晴れのち曇り、時々パリ

もう、これ以上、黙っていられない! 人が、社会が、日本全体が、壊れかかっている。

フランスから見た日本の総選挙 『ル・モンド』の論評

2017-10-22 15:38:02 | 政治と社会

風雨のもとでの総選挙


日本が、はっきりと腐り始めている明確な表れである、衆議院議員選挙をナマヌぬるーく眺めながら、フランスではどう報道されているかを、単純に『ル・モンド』の記事の翻訳紹介で、お見せしよう。

ちなみにル・モンドは、発行部数わずか35万部という、超高級オピニオン紙であることは、ご存じの方も多いとおもう。

掲載した写真は全てル・モンドの元記事より。
(All photos by Le Monde)



Japon : Shinzo Abe s’achemine vers une large victoire aux législatives



【以下 翻訳文全文】




《日本 : 安倍晋三総選挙を大幅な勝利で終わる》

速報の第一報で、 国粋主義総理大臣率いる保守連立与党は、衆議院465議席中311議席に届く勢い。

日本政府の主、安倍晋三63歳は、10月22日の解散総選挙において、出口調査に寄る結果、20時(パリ時間13時)投票終了と同時に、大勝利を獲得。
現地民法テレビTBSによると、首相の連立与党自由民主党(PLD)が衆院議席465のうち311議席に達する勢い。その他のテレビ局各局も、前政権連立与党は2/3にやや欠ける議席数を確保することを推定している。最終的集計結果は月曜日の午前中に発表される。

安倍氏は、2012年12月に権力の座に就くと、2006年07年の第一次政権の失敗の後、今後2021年まで国の指揮を摂る事となった。この事は第二次大戦後の在任最長記録の総理大臣となる。


《選挙戦が明らかにする事》

温故主義スキャンダルに自縄自縛となり支持率の降下に見舞われた安倍氏は、さる9月末に任期を1年以上残した衆議院を解散する手にでた。
北朝鮮の危機と経済問題を中心に据えたわずか12日間という短い選挙戦の後 、南西部から直接日本列島を襲った、太平洋上で最大風速216km/hを記録した台風がもたらした降りしきる雨風の中で投票が行われた。
国民の老齢化に直面する日本は、過去2世代にわたって侵されてきたデフレと、息切れを続ける経済成長下に、安倍氏は自らの経済回復政策、バラマキ予算と裏付けのない証券市場の水準維持による通貨政策、いわゆる<アベノミクス>を自慢した。
首相はまた、もう一つの繋争点である、米国占領下で施行された平和憲法、特に国軍対外戦争行為を禁じるという遺産を消去する改憲という、野望を争点としてきた。
(10月22日13時31分パリ時間)




Japon : Shinzo Abe, le révisionnisme en héritage


【以下 翻訳文全文】





《日本 : 安倍晋三、歴史修正主義者》


任期満了前の解散による22日の総選挙は、自由民主党安倍晋三にさらなる4年間の権力を与えるであろう。
この人は第3期目の総理大臣の地位の委託を確保するだろう。
フィリップ・ポンス東京特派員
フィリップ・メスメル東京特派員
ル・モンド10月20日12時59分パリ時間


高貴なる政治家一族の家系出身の総理大臣安倍晋三は、こんにちおそらく日本でも傑出し続ける人物の又従兄弟であり、その後継者である。

1964年から72年まで、その8年間に及ぶ日本政府の長であった佐藤栄作はその祖国に3つの原則、核兵器を日本領土内で「作らない」「所持しない」及び「持ち込ませない」という約定、『非核三原則』を打ち立てた事で、特筆される。
その事は、勿論三原則制定と時を同じくして米国に日本国内の基地に核兵器の保有を約束した密約を行っていたとしても、彼をしてノーベル平和賞を1974年に受賞させるに値した。

それから40余年を経て、彼の又従兄弟である63歳の安倍晋三が、彼もまた新たな歴史に、とはいえ、その一族とは全く遠くかけ離れた政治哲学において、名を刻む事を画策している。彼は、日本をして<偉大さ>特になにより<絶対的支配権>に重きを置き、『憲法第9条』—1946年米国支配下において制定されたー戦争を解決手段とする事の禁止を、それに障害となると考えている。
北朝鮮との間の緊張、そして中国との敵対関係が日本国民を心配させ、それが<国難>に直面する日本に安倍晋三が必要であると訴える彼の立ち位置を強化している。

中国と韓国は、安倍氏のそうした国粋主義と軍事的傾向に、常に批判の声を上げている。
実際のところ、この人が世界の他のほとんどの指導者たち以上に国粋主義的というわけではないし、狂信的軍備信奉者でもない : と言うのも日本の年間国防予算は、彼が2012年に権力の座に返り咲いて以後(彼は2007年に一度辞任している)コンスタントに増加しているとはいえ、せいぜいDGPの1%超に過ぎない。
しかし、安倍氏は修正主義者である : 憲法改変の信奉者であり、それが日本を皇国史観で再編する為の大きな原動力となり、さらにはかつて旧日本軍が行った様々な出来事を最小化するか、なかった事にする上で・・・(以下有料記事)




Le vice-premier ministre japonais Taro Aso, roi des gaffes douteuses


【以下 翻訳全文】





《怪しげな失言王、日本国副首相兼財務相麻生太郎》


非常に国粋主義的なこの副首相兼財務大臣の北朝鮮と、特にヒトラーに関する発言は、日本国内では、それほど騒ぎを引き起こす事はない。
ル・モンド 10月22日10時20分パリ時間


北朝鮮危機は日本国内で22日の総選挙における大きな争点を占めているが、副首相兼財務相、麻生太郎の新たな放言を引き起こした。

現状に乗じて総理大臣安倍晋三が引き合いに出し、9月28日の衆議院解散の理由にした危機に関して、麻生氏は10月14日の岐阜県(日本列島の中央部)における講演会において、朝鮮半島での有事の際の北朝鮮からの日本への<武装難民>の大量流入のリスクに関して言及した。9月23日に彼は既にこの問題に触れ、北朝鮮からの難民が10万人に及ぶ恐れを指摘し、「警察はどの様に対処できるのか。自衛隊は展開して発砲できるのか、真剣に考える必要がある」と話した。

非常に刻す主義者である麻生氏は、それらは最初の失言ではなく、繰り返される彼の放言は単に彼の軽率さに由来するものか、考えさえられるものである。九州(南西部の大きな島)出身の彼は、麻生鉱業、のちの麻生セメントのいう企業のオーナー家族の継承者である。この会社は朝鮮半島植民地時代(1910年から1945年)に、朝鮮の人々と戦時捕虜を強制労働させた企業である。

さらに朝鮮人に対する彼の指摘は、彼が総理大臣であった2008年から2009年の間にアドルフ・ヒトラーとナチのそれにに類されるものであった。「たとえ正しい動機を持っていたとしても、数百万人を殺害したヒトラーは悪である。」と8月29日に発言し、批判に対して「適切な表現ではなかった」と訂正した。
限られた憤り

一般的に、日本社会はこの様な立ち位置の発言に、気分を害したりしない。8月28日、NGOで反人種差別活動のシモーヌ・ヴァイセンタール・センターは・・・(以下有料)



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