映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

「The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛」 ミシェル・ヨー

2012-08-14 22:13:50 | 映画(アジア)
映画「The Lady アウンサンスーチー ひき裂かれた愛」を劇場で見てきました。


ビルマ(ミャンマー)の独裁軍事政権に立ち向かう民主化運動のリーダーであるアウンサンスーチーの物語だ。自分が敬愛するリュックベッソン監督とアジアンビューティーの象徴のようなミシェルヨーが組むという。聞いただけでわくわくするような組み合わせで劇場に行くのを楽しみにしていました。


アウンサンスーチーの顔はニュース映像で誰もが見たことある。でも実際にどういう人生を歩んできたのかを知っている人は少ないのではなかろうか?ニュースで聞く「軟禁状態にある」という状態もどういうことなのかを知らなかった。

まずは主人公アウンサンスーチーの幼児のころを映し出す。ビルマ民主化運動を進めていた主人公の父アウンサン将軍は民衆から敬愛されていた。彼が志半ばで反対派によって1947年射殺されるシーンからスタートする。

時がたち、主人公アウンサンスーチー女史(ミシェル・ヨー)は英国に留学する。学内で知り合った学者マイケル・アリスと結婚し、2人の子どもをつくり幸せな生活を送っていた。1988年、母の危篤の知らせが主人公の元に来た。看病するために久しぶりに生まれ故郷のビルマに戻った。ビルマでは軍部が独裁を敷いており、空港ではアウンサン将軍の娘だというだけで、主人公は軍事政権からマークされていた。そこでは学生民主化運動を武力制圧する凄惨な光景が広がっていた。アウンサン将軍の娘の帰国を知った民主主義運動家たちは、主人公に選挙への出馬を懇願する。不安を抱きつつも50万以上の民衆を眼前にして、立候補を決意するスーチーだったが。。。。

その後軍事政権との過酷な戦い、15年にわたる自宅軟禁生活が映像で映される。91年にはノーベル平和賞も受賞した。残念ながら授賞式には夫と二人の息子が出席した。

離れて暮らした英国人夫マイケルとの交情が語られる。ドラマの基調は主人公と英国人の夫とのラブストーリーだ。とはいうものの正直アウンサンスーチー女史の民主運動の振る舞いについてはあまり関心がなかった。
彼女の父親は暗殺されたが、母親はインド大使まで務めた女性としてはエリート中のエリートだった。彼女自体の育ちはいい。デリー大学からオックスフォード大で学んでいる。あの世代でオックスフォードとは一歩抜けた毛並みでないと学べない。映画では主人公がピアノを弾くシーンが何度も出る。下積みから這い上がった運動家ではない。日本人も毛並みがいい人を好きなのと同様に、ビルマでもそうなのであろう。そんな彼女もいつの間にやら民主運動家になってしまうのだ。鳩山元首相が反原発デモに参加するのと似たようなものだが、アウンサンスーチー女史の精神力の強さはアホ鳩山とは比較にならない。

リュックベッソンがこのノンフィクションドラマをどうこなすのが気になった。
リュックベッソン監督作品というと「ニキータ」「レオン」の2つの傑作で一気にファンになった。同時に「taxi」「トランスポーター」のプロデュース作品におけるアクション映画制作の巧みさが光る。90分前後で簡潔に映像をまとめて隙がない。この映画でも短いカット割りを続けながら、簡潔にストーリーを語る。リズミカルで非常に分かりやすい。長年のコンビであるエリックの音楽もアジアンテイストをいれた躍動感のあるリズムでストーリーを盛り上げる。

ミシェルヨーが熱演である。「グリーンデスティニー」からファンになった。「サユリ」も「レインオブアサシン」も楽しまさせてもらった。20代から現在に至るまでの長年にわたるアウンサンスーチー女史の映像を徹底的に研究したという。それがよくわかる演技である。

観客には比較的初老の夫婦が目立った。死にかかった英国人の夫を見舞う英国への帰国に対して、一度ビルマを離れると二度と入国させてくれないので帰国できない様子を見て、ご婦人たちのすすり泣く声がずいぶんと聞えた。でも自分は泣けなかった。だって旦那さんかわいそうだもん。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする