラを手に待っていた曲がり角を過ぎた辺りからは、気が抜けたのか、あまり足が上がらなくなっていた。そのあとは次から次へと抜かされ続け、ようやくゴール!<ハーフ:1時間52分51秒>

 ゴール後女房に迎えられ、それでも大幅な自己記録更新であったことを確認し、あと3分ほど速ければ北海道マラソン参加資格が得られたことを悔しがったのでした。でもその時女房に言われたのです、「前だったらゴールしたら話もできないで座り込んでいたのにねえ」って。「えっ?」ということはまだ余力あるの?いや、欲を出しちゃいけません。今回は本当にベストを出し切ったのです。高速レースではあったけど、レースってそう単純に良い結果が出るような甘いものではないのです。ちゃんと最後にはキツイ登り坂が待っているのです。これが現実、これが実力なのです。走りきった後はハッキリ言って爽快でした。カッチさんにもう一度お会いし、2週後の十勝での再会を約束したのでした。

 レース後一旦晴れていた天気だったが、帰りの途中からはまた土砂降り雨。帰りはずっと女房に運転を任せ、途中で入ろうと思っていた温泉もパスし、力を出し切った私はフニャフニャになって家に帰ってきたのだった。女房に感謝です。お疲れさまでした。