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映画とライフデザイン

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映画「モンテッソーリ 愛と創造のメソッド」 ジャスミン・トリンカ

2025-04-08 17:57:41 | 映画(フランス映画 )

映画「モンテッソーリ 愛と創造のメソッド」を映画館で観てきました。

映画「モンテッソーリ 愛と創造のメソッド」発達障害の教育メソッドとして有名なモッテッソーリ教育の創始者マリア・モンテッソーリ女史に焦点を当てたフランス、イタリア共作映画だ。La nouvelle femme(新しい女性)が原題で、まさにイタリアで先進的な活躍を遂げた女医だった。

予告編で観てから必ず行こうと思っていた。今は普通に暮らす娘が、幼児のころ発達が遅れて言葉もなかなか話せなかった。その時に県が管理する児童訓練所のような場所で娘の面倒を見てもらい幼稚園に行く前に一年通った。その女性指導者はまさにこのマリア・モンテッソーリのような素晴らしい方だった。もし出会わなかったら今どうなっていたんだろうと思う。

1900年、フランスパリの有名なクルチザンヌ(宮廷女官)であるリリ・ダレンジ(レイラ・ベクティ)は娘の発達障がいが明るみに出そうになったとき、自分の名声を守るためにパリからローマへ娘ティナを連れていく。そして女性医師マリア・モンテッソーリジャスミン・トリンカ)の元を訪ねる。マリアは障害を持つ子供たちを預かって、教育する公的な研究所を運営していた。新しい教育法の基礎を築いていた。

リリはそのまま娘ティナ(ラファエル・ソネヴィル=カビー)を預けてパリに戻るつもりだったが、マリアからは母親の愛情が重要なので通いで来てくれと言われてローマに残る。その後マリアの指導が徐々に効果を示してティナの状況は改善された。マリア中心に運営する研究所であったが、当時は男性中心の社会パートナーのジュゼッペが注目されていた。ジュゼッペとの間には婚外子のマリオがいた。しかし、親族の反対で一緒には暮らせずに乳母に預けられているのがマリアの悩みだった。

興味深い映画だった。よかった。

フェミニズム映画との紹介もあるが、男性主体だった医療の世界での女性の自立を主張する場面はあってもそれが前面にでている訳ではない。幼児の頃に発達障害を持っていても立ち直れる余地は十分あるというのが主題と考えたほうがいい。作品情報によると、監督のレア・トドロフの娘遺伝性の病気を持っていたことでこの映画を製作するきっかけが生まれたようだ。

実際に本物の知的障害児が出演している。演出はたいへんだったろう。監督の指導のもと愛情をもって出演者が接しているのはよくわかる。その子たちがモンテッソーリ教育によって、四則演算など認知能力を改善しているのが映像で示される。良い場面だ。身辺に自閉症などの発達障害や知的障害の子どもがいる方はすんなり内容に入っていけるかもしれない。

その昔、訓練する場所で先生の指導のもと玩具を手にして遊ぶ娘の姿が目に浮かぶ。行く前は絶望感があったが、時間を経るにつれて状況が劇的に改善される。多動だった娘が訓練中に椅子に落ち着いて座れるようになった。その指導をモンテッソーリ教育と知るのはずっと後だった。

マリア・モンテッソーリは1870年生まれで当時30歳だ。自分のやり方を信じて強い意志と向上心を持って障がいをもった子に向かい合う。しかも無給で働く。報酬や給与は一切ないのだ。実績はでている。周囲があきらめていた知能の向上が見られるのだ。その一方で、同僚のパートナーとの間に婚外子をつくったにも関わらず自分で育てていない心のジレンマがある。親は世間体もあってか同居に反対だ。人の面倒はうまくいっても身内でなるようにならないジレンマに陥るのも映画の見どころだ。

リリ・ダレンジはクルチザンということで、作品情報では高級娼婦となっている。ピンとこないけど、宮廷女官との訳もある。日本の天皇家も明治天皇までは側室がいて、大正天皇は女官柳原愛子が産んだ子だ。当時フランスに王や皇帝は存在しないが日本式に(貴族の)女官とすべきと感じた。リリはフランスの社交界に接していた訳だが、娘の障害は表だって周囲に話せない。ローマに行きマリアモンテッソーリの前に現れた時、娘のことをめいだと言っていた。もともと結婚していて娘が一歳の時に障害をもつとわかり離縁させられる。その後クルチザンになったのだ。徐々にマリアとの関係も良くなる。マリアの支えにもなっていきスポンサーも紹介するのだ。

個人的にはいい映画を観たという後味の良さがあった。


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