この日からリスボン。
リスボンはヨーロッパ最西端に位置するポルトガルの首都で、かつてはここから太平洋を渡って新大陸を目指した冒険家たちの出発点となった場所。
テージョ川の河口にあり、丘に囲まれた街で、日本とも古くから交易があったため、何となく親近感を持っていた。
ファティマからバスで1時間半、リスボンに着いた。
バスターミナルで売っていた公共機関の1日乗り放題のチケットを購入し、タクシーでホテルに荷物を預けに行った。
ホテルは高台にあり、ケーブルカーの「グロリア線」がすぐそばにあった。
すぐに街の様子を見に出ようとした。
街へはケーブルカーで下ればすぐのつもりだったが、この時はケーブルカーが修理中のため、使えなかった。
仕方がないので、線路を歩いて下まで行った。
後で調べてみたらこの「グロリア線」は3つあるケーブルカーの中で最も急斜面を走るケーブルカーだということだった。
ケーブルカーの線路を上から見たら、途中に動いていない電車が止まっていて、その脇をたくさんの人が歩いていた。
近づいてみると電車は落書きでいっぱいだった。
両側のお店には配達の車が堂々と線路脇を走っていた。
フリーのチケットを持っているので、バスもトラムも乗り放題だから、取りあえず遠くの方から回ってみようと、28番のバスで西の方に行ってみた。
そして終点近くにあったのが「エストレラ大聖堂」。
ここはポルトガル女王ドナ・マリア1世が息子の誕生を祝って建てた教会で、荘厳なネオ・クラシック様式の外観、そして白い壁がきれいだった。
鐘楼が2つ並んでいて、登るとリスボンの街を一望できると聞いたので、早速登ってみた。
大聖堂は無料で見学できるが、鐘楼は有料だった。
[エストレラ大聖堂のファサード]
[鐘楼の上]
この教会の内部の装飾はバロック様式になっていて、中には祭壇があり女王の棺が安置されていた。
バスやトラムに乗り放題はうれしい。
西から一気に南にあるアルファマ地区を目指してバスに乗っていたら、地元の年配の女性が声を掛けてきて、「サン・ジョルジェ城」はリスボン市内で一番お勧めの場所だから、アルファマよりも「サン・ジョルジェ城」へ言った方が良い、と言ってバスをわざわざ降りてお城のチケット売り場まで案内してくれた。
[サン・ジョルジェ城の城門]
写真では分かりづらいが、中央にはポルトガル王国の紋章と1846年という表示があった。
チケット売り場のすぐ先は広場になっていて、中央には「アルフォンソ1世」のブロンズ像があり、その先に進むと展望台になっていた。
サン・ジョルジェ城はリスボンで一番高い丘の上にあるので、ここから街が一望できた。
[展望台からの眺め]
大きなテージョ川と遠くには「赤い吊り橋(4月25日橋)」と「クリスト=レイ像 」がぼんやりと見えた。
城壁に行くまでは庭園や常設の展示場があり、その敷地内にはクジャクがたくさん飼われていた。
クジャクは人に慣れているようで、全く驚いた様子はなかった。
ポルトガルはクジャクが多いようで、どこの公園に行っても良く見られた。
ホテルの窓の下、隣の建物の屋根にも野生?のクジャクがいたのを見た。
サン・ジョルジェ城の城壁には塔が11基あるらしい。
そして城壁の上を歩くことができた。
お城の周囲は深い森になっていた。
右奥、遠くから見たサン・ジョルジェ城。
サン・ジョルジェ城を見てから、本来行くはずだったアルファマ地区に回った。
アルファマ地区はサン・ジョルジェ城の下の方に広がっている迷路のように入り組んだ、リスボンで一番古い街。
下町と言った雰囲気がある。
[アルファマ地区の路地]
路地を歩いていたら、この家の人が顔を出し、上から声を掛けてきた。
壁は落書きでいっぱいだった。
アルファマ地区でファドを聴かせてくれるお店。
ファドはアルファマ地区が発祥の地らしい。
アルファマ地区を歩いてから、ホテルに戻る途中で、リスボン名所のサンタ・ジュスタのエレベーターにも乗ってみた。
サンタ・ジュスタのエレベーターは、地形の高低差が激しいリスボンの街中にあり、高台に行く時に利用するもので、上に行くと橋のようになっていて道路をまたいでいた。
上には「カルモ考古学博物館」や展望台などがあった。
[エレベーターから繋がる通路を下からみたところ]
エレベーターを体験してから、ホテルに向かったのだが、朝は修理中だった「グロリア線」のケーブルカーはまだ動いていなかった。
歩いてこの坂を登らなければならないと思うと、疲れがどっと出てしまったようだった。
下るのはあんなに楽だったのに・・・・
この坂の上には「サン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台」があった。
この展望台は以前「消臭力」のCMで使われていて、その時は有名だった覚えがあった。
あの時使われていた映像は素晴らしい場所のように見えたが、なんてことの無い普通の展望台だった。
でも、リスボンの街を一望できた。
[アルカンタラ展望台から見た夕暮れのリスボンの街]
1日目のリスボンはこれで終わり、ホテルに戻ってホテルスタッフに相談して翌日からの観光コースを決めた。
ケーブルカーを使わずに行くことも忘れずに聞いた。