競争原理っていうやつなんです。お互い、競い合うことでそれぞれの力が高まる、ゆえに競争させるのは正しいという理論です。
まったく能天気な理論です。ちょっと考えてみればそんな原理、ときどきそんなことがこの世では起こる程度の、ま、現象といった話で、とても原理などとは言えないものです。
まわりを見ればすぐにわかります。勝ったやつは図に乗る、負けたやつは落ち込む。勝ったら勝ったで、また勝ちたくなったり、負けたらどうしようかと不安になったり、負けたら負けたでふてくされたり、勝つための裏手を考え巡らしたり、いずれにしても、お互いの力を高めるなんて原理はなかなか働かないものです。
(『大人問題』 五味太郎)
「天下り」ってやつも、学校の競争原理の結果なんだろうな、と思います。
負けることへの不安が、人を安心な世界に引き寄せます。純粋な経済競争の場に入るのがつらいことを、大部分の人は知っています。だって、学校で散々に競争させられてきたから。テストや偏差値の点が少し上がった下がったで大騒ぎしてきたでしょ。
経済競争の場の辛さを知っているから、それがないように見える官僚・公務員や医者や学者や法曹の世界を多くの人は志望します。もちろん、それらの世界内部にも競争はあるし、現実の仕事は激務だったりします。ただ、それらの世界が国家から特権を付与された、ある種の「保護された世界」を形づくっているのも事実です。もっとも、少しずつその特権は剥奪されているのですが(それはそれで、また別の問題を生んでいます)。
民間で働こうとする人たちも、じつは「保護された世界」を求めています。大企業で多くの人が働きたがるのがその証左です。今でも大学四年生はみな大企業で働きたがっている(保護されたがっている)し、中途採用で大企業に移った人が離職する割合は低いものです。
それらの「保護された世界」を目指して、生徒・学生の時代に多くの子供は必死で勉強しているわけですね。親も、子供を安心な「保護された世界」に入れるために、安心できない受験競争に子供をさらそうとしているわけです。
少し外から眺めれば、おかしな現象ですが、でも当事者たちは必死です。
競争原理で社会が活性化するなんていう話は、嘘っぱちじゃないかと思います。
だって、本当に競争で社会が活性化するというのなら、子供たちは「競争」を求めて、上記のような「保護された世界」にはそっぽを向いているはずですよ。でも現実には、大人になってから「競争のない世界」に入るために、子供の頃にがんばって競争しているわけです。
競争があるから、負けることへの不安が増大します。負けることへの不安から、人は「勝つための裏手」をひねり出すようになります。「天下り」もあるわけです。
日本型社会主義国家の成立の原因は、競争なんじゃないでしょうか。
まったく能天気な理論です。ちょっと考えてみればそんな原理、ときどきそんなことがこの世では起こる程度の、ま、現象といった話で、とても原理などとは言えないものです。
まわりを見ればすぐにわかります。勝ったやつは図に乗る、負けたやつは落ち込む。勝ったら勝ったで、また勝ちたくなったり、負けたらどうしようかと不安になったり、負けたら負けたでふてくされたり、勝つための裏手を考え巡らしたり、いずれにしても、お互いの力を高めるなんて原理はなかなか働かないものです。
(『大人問題』 五味太郎)
「天下り」ってやつも、学校の競争原理の結果なんだろうな、と思います。
負けることへの不安が、人を安心な世界に引き寄せます。純粋な経済競争の場に入るのがつらいことを、大部分の人は知っています。だって、学校で散々に競争させられてきたから。テストや偏差値の点が少し上がった下がったで大騒ぎしてきたでしょ。
経済競争の場の辛さを知っているから、それがないように見える官僚・公務員や医者や学者や法曹の世界を多くの人は志望します。もちろん、それらの世界内部にも競争はあるし、現実の仕事は激務だったりします。ただ、それらの世界が国家から特権を付与された、ある種の「保護された世界」を形づくっているのも事実です。もっとも、少しずつその特権は剥奪されているのですが(それはそれで、また別の問題を生んでいます)。
民間で働こうとする人たちも、じつは「保護された世界」を求めています。大企業で多くの人が働きたがるのがその証左です。今でも大学四年生はみな大企業で働きたがっている(保護されたがっている)し、中途採用で大企業に移った人が離職する割合は低いものです。
それらの「保護された世界」を目指して、生徒・学生の時代に多くの子供は必死で勉強しているわけですね。親も、子供を安心な「保護された世界」に入れるために、安心できない受験競争に子供をさらそうとしているわけです。
少し外から眺めれば、おかしな現象ですが、でも当事者たちは必死です。
競争原理で社会が活性化するなんていう話は、嘘っぱちじゃないかと思います。
だって、本当に競争で社会が活性化するというのなら、子供たちは「競争」を求めて、上記のような「保護された世界」にはそっぽを向いているはずですよ。でも現実には、大人になってから「競争のない世界」に入るために、子供の頃にがんばって競争しているわけです。
競争があるから、負けることへの不安が増大します。負けることへの不安から、人は「勝つための裏手」をひねり出すようになります。「天下り」もあるわけです。
日本型社会主義国家の成立の原因は、競争なんじゃないでしょうか。
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