映画「ブリジットジョーンズの日記 サイテー最高な私の今」を映画館で観てきました。
映画「ブリジットジョーンズの日記 サイテー最高な私の今」はレネー・ゼルウィガー主演の「ブリジット・ジョーンズの日記」シリーズ第4作である。今回はマイケル・モリス監督がメガホンをとる。公開中の映画ラインナップはアクション映画でも敵討ち物語のような精神を尖らせる題材が多く、つい「ブリジットジョーンズ」に目がいく。これまでの「ブリジットジョーンズ」シリーズは3作とも見ている。ただ、面白かった印象が残っていても、内容を全く覚えていない。
映画「ジュディ」では、ジュディガーランドぽいショートカットでレネー・ゼルウィガーは念願のアカデミー賞主演女優賞を受賞してキャリアに一区切りをつけた。今回はライフワークとも言える役柄に戻って熟年女性になったブリジットジョーンズを見せてくれる。
最愛の夫マーク(コリン・ファース)が4年前にスーダンでの人道支援活動中に亡くなり、ブリジットジョーンズ(レネー・ゼルウィガー)は2人の子育てに追われるシングルマザーとなった。元カレだったダニエル(ヒューグラント)も家族の面倒を見てくれる。昔からの友人たちにマッチングアプリを勧められ、そろそろ新しいボーイフレンド探しでハネを伸ばそうとしていた。
遊びに行った公園で子どものピンチを助けてくれた29歳のロクスター(レオ・ウッドール)と意気投合して付き合い始める。そして職場に復帰する。その一方で、息子の担任の理科教師ウォーラカー(キウェテル・イジョフォー)は融通がきかない教師で母親たちと打ち解けない関係だった。それなのに徐々に距離が縮まっていく。
居心地の良いラブコメで、場面に合わせる音楽の選曲が抜群に良いし視覚的にも楽しめて快適な時間が過ごせた。観て良かった。
欧米のラブコメの色彩設計はどの作品もレベルが高い。ここでも配置する家具やベットカバーやカーテン含めたインテリア設計が素晴らしい。身体にやさしく馴染むストレスを感じさせない色合いだ。キッチンなどの小物のセレクトもプロの仕事だ。昔からの仲間たちが再登場しても、服装のセンスを含めてシャレた中年の匂いがする。ともかく抜群の音楽選曲には驚いた。80年代前後の曲が多くウキウキする。RAYEやJESS GLYNNEの現代歌手の曲の織り交ぜ方が絶妙だ。ここしばらくで観た映画では最もセンスの良さを感じた。快適な室内外の色彩や音に注意を向けるだけで、リラックスできた。
レネーゼルウィガーもさすがに歳をとった。シリーズ1作目や「シカゴ」の頃と比較すると衰えは目立つけど、持ち前の明るさで乗り切る。昔ながらの友人も登場してSNSなども織り交ぜたストーリーは現代のネット社会を反映する。女性がかなり年下の男と恋に落ちるパターンは直近の日本でも松たか子の作品でもあった。逆にこれまでは中年男性と若い女性のパターンがいくらでもあった。今後年下男パターンが増えてくるのではないか。
映画界における多様性重視は欧米の映画では当たり前でも,今回は途中からあれよあれよと相性が悪かった黒人教師と近づいていくのが正直意外な展開だ。当初は笛を吹いて生徒に注意ばかりしているめんどくさい教師だった男がいつの間にかブリジットジョーンズと接近していく姿にあぜんとする。
ヒューグラントとコリンファースはいずれも健在だ。やっぱり英国映画だとこの2人がいるだけで引き締まる。ヒューグラントはもともとのプレイボーイがちょっとドジないいおじさんという役柄が上手い。エマトンプソンを加えると、ラブコメ映画「ラブアクチュアリー」の主要メンバー3人となる。エマトンプソンはおばあちゃんになったなと思ったら、自分とあまり歳が変わらなかった。医師の役はいかにもインテリのエマにお似合いだ。数多い出演者それぞれに役割を持たせた脚本もまとまっている。
雪の降る年末シーズンの映像が素敵だ。降る雪が恋愛の情感を高める。gooブログの終了通知がショックで今も呆然としたままだが、ラブコメディーは、そのストレスを和らげる効果がある気もした。