私が父との思い出で強く憶えていることの一つは、
夜店に家族で出かけた帰り道に、
もう時間が遅いので父が私を肩車して帰ったときのことだ。
私は親や大人に抱えてもらうときは背中に抱っこしてもらうほうが好きだった。
それだとからだを密着させ両腕で大人の肩をがっしりとつかめるので安心感があった。
しかしその夜店の帰り道では父親は私を肩に乗せ、しかも走り出した。
父にしてみれば(当時の)からだの小さなわたしを肩車するのは重荷でも何でもなかったろう。
また時間も遅かっただろうから、その方が走りやすく早く帰れてよかったのかもしれない。
しかしわたしは父の肩に乗っていても、走る父のからだが揺れ、また肩の上では腕でつかめるものは何もなく、かろうじて彼のあたまに手を添えることしかできなかった。
つかめるものはなにもなく、
自分のからだは地上から数メートル上で空中に浮いているようで、
さらに前へ前へとずんずん進んでいくので、
空を飛んでいるような恐怖を感じていた。
涼風
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