シルバーウィーク最終日。新国立劇場の2009年オープニング公演となるヴェルディのオテロを聞いてきました。期待以上の素晴らしい公演に大満足。今まで体験したオテロの中では間違いなくNO.1でしょう。
ここまで成功に導いた最大の功労者は演出家のマリオ・マルトーネです。前衛演劇出身で映画監督としても活躍。新国立は初出場ということで若干不安を感じながらの幕開けでした。
場面の設定はキプロス島ではなくなぜかヴェネチア。余談になりますが昨年公演のドン・ジョバンニもヴェネチアが舞台でした(最近の流行?)。舞台セットは場面転換の無い簡素なものですが、奥行きを活かしたステージに多彩な照明と炎、そして水が立体感を演出します。衣装や装置は極めてオーソドックス。光に彩られた幻想的な演劇を見ているかのようで、舞台上で繰り広げられる音楽劇に集中できたという印象です。休憩が2幕と3幕の間の一回だけというのも効果的でした。
残り4回公演があるためネタばれになってしまいますが、あっと驚く仕掛けは舞台上の花火と水。第1幕の焚火の合唱の場面では合計20発以上の花火が舞台奥で打上げられたのにはビックリ。妙に音楽にマッチしてました。更に第2幕以降では舞台上に水(運河)が引かれ、歌手はここぞという場面では水に入って歌います。オテロの死も予想通り水の中で死んでいく悲劇の幕切れ・・・
それからオーケストラピット上の架け橋もうまく活用されていました。
リッカルド・フリッツァ指揮の東京フィルは冒頭の嵐の場面からパワー全開。このオペラはオーケストラが旋律を奏でるところが多いのですが、実に美しく歌いあげていました。新国立劇場合唱団も迫力満点。第1幕や第3幕の後半など鳥肌がたつほどの素晴らしさです。新国立の合唱団は、先日のスカラ座には及びませんが世界に誇れるのではないでしょうか。
主役の3人も、歌・演技ともに素晴らしく、特にデズデーモナ役のタマール・イヴェーリが泣かせてくれました。決して太くはありませんが、低音から高音までよく通る声がホール一杯に響き渡ります。オテロの心境の変化を目の当たりにしても純潔と従順を訴え続ける表現力、そして第4幕の柳の歌は涙を誘いました。イアーゴのルチオ・ガッロは演技力抜群。嫉妬の心を見事に歌い上げ、非常に分かりやすいイアーゴを演じていました。でも軽快で端正すぎてここぞという時の凄みが欲しかった(贅沢ですかね・・)。そしてタイトルロールのステファン・グールド。直球勝負の力強い歌声。私は好きです。声に力がありワーグナー向きかもしれません。ややバリトンに近いテノールのため高音が少し苦しそうでしたが、演技力でカバーしていました。
脇役の日本人も粒揃いでエミーリアの森山京子、ロドヴィーコの妻谷秀和がしっかり脇をかため、カッシオを演じたブラゴイ・ナコスキは線が細いものの美声を聞かせてくれました。
今日は、祭日のマチネにもかかわらず空席が目立ちました。スカラ座でお金を使い果たしてしまったのかな?こんなに素晴らしい涙を誘うオテロが日本のオペラハウスで上演できるなんて・・・
正面玄関の生け花です。
ここまで成功に導いた最大の功労者は演出家のマリオ・マルトーネです。前衛演劇出身で映画監督としても活躍。新国立は初出場ということで若干不安を感じながらの幕開けでした。
場面の設定はキプロス島ではなくなぜかヴェネチア。余談になりますが昨年公演のドン・ジョバンニもヴェネチアが舞台でした(最近の流行?)。舞台セットは場面転換の無い簡素なものですが、奥行きを活かしたステージに多彩な照明と炎、そして水が立体感を演出します。衣装や装置は極めてオーソドックス。光に彩られた幻想的な演劇を見ているかのようで、舞台上で繰り広げられる音楽劇に集中できたという印象です。休憩が2幕と3幕の間の一回だけというのも効果的でした。
残り4回公演があるためネタばれになってしまいますが、あっと驚く仕掛けは舞台上の花火と水。第1幕の焚火の合唱の場面では合計20発以上の花火が舞台奥で打上げられたのにはビックリ。妙に音楽にマッチしてました。更に第2幕以降では舞台上に水(運河)が引かれ、歌手はここぞという場面では水に入って歌います。オテロの死も予想通り水の中で死んでいく悲劇の幕切れ・・・
それからオーケストラピット上の架け橋もうまく活用されていました。
リッカルド・フリッツァ指揮の東京フィルは冒頭の嵐の場面からパワー全開。このオペラはオーケストラが旋律を奏でるところが多いのですが、実に美しく歌いあげていました。新国立劇場合唱団も迫力満点。第1幕や第3幕の後半など鳥肌がたつほどの素晴らしさです。新国立の合唱団は、先日のスカラ座には及びませんが世界に誇れるのではないでしょうか。
主役の3人も、歌・演技ともに素晴らしく、特にデズデーモナ役のタマール・イヴェーリが泣かせてくれました。決して太くはありませんが、低音から高音までよく通る声がホール一杯に響き渡ります。オテロの心境の変化を目の当たりにしても純潔と従順を訴え続ける表現力、そして第4幕の柳の歌は涙を誘いました。イアーゴのルチオ・ガッロは演技力抜群。嫉妬の心を見事に歌い上げ、非常に分かりやすいイアーゴを演じていました。でも軽快で端正すぎてここぞという時の凄みが欲しかった(贅沢ですかね・・)。そしてタイトルロールのステファン・グールド。直球勝負の力強い歌声。私は好きです。声に力がありワーグナー向きかもしれません。ややバリトンに近いテノールのため高音が少し苦しそうでしたが、演技力でカバーしていました。
脇役の日本人も粒揃いでエミーリアの森山京子、ロドヴィーコの妻谷秀和がしっかり脇をかため、カッシオを演じたブラゴイ・ナコスキは線が細いものの美声を聞かせてくれました。
今日は、祭日のマチネにもかかわらず空席が目立ちました。スカラ座でお金を使い果たしてしまったのかな?こんなに素晴らしい涙を誘うオテロが日本のオペラハウスで上演できるなんて・・・
正面玄関の生け花です。