うさぎくん

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人工知能やら、アンドロイドやら

2019年04月19日 | 本と雑誌

成熟脳 黒川伊保子 新潮文庫 平成30年

 面白い本なので何度かにわけて書いてみたい。

黒川氏はAIの研究や脳についての研究に長年携わってこられた方らしい。著書も何冊かあるということなので、一部ではかなり有名な方のようだ(すみません、初めて読みました)。

男女の脳の違いとか、ものの捉え方の違いとかも大きなテーマの一つだが、とりあえずいちばん書きやすい課題を。

 AIという言葉は、過去何十年化の間に何度も言葉としてのブームを迎えているらしい。ブーム再来ということで、今年のお正月番組で、AIを取り上げたドキュメンタリー番組は多かった。なかにはAIが人の仕事を奪うという切り口の番組も散見されたが、黒川氏はその点楽観的にとらえているようだ。

 「家事ロボットが家庭に入ってきても、主婦の仕事はなくならない。なぜなら、主婦の仕事の一番大事なことは『家族を案じ、するべきことを決める』ことだからだ。洗濯をするのは洗濯機でも、何をどのタイミングでどう洗うかは愛情が決める。子供の体育着が体育の授業に間に合うように、母たちは抜かりなくスケジュールを決める。(「人工知能に、人は負けるのか」)。

内燃エンジンが発明されて、穴を掘ったり荷物を運ぶ作業は軽減されたけど、それで人が失業することはなかった。人間の価値がしだいに変化してきたのだという。


スーパーのレジ打ちなんかは、やがてセルフレジにとってかわられるのではないか。無人コンビニもやがて普及していくのでは(昨日もニュースで取り上げていたが、24時間コンビニの問題。オーナー家族の方が亡くなったり、かなり悲惨な論調だった。現場のしわ寄せを無茶な努力で乗り切ろうとする日本人。。だがそれを技術でカバーできれば?)。

 黒川氏は、機械化が進めば人の温もりが恋しくなってくるのでは、と言う。

「ほどなく、トレイにかごを載せるだけで合計金額が出て支払いも自動でできる全自動レジも登場してくるはずである。買い物のうら寂しさは進むばかりだ。そうなってくると、人レジは価値化される。・・人レジは、その店のホスピタリティ・スポットになるに違いない。・・「レジ打ち」という職種は地位が上がることになる。レジ打ちさんはその店の顔になるからだ。」(「人工知能は、天使か悪魔か その2」)


わかる。

僕は結構買い物が好きだ。よく行くスーパーでは、別に声をかけたりはしないがお気に入りの店員さんがいる。

”お買い上げXX円ちょうだいいたしまあす”、と歌うように話すお嬢さんとか(よく通る声で目立つ。この子がなかなかツンデレで、財布からお金を出すのに時間がかかったりすると、じっと見つめられるときの緊張感もまたいいというか・・)。

”ばななが一点、ぴ~まんが一点・”と、イントネーションは伝えられないけど、聞いたら忘れられない語り口で読み上げる年配のおばさんとか、それぞれに味がある。

おっさんぽいなどといわないで欲しいが、それぞれのお店の制服もそれなりに可愛いと思ってみてたりする。将来スーパーがふつうに無人化されたら、やはり昔はよかった、と思うんだろうな。。

 黒川氏は機械が心を持つことに対しては否定的だ。年配の研究者はしばしば「鉄腕アトムを作りたい」というが、十万馬力の原子力でうごく機械がリビングに来て、かわいいことばでしゃべったら気持ちが悪いだろうと。

 以前テレビで見た話だが、日本人は抵抗なく人間そっくりの機械(アンドロイド)を作るが、これがドイツ人の感性にはなかなか受け入れられないらしい。宗教的、あるいは歴史的な感性の違いなのかもしれないが、とにかく気持ち悪いらしいのだ。黒川氏によれば、ネコにも思いやりの心はある。しかし機械は機械だと。。

 そうするとあれだな、ここでは繰り返し触れている「ヨコハマ買い出し紀行」なんか、ロボットでいることは一つの個性だ、なんて言っているものな。アルファさんもココネさんも完全に人の心を持っていて、それゆえ悩みも持ったりしている。あの辺は黒川氏の見解とは対極にある世界観ですね。

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