Don't Let Me Down

日々の雑感、引用。
言葉とイメージと音から喚起されるもの。

ぼくがぜんぜん知らない人たち

2011-01-09 08:51:03 | 日記



今日の天声人語を読んで、<ぼくがぜんぜん知らない人たち>という言葉が浮かんだ。

それは、少女から若い女性になる人々である。

天声人語を読んでみようか。
まず、
《川崎市の川柳作家古俣麻子さんの句をいくつか書きとめている。〈ポケットに無限をつめて少女羽化〉。人生の折々で、女性の思いをまっすぐに伝える技と感性が、琴線に触れた》――そうだ。

ここで、《ポケットに無限をつめて少女羽化》という句を記憶しよう。


さてこの天声人語は以下のようの展開する;

《夫は外で働き、妻は家を守るという分業を是とする既婚女性は、40代を底に、若くなるほど増える。調査によっては、20代以下で半数に近い。母親世代をしのぐ家回帰といえる▼40代の「均等法第一世代」が男社会の荒野に道をつけたのに、後輩たちにはなぜか、専業主婦への憧れが広がった。この時世、安定志向は当然ながら、男性との競争や就職難に背を向けたかにみえる▼むろん現実は厳しい。専業主婦の座を約束してくれる結婚相手はそうそう現れず、「ポケットの無限」はしぼんでいく。仕事も家庭もと頑張ってはみたが、聖子さんにも、百恵さんにもなりきれず、もんもんとする30代、40代は少なくない▼それでも、あす成人を祝う世代には、うらやましいほどの時間がある。20代は自分を試し、磨く時だ。家事労働は尊いが、皿洗いも子育ても、二人で繰り合わせる時代である。主婦にせよ主夫にせよ、「専業」は結果であって、目ざすものではない。まずは飛んでみよう》(引用)


すなわち、現代の若い女性には、《専業主婦への憧れが広がっている》ということらしい。

えっそうなの、という感じなのだ、ぼくは。

だいたい、働かざるを得なかったぼく(男)にとっては、“社会進出したい”女性というのが、そもそも驚きだった。
ぼくは働く女性である母に育てられたが、母が“仕事が楽しくて”働いているのでないことは、子供の頃よりよく知っていた。

もちろんぼくは、女性が社会進出すべきでない、などとはちっとも思っていない。

しかしそもそも、<専業主婦>とはなにか?(笑)

《家事労働は尊い》とは、いかなる意味か?

《皿洗いも子育ても、二人で繰り合わせる時代》とは、いかなる時代か?
(それはそんなに良いことか?;笑)

《主婦にせよ主夫にせよ、「専業」は結果であって、目ざすものではない。まずは飛んでみよう》と天声人語は言うのだが、
《まずは飛んでみよう》というのは、どういう行為を意味するのか!

“だから”ぼくはこういう文章は、無意味かつ無責任だと言っているのだ。

昨日のこのブログに書いたように、この天声人語にある“世界観”は、まったく古臭い<家族主義>そのものである。

そしてぼくが不可解なのは、明日成人を向かえる“少女”たちが、この天声人語は読まないだろうが(笑)、このような世界観や家族主義からまったく自由でないことが、予想されるからだ。

“予想される”と書いたのは、冒頭に書いたように、ぼくは、彼女たちを“ぜんぜん知らない”からである。
街で見かけることはあっても、ぼくは彼女たちと、まったく話す機会がない。

街ですれちがうとき、彼女たちにとって、ぼくのような初老の人間は、まったく“存在していない”のである(笑)

すなわち、ぼくより若干<若い>!!天声人語の書き手が、《まずは飛んでみよう》などと言うことは、彼女たちにとって、まったくの<無意味>でしかない。


ぼくが天声人語について、なによりも思うのは、こういう文章の書き手の、“自分の日本語が通じるはずだ”という、あきれはてた<楽観>である。


ぼくには、そういう<楽観>はない。
この<社会>にいま生きていて、ブログを書いていて、そういう楽観をもてるはずがないのだ。

そういう<楽観>のもとに書かれた文章は、すべてペケである。

ぼくたちの今後の課題は、<通じない日本語をいかに通じるようにするか>という、ほとんど不可能な試みにある(笑)





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2 コメント

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Unknown (mochan)
2011-01-09 11:33:31
おはようございます。
初老、中老、全老というような区分があるのでしょうね。(^^)
私は、60歳を過ぎたら自分のことを充分老人だと思うております。warmgun氏の「初老」という矜持にはオホホと破顔し、敬服いたしましたよ。

天声人語子の《まずは飛んでみよう》は天声子がお飛びになればいいのです。あれこれ指図する前におのれでやってみて、その経験をお書きになればいいのです。新聞作文の見本のような文章にはうんざりです。
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Unknown (warmgun)
2011-01-09 12:43:44
mochan 様

”中老、全老”という言葉は、しりません(笑)

”初老という矜持”と言っていただくのは光栄ですが、べつに<矜持>というほどのものはありません。

天声人語子についておっしゃっていることは、まったくその通りだね。

ぼくも自分でやって、その経験を書けるようになりたいです。
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