冬景色
2017-12-16 | 家族
ハハ様も施設に入所して2度目の冬を迎えた。
大腿骨の骨折をするまでは、徘徊で13km以上も歩いた土地で保護されて周囲を驚かせたことがあった。
後で、この施設の近くまで来たことが分かり尚更、驚いた。
桜並木の木々もすっかり冬枯れの景色になってしまい物悲しい気分だ。
ハハ様に面会するたびに家に帰りたいとせがまれる。
愚痴でも文句でも話を聞いてあげるだけで落ち着くらしいから私も納得して帰るけど・・・・
無言で淋し気な表情をしている時は私の気分も晴れない。
ハハ様が言った。家族は一緒に暮らすのが一番いいと。
家族って私が聞くと、私や自分の父親や兄妹の名前を言う。
孫の名前は分からないし、自分の夫の事さえ忘れている。
「私はあの人と余り縁がなくて一緒に住んだのは短い間だから・・・・。』なんて言って忘れたことを理由づけしている。
父は62歳で亡くなり私が30歳の頃だったから少なくても30年は暮らした人なのに、父の記憶は母からすっかり消えているは何故だろう。
私の手をとり、「お母さんには本当に苦労をかけてしまった。お母さんがいなくなったら私は生きていけない・・・・。』なんてしおらしい事を言うときがある。
ハハ様が言う、お母さんって私の事。娘をずっとお母さんと呼んでいるけど、これって私の事を本当にわかっているのかしら??と思う。
施設の帰り道、川の向こう岸にシロサギが数羽。親子かしら?
家族で片寄せながら仲良く暮らしているように見えた。