下手の横好き日記

色々な趣味や興味に関する雑記を書いていきます。
ミステリ・競馬・ピアノ・スポーツなどがメイン記事です。

貫井徳郎『天使の屍』

2008-10-11 18:20:35 | 
やっと読書に戻れます(^^)
何気なく手に取った1冊でしたが、ものすごく深い作品でした。


青木は、14歳の息子・優馬との距離感をつかみかねていた。
そろそろ親離れをする年頃。過干渉を避け、信じて見守るのがよい・・・
ところが、ある日突然、優馬は飛び降り自殺をしてしまう。
青木は息子の死の意味を求めて、優馬の同級生達から話を聞いて回るが、
子ども達の心を理解することはできず、優馬の死の真相も分からない。
そして驚くべきことに、その同級生の中から二人目、三人目の自殺者が出る。
自殺の連鎖の裏に隠された、子どもの論理の「真実」とは?


あらすじを書いていても、めちゃくちゃ重いですよね。
作品中でも、病院のシーン、葬儀のシーンなど、想像するだに胸の痛む場面が。
やっぱりこういう場合は周りが辛いですよ・・・
真相に触れそうになるので、あんまり書けないのですが、
作品中の彼らの死には隠された「もの」があったのですけどね。

「子どもの論理」というのが、この作品のテーマなんですけど、
これは少し分かるような気がしました。
だから、動機とか、そもそもの発端とか、理解はできます。
大人になったから忘れたふりしてるけど、私たちは皆、子どもだったんだから。
逆に、子どもは大人だった時が無いから大人の論理が理解できなくて当然か。

ただ、この作品に出てきている少年たちは、やっぱりレトロなのですね。
作者とのジェネレーションギャップだと思うけれど、
もはや現代の日本は、この少年たちの恐れるような社会じゃありませんものね。

それでもなお。
真相も意外だったし、
ミステリとしても充分楽しめる佳作でした(^^)

それにしても、安楽椅子探偵の後遺症か(まだ解答編見てないのですけどw)
ちょっとした記述が「伏線」かな~とか、かなり身構えて読んでしまった(^^;
実際、結構伏線はあったわけですけど・・・
普通の読者に戻るには、もう少しリハビリが必要なようです(笑)