うさぎくん

小鳥の話、読書、カメラ、音楽、まち歩きなどが中心のブログです。

吾妻ひでお作品集

2019年11月04日 | 本と雑誌
先日吾妻さんの訃報を聞いてから、いくつか作品を読んでみた。

前にも書いたが、吾妻さんの作品は少年時代ちらちらと読んでいたが、入れ込むようなマニアだったわけではない。ちなみに先日「少年少女SF漫画大全集」と書いたが、「少年少女SF漫画競作大全集」でした。確か季刊で、古本含めて数冊買ったかな。その中に「ぶつぶつ冒険記」が載っていたので読んだことがある。「不条理日記」は「ぱふ」か何かに引用、考察されているのは読んだことがあるが、作品そのものは今回初めて読んだ。

この頃から女の子も男の子の絵もかわいいし、人物の書きわけもしっかりしている。僕は「なはは」の模写(といってもあれだが・)をしたり、当時の落書きには多少吾妻さんが入っているような記憶がある・。ただ、女の子は模写しなかったと思う。。

後年の作品は「失踪日記」と「逃亡日記」を読んでみた。なるほど、かなり読ませますね。。人が持つ逃亡願望、変身願望みたいなものを形に表したというか、本当に実践してしまったわけで。アルコールの方は自分は弱いからよくわからないけど、何かに追い詰められる、どこかに逃げ込たくなるという心理は人間確かにある。やはりそういうものが伝わってくる。

そしてなによりこれが実話であること。背後に書かれていない壮絶なドラマがあることは明らかで、その平和でほのぼのとした絵柄の奥にあるペンチメント(痕跡)を探したくなる。
何気ないエピソードの描写が印象的だ。
正月、住民の目を避けるため、より深い藪に移動し一夜を明かした朝、目が覚めたら一面の雪に下草が押しつぶされ、遠くの家や道が一望できたというシーン。

深夜、ゴミ箱を漁っていると手つかずのクッキー缶が出てきて大喜びで口に入れていると、向こうからブーツをはいた若い女性がカツコツと規則正しい音を響かせながら、無表情で通り過ぎていく。クッキーを手に持ったまましばらく動けない吾妻氏。

それにしても、幾多の困難を乗り越えられて今は・・というお話なのですが、それが今はもう、いないのですからね。。ご苦労様でした。。

この文章、書くのにやたらと時間がかかってしまった。つい吾妻氏のツイッターをずっと追ってしまったから。晩年の、病気になってからのつぶやきを見ていると、「失踪日記」並みにニヒルな書き込みが目立つな・。晩年まで絵も達者。。

コメント
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