下手の横好き日記

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『死体を買う男』・・・題名の謎

2007-09-26 23:59:59 | 
この記事は歌野晶午氏の『死体を買う男』の内容についてネタバレしています。
未読の方は、ぜひ読んでからご覧下さい。
結構さくさくと読める作品なので、3時間もあれば読めると思います。





さて、この作品。
こんな「芸の無い」(失礼!)タイトルなのに、作中に死体を買う男なんて現れないんです。
あえて言えば、朔太郎が野崎医師の遺体をお寺に金をつかませて隠したくらいで。
そんなの、タイトルにするほど大切な事柄じゃないですよね(^^;
なのに、なんで???という疑問が頭を駆け巡るわけです。

それで、色々と頭をひねっていたのです。
西崎の発表する予定の「白骨鬼」の中では、兄の直ではなく、弟の均が死んでいるから、
老作家・細見にとっては自分が死んでいることになるわけですね。
その作品を譲ってもらうということは、自分の死を買う・・・死体を買うと言えなくも無い。
でも・・・そんなの「こじつけ」でしょう。納得はいかないですよね。

そこで、思考を切り替えて作品を読んでみると、
ラストシーン、細見は「しばらく迷ったすえ」からタイトルを書いたとあります。
この「迷ったすえ」がポイントかな~と。
そして、この作品中に幾度となく出てくるアナグラムが怪しいと思ったのです。

最初は、タイトルを全部ローマ字にしたアナグラムを考えていたのですが、
ぜんぜん上手いことばになってくれません。
そんな、30分悩んでも分からないようなアナグラムを、死を目前にした細見が使うわけない!
そこで、シンプルに「し・た・い・を・か・う・お・と・こ」で考えました。
色々並び替えていると・・・ある言葉が立ち表れてきたのです。
これが解答だ!と私は思いました。(全然、違ってたりして^^;)
「と・お・い・か・こ・を・し・た・う」→「遠い過去を慕う」

死を前にした細見は、最後のこの作品で真実を明かす。
これは自らの犯罪の懺悔録とは言いながらも、若き自分への憧憬があるのではないか?
「生」の最中にいる時は隠すべきだった自らの罪。
そこには、若き自分の驚くべき情熱と後悔と誇りがあったでしょう。
今、死を迎える細見には眩しく見える隠された遠い過去なのです。

これが正解かなんて、もうどうでもいいやと、変に納得した自分がいます(笑)
あくまでも、私個人の独断と偏見に満ちた考えですので、
歌野氏が見たら「違うよ!」と、お怒りになるかもしれませんけど、ご容赦。

歌野晶午『死体を買う男』

2007-09-26 23:59:59 | 
題名が「いかにも」という感じで、期待しないで読んだ作品でしたが・・・
ものすごく楽しめました♪

ミステリ雑誌に掲載された「白骨鬼」という謎の作品。
そこに書かれていたのは、江戸川乱歩と萩原朔太郎の探偵譚だった。
月恋病、断崖の松での首吊り、そして消えた死体・・・
魅力的な作品の最終回は、何故か雑誌には掲載されなかった。
そして、この作品の背景が一人の老作家によって明かされる!

ということで、すごく面白そうな設定ですよね?
私は乱歩の作品はほとんど読んだことがないのですが(二十面相は別ね)
それっぽい文体(独特な擬態語・擬声語など)が、まさに「いかにも」な感じです。
島田荘司氏の夏目漱石にも驚いたけど、この乱歩にもやられました。

それから萩原朔太郎! まさか本物はこんなにエキセントリックな人じゃないでしょうが、
作中の彼は、まるで・・・躁状態の御手洗か榎木津のよう(^^;
「うふふふ」という笑い声が、耳に(目に?)こだましています(笑)

作品は、乱歩&朔太郎の活躍する「白骨鬼」と現在の老作家の話とが交互に配置されます。
この構成も、先を知りたい読者を焦らす戦術(?)か、心憎いですね。
「葉桜」に通ずるものを感じる気もします。

ネタバレになるのであんまり触れられませんが、どんでん返しも含まれたこの作品。
私も途中までは見切っていたのですが、やられちゃいましたね(^^;
なるほど伏線を示されると、「そうか~」としか言えません。
ま、伏線の数がちょっとばかし少なかった気もしますけど。←負け惜しみ
多少の論理の飛躍はあっても、解決は論理的なので私好みの作品でした♪

そして、読み終わった私の唯一の疑問。
「なぜこの題名???」
題名で損をしているんじゃないかと思うほど、内容とリンクしていない。
だって「死体を買う男」って、失礼だけど「ありふれた」タイトルですもんね。
書評サイトでも、結構謎のまま、皆が首をかしげているのですよ。

で。私は思いました。
「絶対、この題名には意味があるはずだ!」と。
そして私は、一つの解答を得ました!!
しかし、ネタバレになるので、記事を変えて発表したいと思います。