Don't Let Me Down

日々の雑感、引用。
言葉とイメージと音から喚起されるもの。

2015年のはじめに;ふたつの引用

2015-01-11 12:59:45 | 日記

★ わたしが何であるかを正確に認識する必要があるとは思いません。人生や仕事での主要な関心は、当初のわれわれとは異なる人間になることです。ある本を書き始めたとき結論で何を言いたいかが分かっているとしたら、その本を書きたい勇気がわく、なんて考えられますか。ものを書くことや恋愛関係にあてはまる事柄は人生についてもあてはまる。ゲームは、最終的にどうなるか分からぬ限りでやってみる価値があるのです。
<ミシェル・フーコー『自己のテクノロジー フーコー・セミナーの記録』(岩波現代文庫2004)>

★ パリのパサージュを扱ったこの著作は、丸天井に広がる雲ひとつない青い空の下の戸外で始められた。だが、何百枚という木の葉に、何世紀もの埃に埋もれてしまった。これらの木の葉には、勤勉のさわやかな微風がそよめくこともあれば、研究者の重い溜め息が当り、若々しい情熱の嵐が吹き荒れ、好奇心のちょっとした空気の動きがたゆたうこともあった。というのも、パリの国立図書館の閲覧室のアーケードの上にかかる描かれた夏空が、閲覧室の上に光のない、夢見心地の円蓋を広げているからである。
<ヴァルター・ベンヤミン『パサージュ論 第3巻』(岩波現代文庫2003)>




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