もうずいぶん前から書こうと思って、なかなかまとめることのできなかった原稿である。
APSフィルムは昨年7月に製造中止が発表され、さらに今年5月頃、製造元の富士フイルムから在庫払底の知らせが出た。ただ、いまのところ量販店でも棚に並んではいるようだ。
我が家には10年ほど前に購入したNikon Nuvis S2000というAPSカメラがある。ずいぶん前からフィルム装填のまま放置していた。このカメラは廉価版で、途中取りだし機能がなく、さらに困った事に内蔵の電池が切れてしまい、電源が入らなかったのだ。リチウム電池もそこそこ高くて(CR2)、まさかフィルムを取り出すだけのために電池を買う気にもならず、そうかと言って今後何度も撮影する気にもならず、ほったらかしになっていた。
3月のある日、意を決して電池とフィルムを買ってきた。二つで1200円ぐらいする。
カメラはこれだ。やや厚みはあるが、今のコンデジと大きさとしては変わらない。重量も今のコンデジと同じくらいだ。
発売は2000年4月で希望小売価格4万円と言うから、デジカメの普及期だった当時、これを選ぶ選択肢は十分にあったはずだ(僕が中古でこれを買ったのは2003年頃)。当時300万画素のデジカメは10万円はしたと思うし、大きくて重かった。
横にふたを開くと、こんな感じで伸びる。たしかミノルタにも似た作りのカメラがあったと思う。しっかり構えられる、不用意に自分の指を写さないですむ(昔良くやった。110カメラでね)という意味ではいいと思う。レンズは換算30mm-60mmの2倍ズーム。
フィルム。左は長いことカメラに入っていたやつ。3個入りのやつを買ったのだが、未使用のフィルムが長年残っていて、いつだったか捨てた記憶がある。
以前はISO200,400,800、枚数は25,40枚があり、モノクロやリバーサルもあったと思う。
フィルムケースは35mmと違い、頂点のとがった楕円形をしている。
箱の裏側。上の方に○とかXとか書いてあるが、これは何かというと;
フィルムの状態を示している。未使用なら1,撮影途中は2,撮影済みは3、現像済みは4となる。APSは未使用でも撮影後もカートリッジに入った状態で、外見上の区別ができないための措置。
カメラにはふたを開けて落とし込めば装填完了。
現像を頼むと、こんな札に納められて戻ってくる。プリントの袋に入れていても膨らんでしまうし、収納、整理はスマートではない。よく言われることだが、インデックスがないと、何が写っていたかすらわからない。もっと普及すれば整理グッズも色々出ていたかもしれないが。
今回、元のカメラに入っていたやつと合わせて現像に出したが(これは本当は良くない。フィルムが化学変化している。画質はダメになるのは仕方ないが、現像液を汚す可能性もあり、DP屋さんに迷惑がかかる)。1本1250円だった。注文の時、今キャンペーンをやっていて、同時ならCDに150円(50円だったかな)で焼いてくれる、と言われた。いずれ焼き増しもできなくなるかもしれないから、思い出の写真を残すならその方がいいかも。
今回写した画像は、まあ参考にはならないので・・。普通に写るし、今のデジカメに比べてどうのこうの言っても今更仕方がない。ただ、35mmフィルムに比べて画質が悪いというのは、間違いではないが、ほとんどはむしろカメラのせいだったのではないかと思う。このことは、今のデジカメのセンサーサイズを巡る口コミとも重なるが、得てしてネガティブな表現の方が人々の印象に残ってしまうものだ。
今回の写真。スキャナがもうだめで、右に筋が入ってしまっている。
ずっと前にこのカメラで撮った写真。白飛びはスキャンのせい?猫の毛並みもそこそこきれいに写るし、これで満足という人も多かったと思う。ただし、ここでは載せないがちょっと遠景になるとレンズが片ボケしていて、全然ダメ。
カメラは今も完動状態で手元にあるが、これをクラシックカメラみたいに珍重するのも変だ。かわいそうだが、このまま眠ってもらうしかない。
前にも書いたが、昭和時代を懐かしむ人は多いが、平成一桁を懐かしむ人は今のところまだいないようだ。世相は大まか今とそんなに変わらない気もするけど、僕自身もその分若かったしなあ・。
あの頃僕はオーディオに凝っていて、そこそこ高い機材を買ったりして、他のものにお金を振り向けられなかった。
偶々、家の用で写真を撮ろうとしたら、ストロボが壊れていて一眼レフ(OM-1)が使えず、写ルンですを買ってきて撮影した。そのとき、小さいカメラを持ち歩いて撮影したら、けっこうたのしいかも、と初めて気がついた。いくつかコンパクトカメラを探したが、結局そのときは買わなかった。その頃の思い入れ見たいのが、何となく残っている。
今はデジカメやスマホで、その頃やりたかったことは120%ぐらいできているはずなのに、自分でも不思議だ。