Don't Let Me Down

日々の雑感、引用。
言葉とイメージと音から喚起されるもの。

“なつかしいミシェール”

2010-08-23 14:02:00 | 日記


★ ワイシャツのボタンをはめもせず、アダムは毛布の間から一種の黄色い学生ノートを取り出した。その最初のページには、見出しに、手紙でするように、こう書き込んであった。
なつかしいミシェール


★ 「なつかしいミシェール
・・・・・・他のことなんかどうでもいいんで、何がどうなろうとこっちは想像力に充ちみちてるし、こんな詩だって書けるんだ
      今日はねずみの日、
      海に溶けこむ前の最後の日。
きみはといえば、幸いなことに、きみはきっと記憶のうず高い堆積の間から見分けられるはずだ、ちょうどかくれんぼをしていて、きみの眼とか手とか髪の毛が、葉の茂みの丸いすき間からのぞいているのが見つかり、いっぺんにそれとわかった僕が、もう葉っぱなんかにだまされずに、かん高い声で、<見つけた>と叫ぶときみたいに」

<ル・クレジオ『調書』(新潮社1966、2008)>




なつかしいミシェール






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2 コメント

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44年ぶりに (あーもんど)
2010-08-23 20:00:37
ル・クレジオの「調書」を大学1年のときに読んだのだったろうか。
今、その文章に再び触れて、なつかしい(覚えていなかったが)感動を覚えた。
こういう文章が存在する喜び。
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Unknown (warmgun)
2010-08-23 21:30:29
そうだね。

それにしても、44年はおそるべき年月だね(笑)


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