映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

花まんま  朱川湊人

2010-05-16 07:51:50 | 
通勤途中に、朱川湊人の短編集「花まんま」を読んだ。
特に題名の「花まんま」の愛情あふれる文面に思わず涙してしまった。
心が洗われて、妹への愛情という言葉が気になり、品川の家に一人住む妹のところへ寄った。

花まんま
妹をもつ兄の語りではじまる。妹は生まれたときから変わった子であった。父を亡くした
兄妹は母と一緒につつましく暮らしていた。時々妹は行方不明になったりして家族を心配させた。
そのとき行方の手がかりを得るため、妹の日記帳を兄は見た。そうすると漢字で名前が書いてあった。
小学校の低学年では書けないような字の名前だ。誰なんだろうと兄は思ったが、それは彼女の前世の名前であることがわかった。。。。。

凍蝶
差別を受けて子供のころいつも一人ぼっちだった少年が、やすらぎを求めて遊び相手を探しに自分の住むエリアから離れたところを放浪していた。そこで繰り返し会うようになる18歳の女性がいた。彼女は病気の弟のためにウェイトレスとして働いていると言っている。ある冬の日、二人が会話している時白い蝶が飛んできた。春よりも早く飛びはじめているなあというが、彼女によれば春からずっと生きてきて飛んでいるのだという。。。。

送りん婆
主人公が大阪の古いアパートに住んでいたときの50年ほど前の回想である。アパートに酒乱のおじさんがいた。
おじさんはがんに侵されていた。そのとき、おばさんが呼ばれた。耳元でおばさんが一言話すと、苦しんでいた顔つきが一転柔和な表情となり、そして少しして亡くなっていった。このおばさんは死ぬ寸前の病人のところへ行き、同じように言葉をささやくのであが。。。。

大阪で暮らすということと差別の話はきっても切れない話である。
朝鮮人の差別問題と同時に、はっきり何の差別とは言わないが、いわゆる「差別」の話も出てくる。
それを書くことでいかにも大阪らしい話となる。

それにしてもなんと愛情に満ち溢れている話であろう。
電車の中で本を読みながら、家族のことをおもった。
妻と娘だけでなく、亡くなった父と母そして妹のことを思った。

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